今30代以上の人なら、やったことがあるのでは?mixi。FacebookやTwitterが日本で流行る前にあった、このスケールでいえば、最初で最後のSNSと言ってもいいかもしれません。しかし、当時は今よりクローズなコミュニティだったことから、その内容は黒歴史になりがち…?地獄の釜を開いてみよう!死んだ!
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2019/12/02
今30代以上の人なら、やったことがあるのでは?mixi。FacebookやTwitterが日本で流行る前にあった、このスケールでいえば、最初で最後のSNSと言ってもいいかもしれません。しかし、当時は今よりクローズなコミュニティだったことから、その内容は黒歴史になりがち…?地獄の釜を開いてみよう!死んだ!
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2019/12/02
本記事は、2016年10月13日に「ネタりか」(運営元:ヤフー株式会社)で公開された記事を転載したものです。 サービス終了に伴い、許可を得た上で、べとまるにて公開いたします。
***
mixi、やってましたか?
ありましたよね~。
私たちの周りは今、SNSで溢れ返っています。TwitterやFacebookを筆頭に、写真に特化したInstagramや6秒の動画を投稿するVine、ビジネス用途のLinkedInなどなど。しかし、2008年頃にTwitterの流行に火が点くまでの4~5年間は、ある国産SNSによる一強時代でした。その名は「mixi」。
10代20代の方にとっては、mixiといえば「モンスターストライク」などのソーシャルゲームでヒットを飛ばしたゲーム会社として知られているかもしれませんが、私のような30代前半やそれより上の世代は「日記」を連想するでしょう。ちなみに、mixiの日記はTwitterのように投稿文字数の制限はなく、ほぼブログのようなものでした。
そんなmixi、一部ではこう呼ばれていることをご存じですか?
「黒歴史倉庫」と……!
目次
こんにちは、ネルソン水嶋です。
今、10年前に書いたmixi日記を朗読してもらっています。
mixiの過去日記ってなぜか、ポエムだったり、オラついていたり、ノロケていたり、改めて読んでみると悶絶必至の内容ばかりなんですよね。周りに聞いたら共感を得られたので、「朗読会を開いたらおもしろいんじゃないか?」と思ってやってみたわけなんですが、ご覧の通り、猛烈に後悔しています! やるんじゃなかった……。
ちょっと時間をさかのぼり、はじめからお送りします。
友人「じゃあ、ネルソンさんの日記から朗読するよ」
私「て、手が震えてきた……」
友人「タイトルは……『ひとり哲学』」
私「あかん! 早速あかんやつそれ!」
ここから10年前の私や友人の日記をそのまま掲載します。初めに言っておきますが、日記が長いので記事も結構長くなっています。でも、そんな過去の思い出を楽しむ企画ですのでご了承ください!
ネルソン水嶋「何を言うとんのやこいつ……」
全員「話が二転三転するな~」
私「死んでいいすか?」
全員「ダメです!」
私「じゃあ殴るわ。10年前にタイムスリップして『深夜4時に何書いてんだ!』って怒鳴りながら殴り抜く」
公開日時は4時9分、寝ろよ。
友人「これ、友だちのコメントが優しいですね」
私「茶化す人が1人もいない。みんな優しいな……。よし、続いていこう!」
友人「もうやめにしようよ……」
ゴリン「あれかーっ、うわーっ!」
※今さらですが、ゴリンさんは素性を明かしたくないためこの格好なだけです。イスラム圏の方でありません。
私「これ、どういう経緯だったの?」
ゴリン「大学のときなんだけど、留学生のシェアハウスで飲み会があってね、焼酎やウィスキーの飲み比べをすることになったのよ。西洋人に勝てるわけないのに、勝つつもりで飲んで、目が覚めたら入院用の服を着て自宅のベッドで寝てた。あとオムツ履いてた」
全員「うわぁー!」
ゴリン「飲み会には家族ぐるみで仲良くしていた親友もいたから、親に連絡してくれたみたい」
私「それは不幸中の幸いやな……」
ゴリン「後にも先にも、『死んでお詫びしたい』って本気で思ったのはそのときだけだよ」
私「倒れ際の『日本人の国籍は~』って何?」
ゴリン「さぁ……留学生といっしょに飲んでたからかな」
私「飲み比べでは負けても大和魂は失わんぞ的な?」
ゴリン「私に聞かれても分からない……」
私「真相は闇の中やな……ではサクサク行きましょう」
友人「恐怖しかない」
あああやこここ「なんだ!? なんだったけコレ!?」
あああやこここ「あーあれかーくそーあれかー」
私「コミュニケーションめっちゃ言うとるな」
あああやこここ「そうですね……」
全員「急に話変わったな!」
あああやこここ「でも、後半でつながるんですよ!」
あああやこここ「本当は、目が合ってないし、笑ってもないのに!」
全員「あははは!」
あああやこここ「経緯について補足しましょうか?」
私「ぜひ」
あああやこここ「美大の授業で、コミュニケーションを学ぶために『宴会を企画しろ』というものがあって、一通り終わったところお偉い先生に『幼稚だ、コミュニケーションができていない』と散々ダメ出しされたんですよ。それで悶々としたまま夏休みに入って、フジロックで見た光景に感銘を受けて、そもそも先生たちが私たち学生とコミュニケーションができていなかったよね!と……そういう皮肉めいた日記です」
私「大人たちへの反発心がモリモリですね。ロックもかかってるし、尾崎豊っぽさを感じる」
あああやこここ「そういう年頃だったんです……」
私「白人のおじさんは誰だったんですか?」
あああやこここ「知りません」
ここで、別の機会に聞いた友人の日記をひとつ挟みます。
11年前の日記。作者は左の友人・ジョン万次郎。
私「なにこれ? 作り話?」
ジョン万次郎「実体験だわ!!」
私「いい話。すごいポエティックだね」
ジョン万次郎「当時は文章が上手いと褒められはじめて、調子に乗ってた頃だな」
私「へー、でも今雑誌編集者やん」
ジョン万次郎「そうそう、当時からすると考えられないようなメディアでやらせてもらってるから、人生分かんないもんだよ」
私「おもしろいね。ちなみに、10年前の忘れかけてた気持ちは今でも覚えてる?」
ジョン万次郎「完全に忘れてたわ」
友人「じゃあ最後に、再びネルソンさんの日記で締めましょうか。タイトルは『精神は不健康。』です」
私「あっ、待って、それ、かなり……ヤバイやつ!」
私「いきなり何言ってんだおめー殴るぞコラ」
私「私は貝になりたい」
私「お前まだパスポートも取ってないクセに何言ってんだ……」
私「……『ここ』っていうのは、『東京』のことね」
全員「あははは!」
私「いやー、キツかったコレ」
友人「なんかいろいろカミングアウトしてたね。いじめられてたの?」
私「まぁー、小学校の頃に。机にバカって彫られたり、その手のやつだよ」
友人「結構エグいねぇ」
私「その当時のいじめっ子は若くして亡くなっちゃってね、人生何があるか分かんないよ……」
友人「えぇ……」
私「上京して一番病んでいた頃で、仕事も上手くいってなかったし、構ってほしかったんだろうなぁ」
友人「なんかセラピーみたいになってきたな……」
いかがでしたでしょうか?
こうして過去の日記を読んでみて、「ネットの風潮って10年前と確実に変わったな」と感じました。
ポエムや酒の失敗、ロック精神の爆発など、想像していた以上の「黒歴史」が噴き出してきました。これを見て「今ならこんなこと書かない!」と思ったのですが、昔と違って「他人の目」を気にするようになったからなのかもしれません。
その背景には、ネット人口が増えてSNSの利用が当たり前になり、ネット上でのつながりが「仕事関係」や「知人」などを含む範囲まで拡大されてより現実社会に近づいたということと、スッカリと定着した「炎上」という言葉を受けて、不特定多数からのツッコミを警戒するようになったということもあるのでしょうか。むしろ良く見せたい、それが極まった例がよくいわれるようになった「意識高い系」に当たるんじゃないかと思います。
心の中を晒しづらくなったという状況は少し寂しいけど、時代の流れだからしょうがない。もしもあなたがmixiで日記を書いていてアカウントもまだ残っているなら、気心の知れた仲間と集まって朗読会をやってみるとおもしろいかもしれませんよ! タイムカプセルを開くように盛り上がるかも!?
最後に、「現役で日記書いとるわ!」という方がおりましたら大変申し訳ございません。
***
編集:ノオト