ベトナムのオタクの祭典、「マンガフェスティバル2015」に行って来ました。
ここのところ、ホーチミンではスッカリとオタク文化が浸透してきたようです。若者が多いカフェにいるとアニメソングが流れて来たり、道を走っているとイベント会場から日本語の歌が聴こえてくることも、それほど珍しくなくなってきました。
さて、今回は、そんなイベントのレポートです。
ホーチミンで毎年開催される「マンガフェスティバル」。
数あるオタク系イベントの中でも老舗の方だと思います。
なんだかんだで、2014を除いて、2012、2013、と行っていた私。
これ以外に同系のイベントはひとつくらいしか行ってないので、本当にたまたまでした。
今回のイベント会場の場所は、ホアルー運動場。
会場に入る前から、
ちらほらとコスプレイヤー達を見掛けます。
このキャラクターは私でも分かる、艦コレの島風だ。
ゲーム自体は知らなくても、ネットで読み物をしていると広告などで自然と知っちゃう。
隣はマスコットキャラクターかな?
って、
おいおい!
兄ちゃん!
なんで人前で脱いでんだよ。
そうそう、ベトナムでは何故か、被り物を人前で脱ぐことをいとわないんだった。日本だと人前で脱いじゃダメ(正体を明かしちゃダメ)って暗黙の了解だけど、この考え方の方が世界だと独特なのか?
何故か円型のチケットは85,000ドン。
2012は40,000ドンだったので実に倍以上!ブームの盛り上がりが伺えます。
と、よく見るとこのチケットのデザイン、アオザイ姿の初音ミクなんですね。
この手の文化の融合は見ているだけで楽しいなぁ。
神と神
????「ネルソンさん!」
ネルソン「あっ…あたなは…あなたは神!」
説明します、彼は神。
ちゃんと説明します。
三ヶ月頃前に、友人から「神を紹介します」と言われてつないでもらった人物がこの男性(日本人です)。彼はなんと、常に日本の最先端のオタク知識を持っていることから、ベトナム人オタク達の間では「神」として崇め奉られているらしい。
神 「いえ…あくまで一部から言われているだけですし、神になろうとしている最中です!」
ネルソン「じゃあ、神(仮)って書いておきますね!」
神(仮)「いいですね!じゃあそれで」
今になって考えてみると、どんな会話だコレ。
神(仮)「会場に入ったら足場もないですから覚悟してくださいね」
ネルソン「えっ、足場がないって?ステージにでも立つんですか?」
神(仮)「こういうことです!」
ネルソン「う~ひゃ~!」
賑わってる、賑わってるなぁ。
ネルソン「えーと、まず何処からどう行けば…」
神(仮)「
ショット!!」
ネルソン「神(仮)!?」
と、いきなり撮影を始めたように見えて、そうではありません。
神(仮)が神(仮)の友人と遭遇し、撮影会が始まったのです。
神(仮)「さぁ、ネルソンさん!前へ前へ!今撮れる写真は今だけですよ!」
ネルソン「あっ、はっ、はい!」
前へ!
前へ!
前へ!
会場 「わーーーっ!!」
ネルソン「!?」
ネルソン「何ですか?アレ」
神(仮)「あぁ、アレは…」
神(仮)「外国から呼んだゲストのトークショーです」
ネルソン「何ですと!」
神(仮)「さしずめ、コスプレ界の神々ですね」
ネルソン「神多くない!?」
ネルソン「じゃあアレは、『神々の世間話』なのですか」
神(仮)「はい、アレは『神々の世間話』です」
ちなみにさっき神(仮)が撮っていた左の女の子も、「ベトナムの神」らしい。
神(仮)「つまりこの二人は『ベトナムの神』と『マレーシアか…タイかどっかの神』ですね」
ネルソン「
ハッキリしねぇのかよ!」
※後日、こちらのゲストは台湾からだと判明。
ただ、神(仮)のよく知るベトナムの神については外国に行って初めて神扱いされるらしく、地元では一介のコスプレイヤーとは言わないまでも、ワーキャーされるほどではないらしい(それでも)。あくまで外国から招かれたゲストという立ち位置もあっての神認定なのでしょう。これが、他の国のコスプレイヤーにとっても同じ現象が起こっているのかは分かりません。
神(仮)「ちょっと会場を回ってみましょうか!」
ネルソン「はい!」
ありとあらゆるコスプレイヤーの皆さんたち
会場には本当にいろんなコスプレイヤーの方がいました。
作品が分かるものも分からないものもあるのですが、基本的に言及せず紹介してまいります。
ネルソン「コスプレでしょうけど、制服姿だとベトナム人か日本人か分からなくなりますね」
神(仮)「最近は、制服を私服として着る子も増えているらしいですよ」
ネルソン「えぇ!?」
ネルソン「えっ、特撮!?」
神(仮)「特撮好きは多いんですよ、ただコスプレと趣味が被る人が少ないだけで」
ネルソン「彼の場合は?」
神(仮)「好きすぎて着ちゃったということですね」
ちなみに私は高校の頃にヒーローショーのアルバイト(戦隊モノとかウルトラマンとか)をしていたのですが、こちらは舞台用の衣装と見てもなかなか完成度の高いコスプレでした。
振り切って来たな…。
ん…。
あれは…!
ワンパンマンまでいるとは!おみそれしました。
三年前のイベントではもっとコテコテというか、オタク界隈の中ではメジャー路線のアニメのコスプレばかり目立っていたのに、戦隊モノとか剣道とかワンパンマンとか、以前と比べて「自分がしたいコスプレをする!」という意志を感じられます。型にハマっていた状態から、それぞれが自由になってきた印象です。まぁ、剣道に至ってはコスプレと呼んでいいか悩ましいけど。
コスプレ以外の出し物・ショップ
コスプレ以外にもいろいろあるよ!ショップなど出店の数々。
ザザザザザーッと紹介してまいります。
グッズ販売。
でも、
こういうところは、
相変わらずのベトナムです。
雑誌も売られていました、どうやってこれだけの量を持ち込んだのか不思議。
ほう、「MANGA FOOD」とな…漫画にちなんだ食べ物でもあるのかなーっと。
全ッ然、分かんねぇなコレ。
たこ焼きやかき氷が売られている。
たこ焼きね、最近ホーチミンでブームに火が付いてるのよね。
ヘナタトゥー(一時的に着色するタトゥー)をやっている。
どうして君は、
ハムスターを連れて来ているの?
台湾の神が販促コーナーに座っていました。
可愛い、サトエリにちょっと似てるなぁ。
日本からご当地アイドルが来ていたようです。
と思って調べたら、「ニューウェーブアイドル」なるジャンルらしい。
名前は「ゆるめるモ!」、略称は「モ!」。ちょっとおもろいやないか…。
ネルソン「今はいないんですね」
神(仮)「さっきはいたから控えているんでしょうね」
そういえば、千年に一人の美少女こと橋本環奈ちゃんもベトナムに何度か来ていたそうだ。
神(仮)「当時はブレイクする前でしたから、普通にハイタッチとか出来てましたよ」
ネルソン「あーもったいねー、でもしょうがないっちゃしょうがないかー」
会場 「わーーーっ!!」
ネルソン「またもや何だ!?」
むっ!
コスプレコンテストか!
本気度が違う!コスプレコンテスト
ネルソン「あそこに立っている人達はやっぱり選ばれし者なんですか?」
神(仮)「いや、誰でもエントリーできますよ」
ネルソン「あ、そうなんだ…」
ネルソン「おっ、ドラゴンボール!新しいアニメばかりの中にぶつけてきますね~」
神(仮)「彼のチョイスは毎回こだわりを感じます、前回はストリートファイターでした」
ネルソン「ベトナムだと斬新かつ異端なんだろうな…」
会場 「きゃーーっ!!」
ネルソン「わっ、歓声!?」
ネルソン「えっ、ブラックジャックで!?知ってるんですか!?」
神(仮)「そうですよ、みんな知ってます」
ネルソン「漫画の神様の作品は当然守備範囲、と」
舐めてるつもりはなかったけど、舐めてたわ…。
ネルソン「お、何だあの男二人、向かい合って…」
会場 「きゃーーっ!!」
ネルソン「わーっ、わーっ、キスしましたよ!?」
神(仮)「みんな大好きですからね」
ネルソン「何が!?」
神(仮)「BL(ボーイズラブ)が…」
ネルソン「マジか!!」
ネルソン「しかし、あれですね、客層を見ているとこう…中高生が中心ですよね」
神(仮)『そうですね!今、ベトナムのオタク界は黎明期を終えて、新しい世代がドンドンと入って来ているんですよ。3年頃前、私がベトナムに来た頃にコスプレイヤーとして活躍していた人達の多くが、衣装の指導やイベントの運営といったバックサポートに回っています」
ネルソン「おぉー、先輩後輩の関係が築かれていっているんですね」
神(仮)「そうなんです」
神(仮)「あと、前から不思議なのが、プリキュアがあまり知られてないんですよね」
ネルソン「へぇ、日本のオタクシーンでは大人気ですよね?」
神(仮)「そうそう、大きなお友達とか」
ネルソン「セーラームーンは知られているんですか?」
神(仮)「そっちは知られているんですよねぇ」
ネルソン「不思議ですね、どちらも美少女バトル物の系譜なのに」
神(仮)「あくまで子供向けとしての作品なので、額縁通りに受け取っているのかもしれません」
最後に、会場の盛り上がりを動画でどうぞ。
ご覧になったら分かりますが、
登場時に舞台上で寸劇をする習慣が定着しているそうです。
寸劇というか、ほとんど男同士のキスか、小競り合いっぽいけど。
いかがでしたでしょうか。
こうして詳しい方と話をしながら参加することは初めてだったので、とても良い勉強になりました。
二日間で来場者数は1万人以上とのことで、実に三年前の倍以上。
ベトナムのオタクがコミュニティ化されていることで、今後益々広がっていくのでしょう。
神(仮)「以前から思っているんですが、作品名とキャラ名をベトナム語でアナウンスしてるでしょ?」
ネルソン「はい」
神(仮)「あれね、日本語でもやってもらいたいと思っているんですよ」
ネルソン「え、何で?」
神(仮)「間違えているんです。音声で聴いたものをベトナム語として起こしていたり、観ている作品の翻訳そのものが間違えていたりと」
ネルソン「あー、公式版じゃない(海賊版で観ている)からか…」
オタク文化は日本生まれではあるけれど、今急速にローカライズされていっていると思います。それはそれでいいのだけど、この波に乗って今以上にもっと多くの日本人が絡んでくれると嬉しいな、と思いました。
神(仮)「ネルソンさんもどうですか?ドリアン着て」
ネルソン「あれコスプレじゃないでしょ」