ベトナムの法律はコロコロ変わる上に曖昧な表現だと言われます。法人登記のために役所へ行くと、担当者によって言うことが違うということもよくある話。餅は餅屋、ベトナムの法律はベトナム人の弁護士に聞こう!
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2015/04/17
ベトナムの法律はコロコロ変わる上に曖昧な表現だと言われます。法人登記のために役所へ行くと、担当者によって言うことが違うということもよくある話。餅は餅屋、ベトナムの法律はベトナム人の弁護士に聞こう!
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2015/04/17
法律っていいですよね!
律法と逆に書くと「法を犯す」という意味になるそうです嘘です。
目次
ベトナムで活躍する日本人経営者の方と話すと、しばしば法律についての話が上がります。
そこでよく聞く声が、「ベトナムの法律は解釈が難しい」ということ。
というのも、表記が曖昧な部分があり、役所などの担当者によって解釈が変わってしまうそうなんです。
それなら、ベトナムの法律はベトナムの法律家に聞けばいい!
という訳で、「日本語の話せるベトナム人法律家」ことThong弁護士にお話を伺いました。
まず初回は、「法人・駐在事務所の設立に必要な書類と手続き」についてです。
Thong弁護士。青年団学校で日本語を修得。
*
ネルソン「Thongさん、よろしくお願いします」
Thong弁護士「よろしくお願いします」
ネルソン「最近、本当に数多くの日本人の方が起業されていますよね」
Thong弁護士「そうですね」
ネルソン「一言に起業と言っても、日本と法律も違うし、しかも日本語も使えないからいろいろ困りそう」
Thong弁護士「もちろん。なので、私が所属するH2弁護士事務所も代行したりしている訳ですね」
ネルソン「どういう手続きが必要なんですか?」
Thong弁護士「えっとですね、こちらです」
***
1.日本企業側の決算書:01部
(独立した監査法人または政府機関の証明を受けた過去1年間の決算書)
2.設立会社所在地の土地家屋賃貸借(使用)契約書:01部
3.日本企業の登記簿謄本(設立証明書):01部
4.日本企業の定款:01部
5.設立駐在事務所長のパスポート写し(書類証明をする):05部ずつ
6.設立駐在事務所長の写真:4cmx6cm:2枚
※1,3は、在ベトナム日本国大使館(領事館)で法的書類証明を受け、ベトナム語に翻訳すること。
※4はベトナム語に翻訳すること。
1.設立会社所在地の土地家屋賃貸借(使用)契約書:01部
2.日本企業の登記簿謄本(設立証明書):01部
3.日本企業の定款:01部
4.本社の代表者のパスポート及び 設立会社代表者のパスポート写し(書類証明をする):04部ずつ
5.設立会社の事業計画書(事業内容、これまでの事業経験、予想される顧客、売り上げ等)
6.設立会社資本金金額の銀行残高証明書:01部
※2は、在ベトナム日本国大使館(領事館)で法的書類証明を受け、ベトナム語に翻訳すること。
※3は、全ページに社長のサイン・押印・割印、最終ページに社長名をローマ字で書くこと。
※3,6はベトナム語に翻訳すること。
1.設立会社所在地の土地家屋賃貸借(使用)契約書:01部
2.設立会社代表者のパスポート写し(書類証明をする):04部ずつ
3.設立会社の事業計画書(事業内容、会社名、会社資本金、これまでの事業経験、予想される顧客、売り上げ等)
4.設立会社資本金金額の銀行残高証明書:01部
※4はベトナム語に翻訳すること。
***
ネルソン「ちょっ…ちょ!Thongさん!Thong弁護士!」
Thong弁護士「はい」
ネルソン「私は法律はおろか、ビジネスにも疎いんです」
Thong弁護士「はい」
ネルソン「まずはいろいろと教えてください」
Thong弁護士「はい」
ネルソン「そもそも駐在事務所と法人の違いって何ですか?」
Thong弁護士「駐在事務所は、つまり連絡事務所です」
ネルソン「連絡事務所」
Thong弁護士「連絡するだけで経営できないということが特徴ですね。スタッフを雇ったり、市場調査を行ったり、現地の法人(顧客など)との契約も行える。言い換えれば、利益を発生させてはいけないということです。収支も支出しか許されません」
ネルソン「契約するということは、経営しているということでは?」
Thong弁護士「あくまで日本にある法人の契約の代行者という立場です」
ネルソン「となると、経営目的のために法人を設立するまでの準備段階ということですか」
Thong弁護士「その通り」
ネルソン「法人を立てるなら現地か外資か、この言葉をよく聞きます。このメリットとデメリットは?」
Thong弁護士「メリット・デメリットより、まずベトナムの法律では名義は借りられないものですね」
ネルソン「知らなかった」
Thong弁護士「とはいえ、明確な定義も無いことですけど」
ネルソン「それもそうですね」
Thong弁護士「合弁という形もあり、業態によって資本に対する外資の割合は49%から99%まで定められています」
ネルソン「外資が100%ということも可能なんですか?」
Thong弁護士「可能です。最近は国策としてIT分野に力を入れていて、これも含まれています」
ネルソン「その他には?」
Thong弁護士「販売業も含まれます、コンビニなど」
ネルソン「あれ?ベトナムのファミリーマートって合弁じゃなかったですっけ??」
Thong弁護士「合弁ですが、それは現地のパートナーと組むことでメリットがあるからだと思います」
ネルソン「なるほど」
Thong弁護士「その他の合弁でなければならない業態は、広告、旅行、Logistic、警備などがあります」
ネルソン「へぇー」
ネルソン「外資法人の設立って、お金も時間も掛かると言われるじゃないですか」
Thong弁護士「そうですね」
ネルソン「これって国からの規制ですか?何か良いことありますか?」
Thong弁護士「外資なんだから、お金をベトナム国外へ送金できますよ」
ネルソン「あ」
Thong弁護士「現地法人だと出来ないですよね」
ネルソン「言われてみれば当たり前ですね」
Thong弁護士「話は逸れますが、ビジネス以外にも手続きを行えば、治療、留学、旅行、滞在などといった理由でお金の持ち出しが許されています」
ネルソン「そもそも設立する人が法人とか個人とかあるんですか?」
Thong弁護士「ありますよ!」
ネルソン「うーん、どういうこと?」
Thong弁護士「業態によっては、個人だとライセンスの許可が認められないものがあります」
ネルソン「え、何で?」
Thong弁護士「たとえば、外国での経験や実績が無いと任せられない業態。旅行会社や運送会社がそう」
ネルソン「あぁ、お金があるだけでやらせちゃったら、特に運送なんて滅茶苦茶になりそうですもんね」
Thong弁護士「そうでしょ?」
ネルソン「納得しました」
Thong弁護士「ライセンスが下りたあとは同じ扱いですけどね」
ネルソン「ベトナムの法人としてね」
ネルソン「ここで最初に見せてもらった書類一覧を振り返りましょう」
Thong弁護士「はい、どうぞ」
***
1.日本企業側の決算書:01部
(独立した監査法人または政府機関の証明を受けた過去1年間の決算書)
2.設立会社所在地の土地家屋賃貸借(使用)契約書:01部
3.日本企業の登記簿謄本(設立証明書):01部
4.日本企業の定款:01部
5.設立駐在事務所長のパスポート写し(書類証明をする):05部ずつ
6.設立駐在事務所長の写真:4cmx6cm:2枚
※1,3は、在ベトナム日本国大使館(領事館)で法的書類証明を受け、ベトナム語に翻訳すること。
※4はベトナム語に翻訳すること。
1.設立会社所在地の土地家屋賃貸借(使用)契約書:01部
2.日本企業の登記簿謄本(設立証明書):01部
3.日本企業の定款:01部
4.本社の代表者のパスポート及び 設立会社代表者のパスポート写し(書類証明をする):04部ずつ
5.設立会社の事業計画書(事業内容、これまでの事業経験、予想される顧客、売り上げ等)
6.設立会社資本金金額の銀行残高証明書:01部
※2は、在ベトナム日本国大使館(領事館)で法的書類証明を受け、ベトナム語に翻訳すること。
※3は、全ページに社長のサイン・押印・割印、最終ページに社長名をローマ字で書くこと。
※3,6はベトナム語に翻訳すること。
1.設立会社所在地の土地家屋賃貸借(使用)契約書:01部
2.設立会社代表者のパスポート写し(書類証明をする):04部ずつ
3.設立会社の事業計画書(事業内容、会社名、会社資本金、これまでの事業経験、予想される顧客、売り上げ等)
4.設立会社資本金金額の銀行残高証明書:01部
※4はベトナム語に翻訳すること。
***
ネルソン「やっぱり多いな…」
Thong弁護士「3つのケースが並んでいるからそう見えるだけですよ」
ネルソン「それもそうか」
Thong弁護士「各書類を各役所で取得した後、冊子でまとめて産業貿易局という役所へ持って行きます」
実際に書類をまとめた冊子。
ネルソン「最初から、産業貿易局で一括して書類を発行したり冊子を受け付けてくれないんですか?」
Thong弁護士「くれないです。なお、駐在事務所だったり、工業団地に工場をつくる場合にはまた違う役所になります」
ネルソン「こりゃ大変だわ」
Thong弁護士「そういう時には、どうぞH2弁護士事務所へご用命を」
ネルソン「よく分かりました!」
*
いやー。
Thongさんに話を聞く中でしみじみ感じましたが、本当に大変ですね。
近年、本当に起業や進出をされる方が増えています。
物価や人件費の価格差を活用したオフショア開発や、国内に住む日本人を相手にしたものや、潜在的な需要を狙って現地市場に向けて動き出しものまであり、その業態から対象まで様々。特に3つ目は、金脈を見つけんと日本人に限らず世界中から数多くのビジネスマンが集結しています。
そこで誰もがまずはぶつかる壁、法人(駐在員事務所)設立。
こちらの記事をお役に立ちましたら幸いです。
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