中部の高原地域と言えばダラットが有名なのですが、バンメトートはそこよりも小規模の街のため、のどかです。娯楽らしい娯楽はないのですが、自然と触れ合うにはとても良い。今回、初めてベトナムの長距離バスを体験。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2012/08/04
中部の高原地域と言えばダラットが有名なのですが、バンメトートはそこよりも小規模の街のため、のどかです。娯楽らしい娯楽はないのですが、自然と触れ合うにはとても良い。今回、初めてベトナムの長距離バスを体験。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2012/08/04
野菜っていいですよね!
子供の嫌いな野菜の定番と言えばピーマンですが、パプリカとの違いは「ヘタに入った切れ目の本数」らしく、色も大きさも二つの野菜を分ける要素ではないそうです嘘です。
目次
以前、ファミリーマートのオープニングパーティのレポート記事を書いたことがありました。
その中で「NICO NICO YASAI」の塩川さんという、ベトナム国内で有機無農薬を生産・販売している方が登場したのですが、記事アップ後にそのお兄さん(誠さん)から連絡を受けカレーパーティーにお呼ばれされました。
ネルソン「ところで、生産は何処でやってるんですか?」
塩川さん「Buôn Ma Thuột(バンメトート)です、中部にある…」
Cさん 「なにそれ超行きたい!ネルソン、行こうよ!ネタにもなるし!」
ネルソン「えっ」
そして数日後、誠さんから連絡があり…
誠さん 「ネルソンさん、朗報です。」
ネルソン「お、何ですか何ですか??」
誠さん 「バンメトートへ行けることになりました。」
ネルソン「えっ」
という訳で、何だか自分でもアンコトローラブルな間に、トントン拍子で二泊三日(内一泊車中泊)のバンメトート・ツアーが立ち上げられたのでした。
バンメトートまではバスで片道8時間。
料金は確か、220,000VNDくらい(840円程度)だったかと思います。
んで夜10時前、バスターミナルです。
ホーチミンのこの場所から、ベトナム国内の各地方へとバスが走っております。
今気付いたんだけど、MAILINHって高速バスも扱ってるんですね。
在住者には説明不要のベトナム二大安心タクシーの一つ、MAILINHです。
違う会社のバスもあります。
この業界は独占市場ということもなく、健全に競い合っている様です。
一部分ですが、こういったカウンターでチケットを購入します。
67と中途半端な番号から始まっている通り、別にメインの場所がありその場所ではズラズラッとカウンターが並んでいました。
長時間の乗車になることが多いためか、
車内に持ち運び易いパンやお菓子が売られています。
なお、希望により今回は一名の方の顔を伏せております。
出発前にパシャリ。
右端から、誠さん、塩川さん、Wさん、Cさん。
そして僕の、計5名。
意気揚々と乗り込み、そしてバスは走り出す。
長距離バスには主に座るタイプと寝るタイプの2つがあって、より多くお金を出せば寝台バスのタイプを選ぶことが出来ます。
が、
この通り激狭です。
ちなみに画像は以前に別の街へ行った時のもの。
本当に人一人スッポリと収まる程度の簡易ベッドしかありません。
一般にベトナム人は日本人以上に身体が小さいこともあり収まっていますが、180cmもあればキッツキツでしょう。
今回の僕らの席は、一番後ろの一階。もうこんな感じ。
単純に暗いです、そして頭上ならぬ顔面上?は30cmほどしかありません。
それ以外は、トイレ休憩の回数や、タオルケットがあったりなど、基本的に日本の長距離バスとそれほど大きな違いはありませんが一つだけ注意点。
イヤホンと音楽機器か、もしくは耳栓を持って行きましょう。
運転手の趣味によるものなのか、静かなバスとうるさいバスのギャップがすごい。
後者に当たるともう最悪で、備え付けのテレビでは音楽番組やミュージカルが延々と流れ、車内各所に取り付けられてあるスピーカーからはガンガンとけたたましく音が鳴り響き続けます。
しかし…不思議と乗客はスヤスヤ。案外、こういう何気ないところで文化の違いが出るのかも。
以前僕が長距離バスに乗った時には、このスピーカーが頭上にあり、かつ、イヤホンも忘れてしまったために、かーなり辛い思いをしました。
狭い空間を気にも掛けず、NICO NICO YASAIの将来について話し合う塩川兄弟。
このあと、出発からおよそ5時間くらいまでぶっ通しで話し続けていました。
ところで、長距離バスといえば、皆さんは何を思い浮かべます?
やはりひとつに「サービスエリア」があると思います。そしてこれは、ベトナムにもあるんです。
とはいってもホーチミン~バンメトート間ルート(ホーチミンから北方面全てが寄るポイント?)にはつい二年前に出来たばかりで、それまではよくあるローカル飯屋みたいなところがあってそこでみんな骨を休めていたとのこと。
内容はこーんな感じ。
よく見ると、天井にある結構な数のライトと、何より天井のパネルが揺れた後みたくポコポコッと外れていますね…。
飯屋はやたらと豊富にあります。
このとき深夜の2時を回っていましたが、ローカルの皆様はお構いなしにガツガツ食べる。
ちょっと分かりにくいですが奥には土産店も。
テレビもあります。古めかしい洋画を流していました。
施設のバリエーションは、日本のそれと似た様なものですね。
一部は腹ごしらえし、飲み物も買って、そしてバンメトートに向けて再出発です。
ブロロロ……………………………………………………プシュー。
あれ、止まった。
運転手の交代かな?
乗り込む音は…聴こえないな。
まだ止まったまま?一体何してる??
そして30分後ー。
全く動く様子が無い…渋滞だろうか…。
ねむ……。
………………。
……………………。
…………………………。
…ぁ、いつの間にか眠ってしまってたな。
時間は…5時か。
何だ、サービスエリアの時からもう3時間も経っ…た……て、あれ??
こ の バ ス 、 ま だ 止 ま っ と る や ん け ! ! !
そう、相も変わらず止まったままなのです。
サービスエリアを出てからすぐに止まって、およそ三時間。未だバスは動かず。
もしかしてこれってベトナムじゃ普通なの?
流石にアナウンスがあったら気付くけど、それも無い様子。
想像は一人歩きを始め、「交代の運転手が仕事をサボった」とか、「最悪実は周りで武装集団が取り囲んでる」とか、有り得ないレベルまで心配は大きく膨らんでいくばかり。
けど何だかんだで一番心配なのは、トイレだ。
寝てたから忘れてたけど、その間も膀胱は仕事してるぞ。
走っているならまだしもそれすら無いってのは精神的に辛過ぎる。
すると乗客の何人かも流石に気になってきた様子で、ざわざわと動き出している。
そして一人がしびれを切らした様で、運転席まで歩いていって話し声が聴こえて席に戻って来た。
そして2分後ー。
…ブロン!ブロロロロロ……。
おぉ、遂に動き出した!
しかし乗客が運転席に向かってしばらく経って動き出すってどういうこと??
あ、
もしかして、
もしかして運転手テメー、
渋滞に巻き込まれてそのまま寝てたやろテメー!!?
結局のところ真相は分からないんですが、十中八九そうだと思う。
何にせよ結果的に3時間のタイムロスです、チョイオイ~勘弁してくれよ…。
はーもう寝よ…寝たらバンメトートも一瞬やろ……。
更に3時間後ー。
バアァァーーーーン!!!
ひいいぃぃぃー!!お次は何ぃぃぃーーー!!?
爆発音の様なけたたましい音を立ててから、小鳥が宿り木を探すようにヨロヨロと走って遂には停車するバス。
訳が分からぬまま停車し、みんなぞろぞろ降りるので小便がてらに自分もバスを降りる。
ネルソン「…あぁ。」
そこで全ての事態が飲み込めた。
はい、
ご覧の通り、
ものの見事なパンクです。
自転車やバイクならまだしも、普通はバスのタイヤなんぞパンクせんやろ…。
というか、スピードを出してる間にコレが起きたら僕らはどうなった訳ですか。
ちなみに、市内では道路に釘が撒かれていたりして、僕のバイクは二ヶ月に一度くらいはそれらを踏んでパンクしています。
修理に寄った場所は変哲も無い田舎道。
中央少し左寄りにいる水色Tシャツの男が僕です。
このバスの後部の汚さを見ても、如何にメンテナンスされていないということがよく分かる。
だが、清々しい景色。
…を臨みながら、立小便をする人達。
3時間もロスしてるからね、そら我慢出来んわな。
一応モザイク掛けとこか。
で、タイヤも新たに交換して再出発。
もうこれでよっぽどのことが無い限り止まらんやろう!いざバンメトートへ出発!!
更に更に2時間後ー。
正確には僕ではなくWさんが見た光景なんですが。
何やら道中にやたらと人垣が出来ている。
一体何の騒ぎかと人垣の視線の先を覗き込む様にバスが周回すると…
バ、ババババスが!
横転してるうううぅぅぅぅーーーー!!
これは事故やん!大事故やん!!
フロントガラスもバリバリと割れちゃってます。
完全に、真正面からぶつかってからの横転の様子です。
しかも、よく見ると僕らが乗ってるバスと同型じゃないか。
中にいた乗客は全員無事なのか…確かめる手段も無いですが、こっちのパンクのタイミングがたとえば急カーブだったら同じ顛末を迎えていたかも知れない。
オイ、ていうかオイ、そろそろおかしいやろオイちょっと。
居眠り渋滞、タイヤのパンク、同型バスの横転、ベトナムクオリティだね~などとそろそろ笑い事で済まない様に思えて来ました。
新手のスタンド使いから攻撃を受けている気分です。
これはバンメトートを楽しむ旅というより、バンメトートに寄ってそれから生きて帰る旅なのかも知れません。
そして、ひとまず、その後は何事もなく遂にバンメトートへ到着。
…が、ここでもまだ、最後の最後にまで、ある事件が僕らを待ち受けているのでした。
ネルソン「いやー長旅でしたねー。」
Cさん 「時間掛かっちゃったねー。」
Wさん 「13時間も掛かってるよ…。」
塩川さん「うわ、どないしたんや兄やん!」
!?
見ると、誠さんが靴下のままバスを降りている。
誠さん 「靴が、盗まれてしもうたみたい…。」
靴!?
盗む!!?
何処の誰が!!!?
聞いたところ、そんなに高い靴を履いていた訳でもないということ。
日本に比べて確かにひったくりなどの盗難が多いベトナムではありますが、それでも流石に、「靴を盗まれた」という話は今までかつて聞いたことがありません。
突然の土砂降りにおけるビニール傘の様な扱いです。
何にせよこのまま靴下で旅行を続ける訳にもいかないので、散歩用に持ってきていたマイ・サンダルを貸し出すことになりました。
何故か靴を盗まれた誠さん。
うん。
この旅、とても無事に終われる気がしません。