ハノイにあるクレープ屋(今は日本食も出している)「Queen's Coffee Japan」の店長・井上くんの、経歴がおもしろすぎるので根掘り葉掘り聞いてみました。彼はゴルゴン井上としてべとまるにちょいちょい登場しています。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2014/08/22
ハノイにあるクレープ屋(今は日本食も出している)「Queen's Coffee Japan」の店長・井上くんの、経歴がおもしろすぎるので根掘り葉掘り聞いてみました。彼はゴルゴン井上としてべとまるにちょいちょい登場しています。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2014/08/22
クレープっていいですよね!
ミルクレープというクレープを何層にも重ねたデザートがありますが、あれは「ミルク」が「ループ」するという意味だそうです嘘です。
ハノイにあるTran Quy Kien通り。
両脇を街路樹に挟まれるように、そのカフェはあります。
Queen’s Coffee Japan、クレープが看板商品のカフェバーです。
提灯が主張するカウンターを覗くと…
き、君はぁー!
そう、べとまる読者の皆さんにはお馴染みの?ゴルゴン井上です。
一緒にHo Tayを一周したり(徒歩で8時間掛けて)、
ハノイで行われた映画発表会に行ってもらったりした、
あのゴルゴン井上です。
なお、Ho Tay一周の時に「ゴルゴンゾーラ」と印刷されたTシャツを着ていたためそう呼んでいます。
あと、映画発表会の左にいる女優は、ゴルゴンではなく松坂慶子さんです(ゴルゴンは撮影隊)。
霧雨のハノイで地獄の行軍…ho tay(西湖)を半日掛けて一周してきた~PHO CUONの看板娘編~
『ラストライフをベトナムで』(仮題)、映画製作発表会へ行って、松坂慶子さんと会って来ました。
実は彼、何者かというと、ハノイでカフェを切り盛りするマネージャー。
有り難くも積極的に手伝ってくれるのでべとまるにも何度か登場してもらってきましたが、今回の記事ではそんな彼のベトナムへ来た経緯や活動に対してスポットライトを当ててみたいと思います。
看板商品のクレープ(フレッシュマンゴー)。
目次
ネルソン「まずさ、ゴルゴンって22歳なんだよね?」
ゴルゴン「はい、そうです!」
ネルソン「見えへんわ…アゴヒゲもそうだけど、やっていることも振る舞いもそうは見えへんわ」
ゴルゴン「あ、でも、このヒゲは意識して伸ばしています。飲食店のマネージャーをやっていると言っても22歳だと軽く見られてしまうので」
ネルソン「ちょっと話せばそんなことはないとすぐ分かるんだけど、その年頃は現地だとほぼ全員が留学かインターンシップで来てるもんね」
いろいろなクレープがあるヨ。
ネルソン「そもそも僕らが出会ったきっかけって、ハノイ・カルティベート・トークだったよね」
【イベント】ハノイのクリエイター講演会、「Hanoi Cultivate Talk」に登壇してきました
ゴルゴン「はい。面白そうな人がいるなぁって実際に行ったら衝撃を受けました。もう悔しかったですね」
ネルソン「く、悔しいの?笑」
ゴルゴン「面白いことを先にされていることが、悔しい。すごいと思うと同時に嫉妬します。僕も、お店のPRなんかで動画を撮っていたんですよ」
ネルソン「言われておいてなんだけど、すごく言いたいことが分かるわ。俺もしょっちゅうそういうことを人に対して思うから、同じタイプの人間なんだろうね。いや、でも、」
ゴルゴン「はい」
ネルソン「そっちのボリビア留学もすごくね?」
ゴルゴン「えっ、ボリビアですか?」
ネルソン「うん。初対面の時に聞いた話だけど、ボリビア留学してたんでしょ。今時海外留学が珍しくない中で、ボリビア留学って響きは斬新だったわ。どういう経緯でそんな展開になったの?」
ゴルゴン「17歳の時に…」
ネルソン「これまた若いな」
ゴルゴン「“AFS”という高校生向けの留学団体があったんです。アメリカやアジアは旅行でも行けるし、それなら珍しい南米がいいなと。どうせなら地球を挟んで日本の裏側へ行こうと思いました」
ネルソン「でもどうしてボリビア?」
ゴルゴン「その時、ワールドカップが開催されていて、ボリビアがアルゼンチンに勝ったんですよ」
ネルソン「…」
ゴルゴン「…」
ネルソン「えっ、それだけ」
ゴルゴン「はい、そうです」
ネルソン「そう…。ボリビアの公用語って何なの?」
ゴルゴン「スペイン語です。一年間住んでいましたが、日本人は僕以外に一人も見ませんでしたし、日本語も一切話さなかったです」
ネルソン「日本語忘れてまいそうやな」
コーヒーもおいしいヨ。
ネルソン「それで、どういう経緯でベトナムへ来たの?」
ゴルゴン「ボリビア留学から戻っても、なかなか復学できないでいたんです」
ネルソン「どうして?」
ゴルゴン「周りの友人が『大企業に勤めたい』『公務員になりたい』と言っている中で、自分は『経営者になって稼いでやりたい』と思っていて、このまま復学しても望む道には進めないいんじゃないかなと。簡単に言えばくすぶっていたんですが、その時に父からベトナムに行って刺激を受けて来いと言われたんです」
ネルソン「そこでベトナムなんだ」
ゴルゴン「はい。父の友人にハノイでカラオケ(キャバクラ)を経営している方がいて、そこで働く女の子たちに日本語を教えるという仕事を紹介されました」
ネルソン「なんつーか…アバンギャルドな仕事だねぇ」
ゴルゴン「2013年の4月から3か月ほど働いていて、そうしたら働いている女の子たちと仲良くなりすぎて…オーナーから『何、店の子に手を出しとんじゃ』と怒られて辞めました笑」
ネルソン「えっ、手を出したの?」
ゴルゴン「断じて出してません!あくまで友達として仲良くなっただけなんです」
ネルソン「なんだか面倒な話っぽいのであえて聞かないでおこう」
バーというだけあってお酒も豊富に取り揃えております。
ネルソン「それからどう転がってカフェのマネージャーに?」
ゴルゴン「父の友人に名古屋でカフェを経営している方がいて、ベトナムでも展開したいと」
ネルソン「お父さん、ネットワーク広すぎるやろ」
ゴルゴン「そうかもしれないですね」
ネルソン「でもさ、こうして店内を観ると、当たり前だけどカフェしてるやん?だけど、日本でそういうことをしていた訳でもなく、それこそ一人の学生だった訳だよね」
ゴルゴン「はい」
ネルソン「何から何まで自分でやったって訳?」
ゴルゴン「いや、そうは言っても内装やメニューのデザインなんかは友達にお願いしてますよ!」
ネルソン「いや、そりゃそうなんだけど…ディレクションとか……すごいな」
ゴルゴン「最近になってやっと落ち着いてきたところで、立ち上げ時にはトラブル続きでした。従業員同士で喧嘩して包丁を持ち出したり…レシピを盗まれていたことが発覚したり…」
ネルソン「うわー」
ゴルゴン「働いている時にレシピの内容をメモ書きしてるので、『何してるの?』と聞いたら『子どもに食べさせたい』と。でも販売価格はメモらなくてもよくね?って」
ネルソン「うわーうわー」
ゴルゴン「その紙は没収するねと言ったら、『こいつは私を盗人だと言っている!だから辞める!』と去っていきました」
ネルソン「じゃあ未遂に終わったってこと?」
ゴルゴン「いえ、それからしばらくして、隣の省で彼がクレープ屋がオープンしたと聞き…。それからしばらくは、『彼から紹介されたんだけど…』って、ちょくちょく変な業者が来てました」
ネルソン「当て付けにピザの宅配頼むみたいやな、当て付けっていうか逆恨みだけど」
日本のマンガ(ベトナム語版)も置いてある。
ネルソン「そもそも、クレープを選んだ理由は?」
ゴルゴン「その時、というより今もですが、あんまりクレープが一般的で無かったんです」
ネルソン「なるほどね」
ゴルゴン「ベトナム人のお客さんからも反応は上々で、日本人のお客さんからも食べられるところが少ないので嬉しいと。ただ、まだまだ伸びしろはあるので、もっと広めていきたいとは思っています」
ネルソン「今後の展開はどう考えてる?」
ゴ ルゴン「実は今の内装も改善したいところがたくさんあるので、それこそ先日のハノイ・カルティベート・トークで知り合った建築家の方や、さまざまな方とお 仕事をしながら変えていきたいと思っています。音楽イベントが出来る場所でもいいし、夜はバーのようにしてもいい。メニューもデザインと共に変えていきた いと思っています」
ネルソン「あ、というより、もっと前提のことを忘れた。休学中なだけあって、まだ学生なんだよね?」
ゴルゴン「あ、はい…」
ネルソン「学校はどうするの?」
ゴルゴン「辞めようと思ってます」
ネルソン「両親は?」
ゴルゴン「父は『いいんじゃないか』と言っていて、母は『卒業はしてくれ』と」
ネルソン「ま、でも、確かに、ここまで仕掛かっていて途中離脱っていう選択肢はねぇ…」
ゴルゴン「復学すると一年以上は離れることになるし、そうなるともう自分の店ではなくなります」
ネルソン「そうだね。働くために学校に通うと考えれば、ゴルゴンはもうその過程を通り過ぎている」
ゴルゴン「はい」
ネルソン「うん、じゃあ最後に、これを見ている方にメッセージはある?」
ゴルゴン「基本的にいつでもいるので、遊びに来てください!」
ネルソン「はい!有難う~」
ゴルゴン「有難うございます!」
***
実はこのインタビューを行った時期は、3月頭。
はい、毎度お馴染み、遅まきながらの書き起こしでごめんなさい。
それから五ヶ月が経ち、ゴルゴン井上くんは正式に学校を辞めて完全にハノイに身を置いています。
当 時は『やっと軌道に乗りはじめていた』という経営も利益が出るようになってきたらしく、現地のテレビメディアに取材されたり、また近日中にデリバリー専門 のお店をHo Tay周辺にオープンするそうです。て、あの地獄の行軍を行ったHo Tayかよ…。次はクレープ片手にやるのかな。
ハノイを訪れた際、またハノイに住まれている方は、是非とも彼のお店を訪ねてみてください。
また、最後に、彼がお店のPRとして公開した動画を載せます。
The PV of Queen’s Coffee Japan
Posted by Queen’s Coffee Japan on 2014年3月7日
いや、君の方がぶっ飛んでるやろ。
店名: Queen’s Coffee Japan
住所: 7 Tran Quy Kien, Dich Vong, Cau Giay, Ha Noi