ベトナム人が最もやるスポーツといえば「ダーカウ」という跳ね蹴りですが、最も好きなスポーツはサッカーだと思う。川辺のカフェでは老いも若きも観戦に興じ(ほとんど男性)、その盛り上がりは異様!大きな大会があれば是非寄ってみてください。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2012/06/16
ベトナム人が最もやるスポーツといえば「ダーカウ」という跳ね蹴りですが、最も好きなスポーツはサッカーだと思う。川辺のカフェでは老いも若きも観戦に興じ(ほとんど男性)、その盛り上がりは異様!大きな大会があれば是非寄ってみてください。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2012/06/16
サッカーっていいですよね!
サッカーボールのデザインといえばあの白黒を思い浮かべますが、「お互いに決着(白黒)をつける」という意味から来ているそうです嘘です。
目次
UTOPIAで夕飯を食べていると、オーナーの江渕さんが話し掛けて来ました。
「サッカー観戦しに行かない?」
詳しく聞いてみると、ベトナム人の男性諸君の多くが無類のサッカー好きで、試合がある日はカフェに集まってみんなで観戦するとのこと。
賭けているとか賭けていないとかいう情報もあるそうで、江渕さんとしてもその真偽が気になって確かめたい様子。
そしてその日は、ユーロ2012(欧州選手権)、スペインVSイタリアの試合が開かれるのでした。
むむ、面白そうですね、さすればお供させて頂きましょう。
営業が終了した22時に合流。
江「さっき人に聞いたんだけど、」
ネ「はい。」
江「50万ドンくらい賭けるのかって聞いたら笑われて、」
ネ「はい。」
江「1000万ドンとか2000万ドンとか賭けるらしいよ。」
ネ「1000…万!?それって日本円で4万近くするじゃないですか。」
そう、10,000,000VNDは37,600円。
職種にもよりますが、ベトナム人の大卒平均月収くらいです。
これが実際に行われてるとしたら…すごいことやぞ!
ちょっとしたガサ入れ気分で、目的地までバイクを走らせます。
ホーチミンの夜景はちょっと甘美。
街灯はほぼ全て黄色灯(トンネルによくあるタイプ)で、その中で東南アジアの繁華街特有の赤や青といった原色ネオンがギラついています。
調べてみると黄色灯は排ガスなどに散乱されにくいため、知ってか知らずか分かりませんがここの環境に理に適っていますね。
なお、この日は日曜日ということもあって、この辺りの時間からホーチミンにはバイクの数がパラパラと減っていきます。
17時頃は職場からの帰宅ラッシュでとんでもないことになっているのですが、それはまた別の機会に映像を撮れれば。
15分ほど走らせて現場に到着。
この川沿いにズラララーッとカフェが並んでいます。
比較的新しく作られたためか、日本人が多くいるレタントン通りに比べて公共設備がよっぽど日本チックです。この光景は僕の地元の京橋を流れる寝屋川を思い出す(むせ返るドブの臭いも含めて…)。
そしてこの方が連れて来てくれた江渕さん。
レタントンにある漫喫「UTOPIA CAFE」のオーナーです。
ネルソン「ひとつだけドラクエの魔法が使えるとしたら何を選びますか?」
江渕さん「ザラキです。」
ネルソン「はい。」
そして僕です。
最近、パリッとしたシャツが欲しくて仕方がないです。
ネ「何ですかコレ?」
江「サッカー観戦で普段いくら賭けんの?って書いてる。」
ネ「へ~、それでいくらくらいって?」
江「2,000,000VNDくらい。でも、余ったお金で賭けてねってさ。」
事前に聞いていた実態を言う理由は相手が外国人だからでしょうか。
いずれにせよ、この店では特にそういう状況は確認出来ませんでした。
カフェ前の通りには呼び込みの兄ちゃんが。
試合がある日は彼らにとって書き入れ時なのです。
道幅の半分までせり出して、走るバイクを半ば強引に停めてきます。
事情を知らない人が通ったら確実に轢き飛ばしますよコレ。
.
誰も停まってくれません。
誰も停まってくれません。
誰も停まってくれませ…ん?
撮ってることを確実に気付かれました。
みんな揃って微妙なポーズ…が、右端の彼だけがブレません。
案外、彼らはこの呼び込みを楽しんでいる気がしてきました。
そもそもただ試合の日に声を掛けるだけなんだからバイトかも知れないね。
江渕さん「ならん!最近の若いもんはまるでなっとらん!!」
…などと江渕さんは全く申しておりませんしこんな口調ではないですが、僕らも呼び込みに参加します。
まずは僕。
なんだか、サザエさんの、リンゴから飛び出すオープニングっぽい。
そして江渕さん。
すげぇ!この姿勢のまま高速移動してるみたいや江渕さんすげぇ!!
で、ひとしきり遊んだあとで再び席へ。
テレビ画面にはサッカー試合開始前の番組が放映されています。
というかこの間隔やったら二台も要らんのんちゃうん?
絶対要らんやろコレ。
カフェでは若者達がサッカー談義?に華を咲かせています。
いや、どうだろ、真ん中のコーヒーを牽制し合っているのかも知れん。
時間が経ちホイッスルも鳴る頃になると、あっという間にほとんどの席が埋まってしまいました。
ちなみに客層の男女比は9:1くらいです。
ベトナム人はサッカーが好きというのは定説ですが、男性限定なのかも。
何処のカフェも、
こういった感じで、
テレビが2~3台か、プロジェクターが1台ほど設置されています。
もちろんその前には大勢の観客の皆さん。
関係ありませんが彼はゲロリング中です。
サッカーなんて知ったこっちゃーねーと背中が語っています。
無意味に増やしてみました、これでは確実にモノを踏んでしまいます。
日本人はアルコールに弱いと言われていますが、完全に主観ですがベトナム人も似た様なもんだと思います。ビールが薄いので絶え間なく一気が続きますが、日本酒を飲ませたら即死でした。
さて、腰を落ち着かせて僕らもサッカー観戦です。
試合を観る江渕さん。
まるでショーウィンドウ越しにトランペットを見つめる少年の様です。
近くにお店のおねーちゃんがいたので江渕さんと一緒に写ってくれとお願い。だが、
ブレる!
ブレるるる!!
ブレるるるるぁあああああ!!!
…やっと撮れた。
途中、お前は寄生獣か!と何度か叫びたくなりました。
この通りたくさんのベトナム人の皆さんがサッカーに夢中なのですが、
何故か、テレビ画面の前では思いっきりベトナム将棋をやっています。
観ろよ!
目の前にいるんだからお前ら観ろよ!!
試合自体は均衡状態が続いており、既に後半戦に突入していました。
そういえば、気に留めていなかったけど、そもそも彼らベトナム人はどちらを応援しているんだろう。
フランスなら関係はあるけれど(それでも好意か敵意か分からないが)、スペインとイタリアとなると歴史的に見ても特に関係は無かったよな…?
と、そう思った瞬間、イタリアが先制ゴール!
「イヨッッッッッホオオオオオォォォォォ!!!!」
!?
…あ、
イタリアなのね?
何でかよく分かんないけど、君たち応援してるのイタリアなのね!?
するとその3分後、スペインが逆転ゴール!
ネ「あっちゃ
「イヨッッッッッホオオオオオォォォォォ!!!!」
!?
…え、
スペインもなのね?
何でかよく分かんないけど、君たち応援してるのスペインもなのね!?
ていうかどっちでもいいのね!?
盛り上がればそれでいいのね!?
僕君たちのこと良く分かってなかったよ!!
別にどちらを応援してるとかじゃなかったのね!!!!
そのあとも、どっちがゴールに失敗しても、同じリアクションを取り続ける皆さん。
そして引き分けのまま試合は終了。
結局最後までいてしまった…。
いやー終わった終わった、多分みんなこのままここで飲
「ガタッ」
!?
「ガタガタッ」
えっ!?
「ガタッ」「ガタガタガタッ」
えっちょっ待っ
なにこの人達一斉に帰り支度してる!!
なんや自分らコミュ障のアルバイトか!!
そしてものの20秒足らずでガラーン。
…な、
なんだ君たちは!余韻を楽しむとかしないのか!
あのパスは凄かったとかあのゴールは惜しかったとかさぁ!!
瞬間瞬間を楽しんでいるのか過去は振り返らないというのかあぁすごく立派だと思います!!!
江「帰ろうよ水嶋君。」
ネ「う…うん。」
外に出るとみんながバイクに乗り込み、
散ッッ!!
ベトナム人はサッカーが好きというのはよく聞く話。
しかし、この国に長く住んだ人は口を揃えてこう言います。
「娯楽が無いからねぇ。」
外国人である僕にとってベトナムでの生活は、身の回りで起こるもの全てが新鮮で娯楽の様なものですが、確かにこの一連の流れを見るとあながち間違ってもないのだと思いました。
ちなみに、国が絡む試合の時は、勝っても負けてもバイクで走り回るそうです。
すごい感情表現です、みんな尾崎豊です。
それもまた機会が訪れたら是非レポートしてみたいと思います。
最後に、詳細です。
住所はTrường Sa, phường 3, Tân Bình, HCMC。
サッカーの試合がある日であれば、川沿いをゆっくり走っていれば呼び込みがバタリアンの様に近寄ってきます。