バインミーはフランスパンにハムやレバーペースト、大根や人参の酢漬けなどが入った総菜パン。ベトナムのどこでも食べられるので地域の名物料理になることは珍しいですが、中部の街ホイアンのそれは外国人観光客に超人気。コムガーやカオラウなどのホイアン料理も有名だけど、ぜひ寄ってみてくださいな!
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2020/01/12
バインミーはフランスパンにハムやレバーペースト、大根や人参の酢漬けなどが入った総菜パン。ベトナムのどこでも食べられるので地域の名物料理になることは珍しいですが、中部の街ホイアンのそれは外国人観光客に超人気。コムガーやカオラウなどのホイアン料理も有名だけど、ぜひ寄ってみてくださいな!
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2020/01/12
パンっていいですよね!
パンはラテン語に由来するそうですが、中国を介さず日本に直接入ってきた外来語の中でもっとも古いといわれるそうです本当です。
へ~~~。
目次
ベトナムのパンといえば、バインミー。フランス統治時代にやってきたフランスパンが、ベトナム人の味覚に合うようローカライズされ定着した食べ物です。そのカリッとした焼き目にフカフカの生地には、米粉が使われているからとも言われています(実際に使われているかは未確認)。
フランスパンに、レバーペーストやハム、きゅうり、なます(大根や人参の酢漬け)などの食材を挟み、ヌクマム(魚醤)やチリソースをかけたもの。ベトナムの朝食の定番で、街中の至るところに専門の屋台があり、通勤や通学の途中で買って行きがち。バイク社会のためドライブスルー形式で買う人も多く、ここ数年で1分以内の提供を謳ったバインミー店なども登場しました。
なにしろこれだけ走ってるからね。
余談ですが、そのほかの朝食としては、北部ではフォー、南部ではフーティウといった麺料理、おこわ、おかゆ、などが定番。ベトナムは早起きの人が多く、オフィスワークでも出勤時間は7時というところもあり、そうした背景がパパッと食べられる朝食のバリエーションに影響を及ぼしていそうです。
で、そんな全国各地で当たり前に食べられるものだから、バインミー専門店が地域を飛び出して有名になることはあんまりない気がするんですよね。でも、まったくないワケじゃなく、そんな数少ない、ある地域を代表するバインミーの名店をご紹介します。
場所はホイアン!
中部地方にある世界遺産の街。四世紀前は国際貿易港として栄え、日本、中国、オランダ、ポルトガル、などの国々と交易があり、いっときは1,000人前後の日本人が住んでいたとも言われています。長い時間に渡って日本人の墓が守られているあたり、深い関わりがあったことは事実。
そんなホイアン旧市街に~!
ものっそい行列が!!
同じくホイアンの蓮のハーブティーの記事でも書きましたが、ベトナムの飲食店で行列ができることって日本に比べてま~そうそうございません。これは個人的に、国民の食に対するミーハー度の違いだと思っています。とはいえ、外国人、ましてや観光客がターゲットでもあるお店の場合はこの限りではないのですが、それでもやはり珍しいもんです。
軒先にはバインミーが。なんだか木箱が素朴でいいね、バインミーを入れるための箱って。そうそう、具材を入れていない状態でも同じくバインミーと呼ばれます。
で、さきほどは飲食店に関して書きましたが、そもそもベトナムでは日本に比べて列に並ぶという意識は強くなく、なんだったらホーチミン市のコンビニでも抜かされることはしばしば。これは国内線を使ったことがある方ならお分かりでしょう。それでもこの数年で大きく変わってきたし、それは見方によっては急速な発展に取り残された世代への世間の気遣い…だったりもするのですが、それはまた別の話。
しかしながら、このお店はかなりシッカリと動線が決まっていて、軒先の両脇に調理場兼注文するカウンターがあります。つまり、二列に別れてくれと。ダブルカウンターですよ、二回攻撃のはやぶさのけんだ。客がさばけなければ二列にすればいいじゃない、バインミー界のマリーアントワネットがここに誕生。マリーは最終的に殺されちゃうけど。
一方だけ見るとこんな感じ。
ひしめきあう女性たちがパンにバシバシと具材を入れていく様子は、まるで昭和の紡績工場。
お会計はこちらで!…できるのですが、そのままイートインしようとしたら店員さんに「えっ」みたいな顔をされて、私も「えっ」みたいな顔をして、すると店員さんが「あっ」みたいな顔をする、というやりとりがあったので、たぶん屋内で食べる分には会計はあとみたいです。たぶんね。
で、そうそう。ここは中で座って食べられます。
バインミー屋でこれって珍しいというか、異常なくらい繁盛している証左です。チェーン店ならまだしも(それでも少ないけど)、個人店でバインミーで財を成すこと自体、珍しいことだと言えるでしょう。日本でいえば駄菓子で成功するみたいな。いや、これは嘘だ。なんだろうなー。関西なら、タコ焼き屋が近いかも。軒先でやってたタコ焼き屋が繁盛しすぎて二階建てのイートインスペースをつくっちゃった!みたいなね。関西以外の人は説明のしようがないので、関西に住んでください。
というワケで!
いただきますよ~!
の前にご開帳~!
ハム、レタス、ネギ、などなど。バインミーの具材としては定番で、トリッキーなことはしていません。というより、ベトナム料理はけっこう保守的な食べ物だと思うので、珍しいアプローチは歓迎されないような気もする。ホーチミン市を中心に外国料理は食べるけどね、ベトナム料理そのものをいじる、ということは珍しいと感じます。今回「珍しい」ばっか言ってるな。
とはいえ数あるバインミー店の中でこれだけここが人気を博しているワケですから、なにか大きな特徴があるワケですが、それは「具材が盛りだくさん」と「油っこいこと」。だと思います。
さきほどちょろっと書きましたが、バインミーは外はカリッと!中はフカフカ!という、タコ焼きの模範みたいなつくり。ってさっきからタコ焼き多いけどそれはたまたま。重量は具材次第なんですが、これは相当にヘヴィーです。サンドウィッチと侮ることなかれ、そのまま一食分になるくらいのポテンシャル(というより単にボリューム)を秘めています。
さらに中に入った肉(たぶん豚かな)は甘辛いタレがたっぷり絡んだ状態で、油量も多めで、”食いで”があります。はじめて食べたときになんとなく「ハンバーガーっぽいな」と思ったのですが、外国人観光客に人気の理由には、このハンバーガー寄りバインミーという特色があるのかもしれません。
とあれこれ書いたものの、まず第一に「デカイ」んですけどね…。
ズルズル~!と、豚肉を釣り上げてしまった。
食いさしで申し訳ないけど、断面。どことなくカレーっぽい風味も。もしかしたら八角が入っている?
ホイアンに来たら外せないバインミー店として有名ではあるのですが、バインミー自体がベトナム全土で食べられるし、個人的にNo.1を差し上げるならそれはホーチミン市の”Banh Mi Huynh Hoa”だと思っているので(そんなバインミーばかり食べてきたワケじゃないけど)、ぶっちゃけると、個人的にホイアンで食べたいものとしては優先順位は低めです。
せっかくならホイアンではホイアン料理、たとえば、チキンライスのコムガーや、伊勢うどんルーツ説のあるカオラウを食べてほしいとは思っていますが、たとえば二泊三日くらい滞在されるならぜひ寄ってみてほしいと思います。と、まぁ~、ぜんぜん一店舗目に行ってよいお店でありますが!
あと、ホイアン名物でも中部名物ってワケでもないですが、”Sữa Hạt Sen”という蓮の実ミルクがやさしい味で絶品です。俺も見かけるとどこでもだいたい飲んでる。
テーブルにはおそらく過去の客の証明写真が。なんの習慣や…。
Bánh Mì Phượng
住所:2b Phan Chu Trinh, Cẩm Châu, Hội An, Quảng Nam