以前から思っていました、ベトナムってドラクエじゃないか?と。山もあれば、洞窟もあるし、奇妙なダンジョンもあれば、ラスボスっぽい建造物もある。そこでドラクエ的プロットに沿って、ベトナムのいろいろなスポットを紹介します。その第二弾、後編です!
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2018/10/09
以前から思っていました、ベトナムってドラクエじゃないか?と。山もあれば、洞窟もあるし、奇妙なダンジョンもあれば、ラスボスっぽい建造物もある。そこでドラクエ的プロットに沿って、ベトナムのいろいろなスポットを紹介します。その第二弾、後編です!
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2018/10/09
ベトナムってドラクエじゃないですか?
とかねてからから抱いていた思いを訴えるべく、ベトナム各地をドラクエ風プロットになぞって紹介する企画。今回はその後編です。前編は下記からどうぞご覧くださいまし。
前編までのプロット
山間の村、サパに住む青年べとくす。ある晩、彼の村を怪しい霧が包み込み村人たちは覚めない眠りに陥る。それは人類絶滅を企む霧の魔術師の仕業だった。伝説の英雄・ロイを先祖に持つべとくすはひとり免れ、魔術師を追う妖精ほりいと討伐の旅へ。港町、ホイアンで旅支度を整え、ムイネーの砂漠を乗り越え、妖精の小川で妖精王の加護を受ける。悪名高き魔術師、クレイジーハウスの主を打ち倒すと、霧の魔術師の弟子ということが判明。ホアンキエム湖の大亀から魔術師が常にまとう「降魔のベール」を切り裂けるという宝剣を授かり、いよいよ旅は後半へ…。
ここまで来ていろいろ思うことはあるのだけど…最後に書くとして!書き切ります!
目次
ハノイから車で4時間ほど行った先にある、世界遺産・ハロン湾。
宝剣を手にしたべとくす。灼熱のムイネー砂漠は経験したが、次は広大な海原!魔術師が潜むという魔大陸へ渡るため、ハロン湾を行く。ここにはある伝説が眠る。それは、天空から龍が舞い降り、口から吐き出した宝玉によって国敵を撃破、それがこの巨岩奇岩に形を変えたというもの。しかし現在は、それらを根城に海賊たちが商船を襲っているという。そして案の定、現れる海賊たち!
ハロン湾は観光系の写真などでは青く晴れ晴れとした天気なのですが、あいにく一年のほとんどが曇ってばかりと言われています。かつ、このときの日程はただでさえ冬のハノイでも霧の多い季節だったので、手持ちの写真に至っては当然ながら霧まみれ。ハノイは10~11月頃につかの間に訪れる秋がベストシーズンだと言われますが(稲刈り直前のサパもそう)、ハロンはどうなんでしょう。各自お調べください。
プロットに、龍の宝玉が~、海賊が~、と書きましたが、ぜんぶマジです。いや、前者は神話みたいなもんだけど。とはいえ、その国敵が当時の中国だと謳われたり、ホアンキエム湖の宝剣もレ・ロイが明(みん)を追いやるのに大いに活かされたとあるので、ベトナムって神話と史実の境界線があいまいなんですよね。その意味では天皇家のルーツが神話につながっている日本とも似ているといえるでしょう。
海賊は、数世紀前に潜んでいたそうです。また、海の迷宮というべきその入り組んだ構造から、モンゴル帝国からの侵攻に対して軍事的に利用されたとのこと。
奇岩の形状はなにかと動物にたとえられます。これは「ゴリラ岩」、数ある奇岩の中で一番それっぽく見えるかも。ツアーに参加すれば(というかツアーに参加しなければここまで行けないと思うけど)、20万ドン紙幣に印刷されている奇岩も紹介されることでしょう。
それにしても、さっきのモンゴル帝国はどちらかといえば例外で、神話にしろ史実にしろベトナムの敵は基本的に中国なんですよね。ベトナムの漢字表記の「越南」も、もともとは「南越を名乗りたいっす!」と主張した誕生したばかりのグエン王朝に対して、中国が「越南にしなさい」と押さえつけて変えさせたものだし(その理由には清よりもずっと以前の漢の時代に、「南越」という漢にとって厄介な国がありそれを想起させるため、などともいわれる)。
ハロン湾の巨岩には内部に鍾乳洞があるものも多く、ライトアップのセンスが日本とはかなり異なっていておもしろい(情緒はない)。また、それらもなにかしらのものにたとえられることが定番で…。
こっちが老婆で、
こっちが龍だったか(レーザーが当たっているところが目で、その下が口)。
その意味では、神話にある「宝玉を吐いた龍」が石になって眠っているという話でもよさそうです。
ところでよく考えると、湾内の巨岩奇岩は合計で大小3000あるといわれるのですが、それが「当時の中国を撃退したときに吐いた宝玉」と考えると、意外と龍も苦戦してますよね。3000ターンも攻撃しないといけない敵もなかなかいない、というかたぶんないぞ。いかんいかん、最初ですごく長くなってしまった。
ダナンの週末名物、ドラゴンブリッジ。
ハロン湾を越えて魔大陸に上陸したべとくす。その行く手を阻まんと空より現れた黄金に輝く龍。それはかつて世界を灼熱の炎と大洪水によって脅かし、英雄ロイの宿敵として何度も戦い、ついには魔大陸に封印されていた黄金龍だった。
私も超大好きなドラゴンブリッジの登場です。2013年に建設されたこのドラゴンブリッジ、週末の夜9時には火と水を噴き、市民たちは大迷惑!…と思いきや、アトラクションとして毎回大勢のひとびとが集まります。いつ行ってもめちゃくちゃたくさんいる。観光客は分かるけど、地元の人の盛り上がりっぷりといえばもうすごいです。
この通り、ガチのガッチガチでのファイアーブレス。そこそこの高さなので距離がある訳ですが、地上でも熱気は存分に伝わります。
そしてなにより、この水しぶき!タイのソンクラーン(4月に行われる水掛けまつり)にも負けないレベルでぶっ放される。炎3水7というくらい、水のパフォーマンスが長くつづくのですが、この風向きが悪かったら…。
はい、こうなるー!…といっても、ひとつ前の写真ですでに被ってたけどね。モンスターパニック映画さながらだ。
私はこれで一度カメラを壊しています、なので防水対策はシッカリと。といっても、水かぶりも龍の頭からXの方向のいずれかにいくので、確率的には1/4なんですが…なぜか3回行って3回被っている気がする。さっきも書いた通り、毎週末たくさんの人が見物に集まっているのですが、これほんとよくベトナム人(ダナン市民?)のツボにハマったよね。さすがにここまでの水しぶきだと、日本だとすぐ中止になってんじゃない?年イチの祭りとかでないと許されねぇだろこの所業。
繰り返しになりますが、個人的には超大好きなので、初ダナンの人には必ず教えています。
再びダナン、というかこのあとずっとダナンです。その大理石でできた山、五行山。ここは山中にある洞窟の天井にボカンと穴が空いており、よく晴れた日の正午に行くと光の柱が現れます。
先の黄金龍との戦いによって宝剣の威力に限界を感じたべとくす。そこで、かつて魔大陸をふくめて世界中を行き来できた時代、修行者の聖地として崇められた五行山で、万物の力を引き上げることができるという光の柱の存在を妖精ほりいから教えてもらう。幾度もの戦いで刃こぼれした宝剣は…光を受けて聖剣として生まれ変わった!
ダナンから車で15分も行けば、五行山には到着します。大理石でできた山のため階段は滑りやすく、ご注意を。洞窟には30分ほど上っていけばたどり着くので登山というほどではないのですが、一段一段の面積が広め&光の柱を見るなら必然的に快晴でないといけないため、結果的にすごく体力を消耗します。
「ベトナムで一番の絶景は?」と問われると、たくさんあるもののやはり私はここを選ぶかな。もうなんだかんだで5回は行ったか、ダナンに来たら必ず行っている気がする。「修行者の聖地として~」と書きましたが、実際にここはかつて儒教徒の修行の場として使われていました。洞窟入口そばには、400年前にホイアンに住んでいたと思われる日本人が訪れた痕跡も残っています。ちなみに彼の名前は「福田」さんです(そう書いてある)。
歴史の長い五行山ですが、この穴はベトナム戦争時という近年にできたもの。アメリカ軍が上空からガス弾を落とし、ベトナム人兵士が11人亡くなったという情報もありますが、種類と人数は定かではない。
聖剣伝説~と書いた通り、まさにそれっぽい!ということで、実際に私も作り物の剣をここに置いて撮影しているんですよね。サラッと書いたら逆に頭おかしいと思われるな。企画です!企画ですよ(なんのフォローにもならない)。これがあまりにも聖剣感がほとばしっており、個人的にもお気に入りの記事です。ここまでの説明で「そこまで由緒ある場所でそんなことしていいの?」と思われるかもしれませんが、写真を見ても分かる通り現代では観光スポットになっているのでご容赦くだされ。
ダナンの五行山があまりに神々しいので聖剣を突き立てたらインスタ映えした話
ダナンの山頂テーマパークこと、バナヒルズ。国内二位の長さ&高低差のケーブルカーがあります。
五行の光によって、魔術師がまとう「降魔のベール」を真に打ち払える聖剣を手にしたべとくす。舞台は最終決戦へ!先の戦いで味方につけた黄金龍の背中に乗り、霧の魔術師が住むという浮遊城へ向かう。
さっきの写真、よーく見ると奥に西洋風のお城が(バリバリ工事中だけど)。これはフランス村、バナヒルズの山頂にある施設です。このときはよく晴れていましたが、季節や天候によっては霧深く、本当に天空の城に突き進む感じがあるんですよね。
あったわ、これこれ。昔撮ったの。思ったより霧深くはなかった…けど、さっきの写真よりまだ雰囲気はあるでしょう。
到着して抜けると…
完全にユニバーサルうんたらなデザインですが、実態は志摩スペイン村に近いでしょう(関西人じゃないと分からないか)。
「ベトナムでもっとも欧米人人口密度が高いのでは?」と思うほど、欧米人パフォーマーで埋め尽くされているのですが、その統一感のなさがすごい。オリジナル風な衣装もある一方で、ロンドンの近衛兵やリオのカーニバル、サッカー選手、などなど…「ベトナムが考える欧米イメージ」をなんでもかんでもぶっこんでいます。とはいえ、そのあたりは日本も世代や環境によって大差ないのかもしれない。
フランス村は本当に最高だったので、またいずれゆっくりご紹介したいと思います。
そして本企画のきっかけとなった、ゴールデン・ブリッジ!ラスボスです。
「いよいよここまで来たか…憎きロイの子孫、未来永劫根絶やしにしてくれるわ!」、霧の魔術師は神の諸手を召喚。物語は最終決戦へ。手だけで自らの背丈の何倍もある敵、落ちれば地上まで真っ逆さま!しかしこれまで戦ってきた経験という自負がある。すべての指を切り裂き、降魔のベールを貫いて魔術師の身体に突き刺さる聖剣!浮遊城から、魔大陸から、世界から晴れていく霧。今、世界は救われた…!
前に紹介したゴールデン・ブリッジ。「まるでRPGみたいだ!」と世界中で話題になったあれですね。
プロットと違ってこのときは割と晴れてたんですが、霧深ければそれはそれで雰囲気がありそうです。いや、むしろその方がかっこよさはあるのかも?天候によって表情を変えるという意味では、バナヒルズさん、良いものをつくったなぁ~と思います。
もともとこの両手の主は「山の神」だそうで、「神」と書いたのもあながち間違いではありません。一方は攻撃、もう一方は補助魔法や回復魔法をトコトン使ってくるタイプですね。それにしても、でけーな。
と!以上、ベトナムがドラクエだ、でした。
いや~長かった、長かった割に途中でプロットに飽きてしまった。というのは半分言い訳で、恥ずかしくなってしまった!こういうのってやる切る気持ちが大切だから、それを前後編に分けたのは(精神面で)失敗だったね…堀井雄二はそれを何十年もつづけていてすごいよ…中二病Lv99だよ。あ、いまさらですが、妖精「ほりい」は堀井雄二から付けてます。たまたまホリー(聖なる)なんだね。
いずれにせよ、ご覧の通り、ベトナムにはドラクエっぽい場所がたっくさん!あります。霧といえばダラットだってすごいし、メコンデルタのジャングルも冒険感があってドラクエ映えるでしょう。あと、キリがないので今回は外しましたが、南部のクチトンネルの地下洞窟っぷりもなかなかです。洞窟といえば、2009年に発見された40階建てビルがスッポリと入るソンドン洞窟もあります。ダンジョンとしては最強ですが、行ったことがなければ写真もないのでパスしました。
今回紹介した場所は観光地としてはどこも定番なんですが、そういった視点でベトナム…というよりどこでもそうなんですが、見てみるときっと気づかなかったおもしろさが見えてくるのではないか、なんて思います。ではでは!これからもベトナムをお楽しみください~!(どういう立場?)
世界に訪れた平和、聖剣をホアンキエム湖に返しに戻るべとくす。
しかし、戦いはまだ終わらなかった…。
ゴゴゴゴゴ…
この釈迦像の場所はあえて、ヒミツ!