アジア諸国のいくつかには直訳すると「チキンライス」となる名物料理がありますが、ベトナムのコムガーもそのひとつ。地域色もありますが、オススメというか有名なものは、中部の古都ホイアンのコムガー。観光客向けのレストランならたいてい置いてありますが、私の行きつけは超ローカル路上店。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2020/01/14
アジア諸国のいくつかには直訳すると「チキンライス」となる名物料理がありますが、ベトナムのコムガーもそのひとつ。地域色もありますが、オススメというか有名なものは、中部の古都ホイアンのコムガー。観光客向けのレストランならたいてい置いてありますが、私の行きつけは超ローカル路上店。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2020/01/14
コムアイっていいですよね!
音楽ユニットの「水曜日のカンパネラ」ですが、ボーカルのコムアイのコムは.comから来ているそうです嘘です。
知らない。
目次
水曜日のカンパネラもコムガーも好きな私です。
そこで沸き起こる「いやコムガーってなんじゃい!なんじゃい!なんじゃい!」というシュプレヒコールにお答えすると、ベトナム料理のチキンライスのこと。ベトナム語で、コムがライスで、ガーがチキン、本当にまんま「チキンライス」なのですね。
これはタイのカオマンガイ。で、これも、中国の海南チキンライスも、基本的には鶏ダシで炊いたご飯にぷりぷりの鶏肉がのってある同種の料理という感じなので、じゃあベトナムも?というと…ちがうんです!あくまで一般的な話、もっと言えば私の体験に基づいた限りですが、ベトナムの鶏肉は硬くてなんぼ。
このいかにも硬そうな北部のドンタオ鶏は超高級品、デイリーポータルZで書いた記事はこちら。
地域によって違いもありますが、ベトナムのコムガーといえばやはり…
ホイアンのコムガーです!
ホイアンは、中部地方の世界遺産の街。四世紀前に国際的な貿易港として栄え、日本からも朱印船貿易でたくさんの商人が行き来しておりました。一説には1,000人もの日本人町があったとも言われており、日本人の墓もあります。
で、コムガーに話を戻すと、ホイアンを代表する名物料理なので、街の観光客向けレストランならけっこうな確率で置いてあります。しかしながら、私がオススメのお店はふつうに歩いていたら見つけられません。というより、パッと見かけても入ろうと思わないかもしれない。
なぜなら…
すげぇ路地裏にあるから!
はい、大繁盛ですね~。
ベトナム名物…かどうかわかりませんけど、いやここは!ベトナム名物、路上店です。
ちなみに空いている日に撮った写真がこれ。仕込んでいるものはのちほど皿の上に出てきます。
そういえばここ、過去にたまたま話した旅行中の日本人の方も、「情報は知っていたけど現場に行くと気後れして入れなかった」とのこと。わかります。でも、おいしいんですよ。
ただ、ランチタイムに限っては…
腹ペコ虫「腹減った!腹減った!」
腹満たし虫「腹満たす!腹満たす!」
ってな感じで、付け入る隙がありません。腹満たし虫ってなに。
こんな状況下だとそばでぼーっと立っていても店から親切に注文を聞かれることはまずないので、というよりほかのお客さんに横入りされるので、というより横入りという概念がないので(批判じゃなくてそういう習慣だと言いたいだけです)、そこは力強く「コムガー!モッヂア!コムガー!(チキンライス!一皿!チキンライス!)」と叫びましょう。チキンライスでも通じると思うけど、それっぽくベトナム語で言うだけ言っておいた方が吉です。理由はのちほど。
で、どこで食べんねん?というと、
空いてるときはこれなんですが、
この日は満席!
しかしご心配なく、
調理場裏手にある小道にもビッシリと席が並べられており…(傾いてますすみません)
洗濯物の干し場までは飲食スペース。円卓があるからね。
でで!
こいつがコムガー・ホイアン!冒頭に出たけど。
鶏ダシで炊くという点は、タイやシンガポールのチキンライスとも共通していますが、こちらはターメリックで色付けされた黄色が際立ちます。ベトナムでは鶏肉は黄色い方がおいしそうに感じるようです。ヘンなの~、ということなかれ。日本は日本で玉子(卵黄)をオレンジ色に着色してますからね。海外で卵を割ってみると、慣れるまではそのイエロー感にソワソワするよ。
こういう感じで黄色いの。
そして、タイのカオマンガイのようなぷりっぷりの鶏肉ではなく、細く裂いた鶏肉が盛られてあるということが特徴的。その下にサッパリと酢で味付けされたオニオンスライスと、青パパイヤが敷かれてあり、加えて香草。なんとなく、平皿にライスと香草がのってあるとそれだけでカフェごはんっぽく感じます。ローカルながらなんだかおしゃれ、それがコムガー。錯覚だけど。
そこに!
チリソースと!
ライムを絞って!
いざ…
いただきます~!!
おいしい!!
なんでスローにしたかって?俺が知るか!
なお、上の写真ではだれかに話しかけていますが、相席の知らない人に向かって「おいしい!」と日本語で話しかけたワケではなく、複数人で食べに行っただけです。私の情緒は大丈夫です。ご心配なく。本当に心配してたら逆に俺があなたを心配するぞなもし。
この鶏ガラスープも最高!
スープ、驚くほどにダシがシッカリと出ています。これまでナンバーワン鶏スープは高円寺のルック商店街入口あたりにある串兵衛という焼き鳥屋の突き出しで出てくるものだったのですが、今はここが一番。なんかすごいマニアックな話をしておるな。あ~、久々に高円寺に行きたい。
いまさらですが、店名は”Cơm Gà Xí“です。タイトルに出てるから必要ないか。でも、覚えやすいでしょ。なにが「でも」なのかわからんが。ただ路地裏にあるので、はじめてだとちょっとわかりづらいと思います。最初の写真の風景を探していれば見つけられるはず。
あと、これまで一人で行ってたのでふつうに一皿25,000ドン、おおよそ130円くらいで食べていたのですが、先日はじめて7~8人の日本人でぞろりぞろりと行ったら、会計時にボッてきやがりました。「デカイから45,000ドン」と言ってたけど、今までと同じサイズだっての。最後にネガティブ情報すみません。でもいきなりボられても困るだろうから、あらかじめ伝えておく。なお、前半で「ベトナム語で注文した方がいいよ」と書いたのは、これに対するけん制の意味もあります。ハードル高いのは分かってるけど、すまぬ。
「日本人が入れ食いや!ボッたれ!ボッたれ!」と思ったかどうかわかりませんが、人が欲に溺れる瞬間を見てゲンナリしたのは確かです。でも、それでもここはやっぱりおいしいんですよね。対策としては、メニューにシッカリとcơm dĩa(ライスプレート)は25,000ドンと書かれてあるので、それを指差しで主張してから頼みましょう。ふつうに値上がりしていたらすみません。まぁ、もとが安いから、45,000ドンでも250円いかないんですけど。
段々とオススメしたいのか文句を言いたいのかよく分からんくなってきたけど、「明らかにボッてくるようになったのは悲しいけどおいしいことは認める」という、人間でいうところの、魔性の女か、タチの悪いヒモって感じのお店です。
隣街ダナンのコムガーもオススメです。記事はこちら~。
Cơm Gà Xí
住所:47/2 Trần Hưng Đạo, Phường Minh An, Hội An, Quảng Nam