ベトナム南部は、メコン川がある一方で、とにかく山が少ないです。バーデン山は標高1000m足らずですが、登山が楽しめる希少な山だと言えるでしょう。というより、1000mって、富士山7合目から山頂までありますしね。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2014/01/14
ベトナム南部は、メコン川がある一方で、とにかく山が少ないです。バーデン山は標高1000m足らずですが、登山が楽しめる希少な山だと言えるでしょう。というより、1000mって、富士山7合目から山頂までありますしね。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2014/01/14
登山っていいですよね!
「なぜ、あなたはエベレストを目指すのか」との問いに「そこに山があるから」と答えた登山家・ジョージ・マロリーですが、彼はエベレスト山頂付近で遭難したため登頂したのか未だ不明だそうです本当です。
ベトナムの山といえば北部に集中していますが、南部にも山は存在します。
名前はバーデン山(Nui Ba Den)、カオダイ教の総本山が構えるタイニン省にある標高964mの山です。
今回、登山サークル『ホーチミン山の会』の方からお誘いを受けて山を登ってまいりました。
想像はしていたけど、それでもかなり大変だった!そんなバーデン山登りの様子をお伝えします。
朝6時と早い時間から、29人乗りのマイクロバスをチャーターして向かいます。
小学生のお子さん達もいるため、バスの中では終始『ガンダムOO(ダブルオー)』を流していました。
ついつい『ガンダムマイスター』という単語を覚えてしまったが、使いどころが分からない。
2時間半も走ると…
山や!バーデン山や…山頂が高過ぎて見えへんでええぇぇ!!(煙霧です)
6時間後…
佐々木君「もうダメだー!!」
佐々木君「歩きすぎてー!!」
佐々木君「全く動けねー!!」
以前、ファッションショーのレポートを書いてもらった佐々木君も一緒です。
もちろん、彼はまだ一歩目も山に踏み込んではおりません。
さて、俺は…と。
佐々木君「ネルソンさん」
ネルソン「ん?」
佐々木君「何やってるんですか?」
ネルソン「ふふっ、何を野暮なことを…(カチャカチャ)」
ネルソン「成人式には振り袖…」
ネルソン「結婚式には白無垢…」
ネルソン「山を登るにも、そう…」
ギチッ!!
ネルソン「相応の服装というものがあってだね…」
佐々木君「何で例えが全部女性視点なんですか」
※一見ベテランっぽく見えますが、私は富士山と八ヶ岳しか登ったことがありません。
それでも踏破しちゃうもんねー!
バーデン山を登るためにはまず最初に向かうべき場所があります。
それが…
ロープウェーです。
登らねぇのかよ、とお思いの皆さん。ナマ言ってんじゃねぇーよ!!
あの富士山でも最も山頂に近い五合目から山頂までの標高が1300m近くあるんだ!
964mのバーデン山を麓から登るってことは…一般的な富士登山の3/4もあるってことなんだぞー!!
といってもロープウェーで到達出来る行程は1/4程度登ったところにある中腹です。
残り3/4はおよそ720mなので…富士山の半分以上の標高!そりゃもーよーしゃなくきびしか山ばい!!
緑が茂り、ところどころ岩肌が覗ける山を登っていきます。
関係無い話ですが、ニャチャンでは一家が乗ったロープウェーがブチっと落下したことがあるそうです。
関係無くないわー!ベトナムさん…シッカリシッカリー!!
そんな悲劇を露知らずキャッキャと風景を撮影する佐々木君と井浦さん。
井浦さんは、ベトナムで日本語と居合道を教えているあの井浦さんです。
すぐ眼下にはジェットコースターのレールのようなものが見えます。
実はこれ、ブレーキ付きの滑り台です。
ロープウェーで途中まで登ると、そこからこれで麓まで一気に下ることが出来ます。
以前に一度試してものすごく面白かったんですけど、曲がり角で調子に乗ったらコースアウトで地獄イン。
で、中腹まで登りました!
この地点からでも、眼下に田園風景が見渡せます。
麓から見た通り、煙霧が漂っていることだけが少し悔やまれる。
中腹で全員揃っていることを確認し、いざ山頂へ!
ちなみに…
こんなところにも存在する宝くじ売り。
商魂逞しいのか、面倒臭がりなのか、サッパリ分からん。
雑貨屋には、線香やお花が目立つなぁと思ったら…。
そらそうよ!中腹にはお寺があるんです。
この獅子、確実に夜な夜な人食ってるだろ。
そんなお寺を素通りして、ここから本格的に登山開始です。
小鳥売り「あんたら…引き返すなら今の内だぜ?」
いや、というか、セリフの前に小鳥売りって何だ。
聞くところによると、この小鳥を買って放すと徳が積めるんだとか。
その放たれた小鳥を呼び寄せて再び売れば半永久的に食っていけるな。
そんな感じで緩やかな道を…と!思ったら大間違い!!
あらやだ、既に道じゃない。
あとちょっと傾けば崖じゃん、という道なき道を歩く…ではなくよじ登ります。
振り返るとどれだけ傾斜が激しいかお分かりになるかと思います。
自分が向いている方向が水平なのか真下なのかよく分かりません。
20分に一度くらいのペースで休憩を挟む。
しかし、やはりベトナムらしいというか散乱しているゴミの数がすごい。
未来に向かってモラルのある教育を施してもらいたい。
後半になってくると、
ほぼ垂直やん!という道も。
ふぅ、岩が見えなくなったぞ。
あっ…あれはー!!
ベトナム語で…山頂だー!!(実際は『ポイ捨て禁止』)
井浦さん「登頂ー!」
佐々木君「登頂ー!」
少年たち「登頂ー!」
ネルソン「登頂ー!」
と!
う!
ちょー!
紛うことなく、登頂者のみが見られるこの景色!
眼下にはタイニン省の街並みが見降ろせます(ほぼ田んぼ)。
ネルソン「さぁ、昨晩2時まで起きて作った弁当を食べるよ!」
佐々木君「早く寝ましょうね」
昼食を撮って、みんなでパチリ。
さぁ、あとは下りだ!…と思っていたら他のベトナム人登山客が通り過ぎ、て、
えぇーー!?
裸足で登ってるううぅぅーー!!?
今まで散々驚き尽くしてきたつもりだったが…彼らの生態はいまだに底知れない。
べとまるを読んでるベトナム人の方に聞きたいんだけど、これって当たり前のことなんですか。
さぁさぁ、ヒザが爆笑するという下り道の始まりですぞ!
参加者の方「あ、あれが軍関係の施設だと思います」
ネルソン 「へぇー、ちょっとフェンスまで近付いてみましょう」
ケルベロス「ウワン!ウワンウワン!!」
ネルソン 「うえいっ!うえぇぇい!?」
油断していたら突如敷地内から飛び出してきた地獄の番人・ケルベロス(犬)。
たまたま近くにいた中国人登山者と一緒になって一気に階段を駆け下って遁走します。
下る標高は、もちろんロープウェーで登った分も加わります。
地上までは、まだまだ…。
半分を過ぎる前から前後のグループとも別れ、途中から完全に独りぼっち修験道状態。
~2時間後~
ネルソン「げ、下界じゃ…下界が見える……」
ネルソン「下界に…着いた……」
バタッ
佐々木君「ヤッ、ヤムチャ!…じゃなかった!ネルソンさんーー!!」
ネルソン「山は舐めたらあかん…サイバイマンも舐めたらあかん……」
ネルソン「!?」
ネルソン「何でコレ、少年たちと井浦さんも並んでんの?」
佐々木君「演出です!」
ネルソン「あ、そう…」
登り降り、合わせて6時間に渡ったバーデン山の登山でした。
日本で八ヶ岳に登って以来、およそ2年3ヶ月振りとなる登山でしたが…辛かった!
しかし、登頂した時の快感は何物にも代えがたいものですね。
でもしばらくはコリゴリなので、向こう1年間はピクニックでいいです。
***
もし興味がある方は、富士山への登山ほどとは言わないまでもこれらの準備は必要です。
・1.5Lを超える飲料水
・運動靴or登山靴・帽子・軍手
・なるべく荷物を軽量に抑えること
また、バーデン山へ移動手段は基本的に車のチャーターが主流です。
今回の29人乗りマイクロバスは運転手へのチップ込みで2,700,000VND。
16人乗りは2,000,000VND程度とのことですが、時期によって変動するそうです。
なお、ロープウェーは80,000VND、入山料が12,000VNDでした。
登山を終えても、元気にだるまさんがころんだで遊ぶ大人と少年たち。
今回の登山を通して、子供の元気にはただただ驚嘆するばかりでした…。