日本では当たり前のものも、ベトナムはじめ海外では思わぬ形で解釈されます。今回紹介するものもそのひとつ、我々には見慣れた食品サンプルだけど、ベトナムだと魔法のようだと言われて流行りものに…!
ライター:ネルソン水嶋
公開日:2016/11/07
食品サンプルっていいですよね!
レストランのショーウィンドウに置かれてある食品サンプル。日本独自の技術として高い評価を受けていますが、古くは江戸時代の蕎麦屋で土を盛ってサイズを表現したことがはじまりだとされています嘘です。
たまに日本へ帰国するとひさしぶりに目にするものばかり、そのひとつが食品サンプルです。本物そっくりの見た目で、あれで食欲をそそられて吸い込まれるようにお店に引き込まれるんですよね~。
ホーチミン市内に、そんな食品サンプルのような食べ物があるらしい!という情報を聞きつけて、現場へ向かいました。食べ物に似せたサンプルに似せた食べ物??訳分からんぞ、一体どういうことなんだ…。
場所は市内中心地にある、Dien Thien Hoang通り。市内有数の主要な道路で、ここに沿って家やオフィスがあるという在住日本人の方も多いでしょう。夜6時すぎ、この日は土曜日でしたが、土曜出勤も多いベトナムでは帰宅ラッシュの様相を呈していました。で、そんな通りの…道端に!
すごい人だかりが!!
以前から通るたびに気になっていましたが、ここお店なんですよね。
ベトナムは屋台文化が盛んですが、日本人にとって身近な縁日にあるような屋台ではなく、人一人入るのがやっとな移動式屋台に、路上にプラスチック製のテーブルとイスを並べた簡素なものがほとんど。
といってもここの調理場は屋根さえあれば立派なお店になりそうで、
日中には何もないということが信じられないくらい。
実は、市内の至るところにある屋台の多くは国や市の土地を勝手に実効支配しちゃってる感じで、警察がやって来たら「散!」と忍ぶ者がごとく逃げるということがお約束になっています。ですが、ここはあまりに大きくやっているので、土地の所有者と話をつけていると見ていいでしょう。
でなければこんな火立てられねーし。
「食品サンプルのような食べ物」を注文し、しばらく待ちます。
友人「結構時間かかるって」
私 「え、そうなの?まーしょうがない…」
~30分後~
私 「かかり過ぎだよ!」
店員「お待ちー」
私 「っと」
ききき、来たー!!
ご覧ください…これぞ「食品サンプルのような食べ物」!ラーメンやスパゲティの食品サンプルでよく見かける、箸やフォークで麺を持ち上げた状態…を、本当に実現しちゃったというシロモノです!
どうなっているかというと、
ここ!よく見るとアルミ製の支えが付いています。
すごく興味深い話がありまして、最初に私がこの存在を知ったベトナムのニュースでは、これを「Flying Noodle(空飛ぶ麺)」と呼んでいたんですね。日本人からすると「食品サンプルだ!」と驚くところだと思うのですが、彼らはそもそも食品サンプル自体を知らないので、「空飛ぶ麺だ!」と驚いた訳です。
という訳で、こんなポーズが流行っているらしい…
ハンドパワ~!!
パシャー(シャッター音)
ハンドパワ~!!
パシャー(シャッター音)
ハンドパワ~!!
パシャー(シャッター音)
そうしてひとしきりSNS用の写真を撮ったあとは…
食べにくいので引き抜きます。
念のため言っておきますが、本当に流行ってるポーズです。
あとどうでもいいけど、「ハンドパワー」で年齢バレますね。32歳ですけど。
具は、牛肉、鶏もも肉、練り物、ブロッコリー。
ちょっと親和性は見えないですが、若者向けのバラエティ重視という感じ。
モチャッモチャ…モチャ…!
友人「味は?」
私 「包み隠さずノーコメント!」
友人「ノーコメントなのに包み隠してない!」
モチャモチャという擬音で表現したつもりです。
看板商品のステーキは、美味しかったよ。
隣や、ほかのお客さんも空飛ぶ麺を注文して楽しんでいるようでした。
こちらのメニュー、もともとはシンガポールで流行った「空飛ぶ蕎麦」にインスピレーショ…もとい、マネッコしたものだそうです。店主に話を聞きたいなと思っていたけど、取り付く島もないと表現するに相応しい多忙っぷりだったので断念。
ここのところベトナムの流行りを調べる機会が増えているのですが、若者を中心にSNSでの拡散を狙った、インパクト重視のメニューが増えているようですね。だいたい、シンガポール・韓国・タイ・台湾あたりのアイデア転用が多いので、そろそろベトナム独自のものを期待したいなと思う今日この頃です。
店名:Bo Ne 3 Ngon