日本人でも苦労する就職活動、外国人が日本で就職するとなるとハンデを感じさせない語学力が必要です。その国で事業を展開しようと思うのであれば貴重な人材のはずですが、そうした企業はまだ多くはないでしょう。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2013/04/29
日本人でも苦労する就職活動、外国人が日本で就職するとなるとハンデを感じさせない語学力が必要です。その国で事業を展開しようと思うのであれば貴重な人材のはずですが、そうした企業はまだ多くはないでしょう。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2013/04/29
就活っていいですよね!
今でこそ当たり前の「自己分析」ですが、バブルが崩壊するまではその様な言葉は存在しなかった様です。つまり、それだけ対策せずとも就職しようと思えば就職出来たってことでしょう嘘です。
ベトナム人留学生就活最前線、第二弾!
横浜に住む、ビビさん(ニックネーム)です。
前回のハイ君がこれから就活だという状況に対し、彼女は四年生で、今正に就活真っ最中というところ。
受けて、落ちて、受けて、落ちて、を繰り返して、日本で働くという思いとベトナムに帰るという思いの間で揺れ動いているらしい。
そんなビビさんにインタビュー、就活への思いや、その本音の内を聞いてみました。
***
目次
ネルソン「宜しくお願いします。」
ビビ 「宜しくお願いします。」
ネルソン「お名前を教えて貰っていいですか?」
ビビ 「ドーヒュン・ミン・グェットです。」
ネルソン「大学では、何を専門に学んでいるの?」
ビビ 「経済学やマーケティングなどを勉強しています。今は、貿易ビジネスのゼミに入って、スタバの店舗・サービス・フェアートレードなどを研究しています。」
ネルソン「日本へ留学しに来た、理由や経緯を教えて貰ってもいいですか。」
ビビ 「ベトナムにいた時、日本とベトナムの交流フェスティバルに参加したことがありました。そこで、茶道、折り紙などを教えてもらって、日本に興味を持つようになり、もっと日本の文化、そして日本語能力を上達させたいと思い、日本に来ました。」
ネルソン「ふんふん、働きたい業界は?」
ビビ 「貿易関係の仕事に就きたいです。ベトナムの経済発展はめざましく、その中でも日本はベトナムの主要貿易相手国です。現在、toshibaやHONDAなど多くの日本の企業がベトナムに進出しています。そして、いずれは帰国し、多くの日本人が訪れる様な、心ゆくまで落ち着ける日本スタイルのカフェをベトナムで経営したいです。そこで、ベトナム人と日本人の交流がもっと盛んになるよう努力しようと思っています。」
ネルソン「ちなみに、貿易関係の仕事にもし就けたら、そこで培った経験を日本スタイルカフェにどう活かそうと考えてる?」
ビビ 「商品の輸入・輸出について仕組みに興味を持ってし、将来的自分にも役に立つと思います。日本から物をどうやって輸入するのか、手続きとか、運送することとか…。」
ネルソン「ただ、それも最近は変わってきたんだよね。日本での就職活動を切り上げて、ベトナムに帰ろうか迷っている。」
ビビ 「そうです。今迷っています。」
ネルソン「就職活動を始めた当初は、ベトナムに帰ることは考えなかった?」
ビビ 「ううん、ずっと前から考えたよ。」
ネルソン「じゃあ、就職活動を始めた頃に比べて、今はベトナムに帰りたいという気持ちは強くなった?それとも弱くなった?」
ビビ 「弱くなりました。」
ネルソン「へぇ…思ってたのと逆だった。」
ビビ 「帰りたいですが、日本で学びたいことまだたくさんがありますので…。」
ネルソン「おー、そうなんだ…。」
ネルソン「ちなみに、今まで何社くらい会社の採用試験を受けたの?」
ビビ 「メーカーを5社ほど受けました。」
ネルソン「全て貿易関係という訳でもないんだね?」
ビビ 「はい、そうです。」
ネルソン「これからも他に会社は受ける予定?」
ビビ 「はい。食品の会社から、あるいは和菓子の店かもしれない。」
ネルソン「じゃあ、貿易は、当初の予定だったけど、これからは範囲を広げていくと。就活で視野を広く持つことは、いいことだと思います。」
ビビ 「そうですね、これから色んな情報を調べたいと考えてます。」
ネルソン「ところで、日本人の私は、日本の就職活動(シューカツ)って独特だと思っています。たとえば、ベトナムだと卒業して一年後くらいに受けるらしいね。欧米でも、それぞれのタイミングで採用試験を受ける。一斉にスーツを着て、エントリーシートを出して…というのも日本独特だと思います。そうした日本独自の就活に、びびちゃんは驚いたとか戸惑ったとか、何か感じたことはある?」
ビビ 「非常に大変だと実感しました。」
ネルソン「具体的に、どういうところが大変だと思う?」
ビビ 「私は5社だけエントリーしましたが、日本人の友達は40~50社くらいエントリーしていました。ほぼ毎日会社の説明会へ行って、何枚も履歴書を書いていたので授業は受けらないし、単位も取れない友達がいますからそれを見てるだけでも疲れました。私は留学生なので卒業できないと大変ですから、授業優先で就活をしています。」
ネルソン「『学』生だもんね、改めて考えてもおかしな話だ。」
ビビ 「みんなは一生懸命最後までやったのに、何か方法があるといいね。」
ネルソン「ちなみにさ、日本で就職することをご両親はどう思ってるの?」
ビビ 「父は反対です。」
ネルソン「お母さんは賛成?」
ビビ 「そうです。」
ネルソン「ベトナムの人って、日本より家族の結びつきが強いから(同じ家に住むとか)、日本での就職を勧めるお母さんの方が珍しいね。」
ビビ 「父もそう言っていました、もう離れたくないって。でも、母の方が強いので。」
ネルソン「でも、お母さんは、びびちゃんの将来を見据えてくれていると思う。日本で留学してベトナムに帰るだけじゃ、語学は習得出来たかも知れないけど、それだけだとベトナムで日本語を勉強することと大きな違いは無い様に思います。それなら、日本で、日本の働き方を学んだ方が、将来的にびびちゃんが活躍出来る場所が多くなると思う。」
ビビ 「そうですね。ありがとうございます。」
ネルソン「他のベトナム人留学生の子や、今既に日本で働いている人も言ってたよ。ベトナムはまだまだ発展する、今帰るのは早い。もっと先進的な国になってから戻るべきだと。日本ではベトナムが今盛り上がっていると言って、進出している企業が多い中で、それに対して意外に冷静に考えているベトナムの人達が多いことに驚いています。」
ビビ 「ネルソンさんの言っていることは、母の考えたこととほぼ同じです。ちなみに、日本に来たきっかけは母の指名です。」
ネルソン「!なんと…何故、お母さんは日本を選んだの?アメリカとか、フランスとか、近くならシンガポールとかマレーシアとか色々ある中で。」
ビビ 「叔母がいるからです。」
ネルソン「あ、なるほど。それなら確かに、俺も、びびちゃんは日本で経験を積んでベトナムに帰るべきだと思う。」
ビビ 「そうだね、ベトナムに帰ったら日本で学んだことを全部活かしたい。」
ネルソン「じゃあ最後に…べとまるを読んでいる人の中で、もしかしたら、日本でベトナム人人材を採用したいと考えている会社があるかも知れない。そんな人達に向けて、どうぞ自己PRしてください。」
ビビ 「私は明るいってよく言われました。笑顔が大好きで、自分にとっていつどのような時でも笑顔を忘れないよう心掛けてします。そしてたとえ困難な状況にあっても笑顔で乗り越えられると自分自身を捉えています。一方、欠点としては人を大切にしたいと思いつつ苦手な人を避けてしまいがちな面があります。これから社会人になることで様々な人との出会いがあると思いますが、極力相手の良い所を見るように心掛けることで良好な人間関係を作ってしたいと思います。」
ネルソン「作り込んだやつやな…笑」
ビビ 「笑」
ネルソン「インタビューはここまでです、有難うございました!」
ビビ 「こちらこそ有難うございます。」
***
以上です。
如何でしたでしょうか?
2011年に独立行政法人の日本学生支援機構が行った調査では、ベトナム人の留学生の人数は4033人と中国、韓国、台湾に次いで外国人留学生の中で四位だそうです。
留学の年数は一概に言えないため、毎年その中からどれくらい卒業するか分かりませんが、そのまま日本で働きたいにも関わらず内定を貰えずベトナムに帰る人もいるという現状です。
企業として採用するか否かはそれぞれですけど、日本とベトナムという国にとってしてみれば損失ですよね。
文字通り、両国の架け橋に成り得る人を4年間経験させただけでわざわざ帰すんですよ。
だからといって企業が特別視しろとは全く思わないのですが、なんというか、今の就活のフォーマットは、ベトナム留学生も関係無しに、本当に受ける側の人間の(潜在)能力が測れるものか素朴に疑問に思うところがあります。というか、学生で能力を顕在化させている人なんて極わずかだと思いますしね。
そう考えると、学業と仕事の中間…いわゆるインターンシップになるかも知れないけど、能力を開発する期間として低コストで卒業後から、1,2年間だけ面倒を見てあげる社会の仕組みが必要じゃないかと思った。
ビビさんには、是非日本の社会で経験を積んで貰い、目標であるベトナムで日本スタイルのカフェを開くということを叶えて欲しいです。