ダナンのミーソン聖域近くに「秘湯」があると聞きつけて、現地へ!久方ぶりの温泉だ~!と思ったら、源泉なので熱すぎる!でも頑張って楽しんでたら、最後にとんでもないものを見ちゃったよ…。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2018/08/21
ダナンのミーソン聖域近くに「秘湯」があると聞きつけて、現地へ!久方ぶりの温泉だ~!と思ったら、源泉なので熱すぎる!でも頑張って楽しんでたら、最後にとんでもないものを見ちゃったよ…。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2018/08/21
「ダナンにね、秘湯があるんですよ」
と、ベトナムの大ベテランの方に聞かされて「まっさか~!」と。
秘湯を語るその前に、「温泉」があります。そりゃ、ホーチミンならレタントン通り(日本人街)の日系ホテルに銭湯のひとつやふたつはあるだろうけど、そもそもベトナムには日本的な温泉の文化はない。はずだ。だけどよくよく話を聞いてみると、それは「源泉」なのだという。なるほど確かに、温泉の前に源泉があって然るべし…。それを秘湯と呼ぶなら納得だ。行ってみたいよね。
目次
改めて説明すると、ダナンはベトナム中部の最大都市。
最近は日本のテレビ・ネット・雑誌で頻繁に特集されるようになり、知名度も高まったかもしれません。南シナ海に沿って南北の伸びた地形はリゾートとして最高の環境で、同じく南北に伸びるハン川には大きく5つの橋があり、とりわけ内4つの橋は綺羅びやかなネオンに飾られて都市夜景も最高です。
ソンチャ半島まで北へ上ると、小高い場所にリンウン寺というお寺があり、ベトナム最大の観音さまがダナンの街を見下ろしている。その足元から眺める夜景がもう最高。これはぜひとも一度はご覧になっていただきたい。あと郷土料理もおいしくとくに中部式の小さなバインセオは必ず毎回…
秘湯の話でしたね!
そんなマイフェイバリットシティ・ダナンに秘湯があると、大ベテランの方に連れられて向かいました。
穏やかなダナンの海。都市である一方で見られるこのどこまでも突き抜けるような晴天が、高層ビルでごちゃごちゃしがちなホーチミンと、分厚い雲に覆われがちなハノイとの大きな違い。
と思ってたらすぐに曇ったよコンチクショウ。
この向こうに見える山がマハーパルヴァタ。観光地としても名高いミーソン遺跡があります。
最近乃木坂46が踊ってた場所、これがミーソン遺跡。
ダナンのあるあたりは西暦1832年までチャンパ王国という国が存在していました。何気にこのチャンパ王国は興りが192年、つまり1640年間に渡って存在した超長寿国、ベトナム史の中でももっとも長いのです。日本は世界一古い国ですが、もしまだ存在していればチャンパ王国はその二番手だったんですね。長さというものさしだけですが、長男!次男!みたいな感じで仲良くなっていたかもしれません。
で、そんなチャンパ王国にとっての聖山がマハーパルヴァタであり、聖地としてミーソン聖域を築いた、という訳ですけど、秘湯の話でしたね!また話が逸れてんな!!なんかもうあれなのよ、昔に比べていろんなところで記事を書くようになったけど、ことベトナムのことになると語らずにはおられんのよ。
セーブセーブ!猛る思いをセービング…私の下の名前はたける…(無意味にあふれる自己顕示欲)。
で!だ!…そんなミーソン聖域を擁する山、マハーパルヴァタの近くに噂の秘湯はございます。
さきほどの山の写真からさらに一時間車を走らせて…
べべべん!
私「み~~~~~そ~~~~~~~~~~ん!!」
マハーパルヴァタ「聖域~~~~~~~~~!!」
と、大自然に翻弄される卑小なる人間のノリにも応えてくれそうな懐の深さを感じます(個人の感想というか妄想です)。
そんなマハーパルヴァタ師父から視線を右に移すと…
今回の情報元、ベトナムの大ベテランがすでに秘湯へと向かっていました。マハーパルヴァタに負けないレベルで霊験あらたかなお方なので姿は出せません。となりのトトロ的発想で、不思議なモザイクが秘湯に案内してくれたと思ってください。これもうジブリっていうより日本神話だな、二千年くらい経ったら神社になるやつだ。ここでは名前を「ニーナさん」としておきます。
そこから遅れて歩く今バランスを崩しかけた手前の男性は、その部下のワイネックさん(仮名)です。
ニーナさん「ここは足元が泥だらけなんで、裸足で歩いた方がいいですよ」
なるほどなるほど!
わ、大地とつながってる気がする!(考えなしのコメント)
あれ、数歩歩いただけでお股が濡れてる…このときお漏らししてたっけ?と思ったらただの影でした。
「してたっけ?」というとまるでちょいちょい漏らしてそうですが、高1以来してないはずです。
いや~!それにしてものどかだな~!!
と思いきや。
このとき実はこの近くで結婚式が挙げられており、めちゃくちゃうるさかった。
まぁ、あっちもこっちも自由にやっとるからね。それは仕方ないね…。
それにしても…
ふだん遠くから眺める分には牧歌的な水牛さんですが、自ら近づくとほんとに怖い。
あ、おい!こっち見んじゃねぇ!文字どおり道草食ってろ!
だが現実は非情、俺が通る道に立ちやがる…こいつら嫌がらせしてんのか?
水牛にカツアゲされたらどうしたらいいんだよ、ミルク出ないよ、俺。
身体で払わされるのかな?たとえばホラ、でっかい農耕器具引っ張らされたり。
なんてことを考えながら待っていると道を空けてくれたのでそそくさと渡ります。
だからこっち見んじゃないってば、「意思疎通できない大きな動物」ってだけでも怖いんだ。
先に到着したニーナさんとワイネックさん、なにやらデッカイ井戸のようなものを見ています。
おぉ、なんじゃこの青いの…!!(語彙力)
ニーナさん「これが秘湯です」
私「へー」
私「なんだか青いですね?」
ニーナさん「アルカリ性だからですね」
すでにこのあたりには軽く硫黄のような匂いが漂っています。また、源泉は60~70度と「お茶くらいの熱さ」だそうで、同時に熱気もこみ上げていました。空が曇っているとはいえただでさえ暑い気候の中で、さらに全身に蒸気を浴びるのはなんとも新鮮な感覚です。
きれいすぎる水ってずっと見てると怖くなるよね。
ニーナさんによると、この源泉を知ったのは30年前(いや、改めて、どれだけいるんだ)。当時はこれをミネラルウォーターとして展開しようとしたものの、頓挫。この囲いはそのときに築いたものだそうです。確かに30年経ってそう~(適当~)!チャンパ王国の聖山も見えるし、南ベトナム解放民族戦線、いわゆるベトコンもここで戦いでの傷を癒やしていたのではないか?とのこと。
余談ですが、時代とともにその意味合いも薄れているとはいえ、ベトコンという言葉はもともと戦時中の米軍側が使って(呼んで)いた蔑称ですので、とくに戦時世代のベトナム人の方の前で使用するときは気をつけましょう。
足元には大量の羽根、この訳は…?
で、この源泉をふくむ土地はニーナさんが所有しており、ダナンがリゾート化していくに当たって、この源泉を使った温泉リゾートの建設などを検討しているそうです。あー、それ、いい。由緒ある山を眺めながら温泉、最高だ。しかし今の今はこのままの放置状態で、地元住民が食材(!)の下ごしらえなどに使っているとのこと。
つまりさきほどの羽根は、鶏に熱湯を掛けてズルッとひん剥いたあとのゴミ、って訳ですね。いや~!グロ~い!ネルソン最低~!なんて言ってはいけませんよ。誰が最低だ。このあともっとヤバイものが出てくるので、パッション屋良(懐かしい)ばりにフンガフンガ心臓を叩いて心の準備をしておいてください。動物好きは次の次の見出しに入ったら見るな、絶対にだ。
触ったら熱かった、そりゃお茶くらいの温度だもんね!
でもさすがはアルカリ性、というのでしょうか。指先の肌触りがスルッスルに。
間違いなく温泉や!うんそれは知ってる!聞いて来た!
ちなみにこの田んぼの水路までアルカリ性の影響のためかところどころ青く、そしてぬるい。
でも、残念ながら、源泉のままだと熱すぎて入浴どころか触れることもままならない…。
ニーナさん「裏に川がありますよ、源泉と合流しています」
私「え!水温ちょうどよくなってるのでは」
ベトナムの川といえばその肥沃な土のために茶色が多いが、このあたりは上流のためか透き通っている。
ニーナさん「あそこあそこ」
私「どこどこ」
ここか…!
ちなみにこの木にやたらとビニール袋を掛かっているのを見て「どんな風習だ」と思いましたが、違います。なんとこれは水位が上がって引っ掛かったままのゴミがそのままになっているとのこと。どれだけ水位上下するんだよ、風習でも怖いし、それはそれでどっちも怖いよ。今の日本人に水害はあかんぞ。
このあと別の場所で見かけたゴミ、位置が高すぎる!
川と源泉から流れてくるお湯の合流地点を足先で探す。まるでヘビのピット器官(調べてください)。
あったか~い!
つめた~い!
あったか~い!
と、ひとしきりひとり自販機を楽しんだところで、ダナンの秘湯についてはこれにておしまい。
で、このあとですよ、忘れられないあの出会いは。
ここからは自己責任でお読みください、クレームは受け付けません。モザイクはかけました。
犬好きの方は今すぐにここで閉じてください。さようなら、また会いましょう。
さきほど「結婚式が挙げられている」という話をした通り、相変わらず向こうの家ではどんちゃん騒ぎが聴こえてきます。で、こちらは裏の川。源泉の熱湯で、鶏と同じようにメインディッシュを下ごしらえをしていたんでしょうね。式の関係者と思われる男性が、とある食材を焼いておりました。
正真正銘の「ホットドッグ」を。
さらにこのあと【自主規制】
いや~…。
ベトナム、とくに北部には犬食文化があり、テト(旧正月)などのときに食べると縁起が良いとのこと。ダナンは中部にあたる訳ですが、全国的にやはり地方に行くほど昔ながらの習慣が見られます。もちろん、犬肉料理自体は都市部のレストランにもあるので私も調理されたものを見たことも食べたこともありますが、それでも調理の真っ最中に出くわしたことははじめてだったのでおったまげ!
いや~、手足ピーン!と伸ばしとったで…。ナンマンダブ…。
まぁ、文化は多く触れるに越したことはないと思ってるので、いい経験にはなったと思う。
でも、心なしか、帰りの水牛の視線が痛かったです。
俺はやっちゃいねーぞ、なんも!
途中で寄った村でも、そこにいた犬が、
吠えることなくずっと僕を見てたんだ…。