ベトナムにはたくさんの麺料理がありますが、ご当地料理も多いのです。ミークアンは、ダナンふくむ中部地方を代表する麺料理。クアンナム省だから、ミークアン(クアンナム省の麺)とも呼びます。日本語のガイドブックやウェブサイトでは「汁なし麺」と説明されたり。その人気店をご紹介!
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2020/01/03
ベトナムにはたくさんの麺料理がありますが、ご当地料理も多いのです。ミークアンは、ダナンふくむ中部地方を代表する麺料理。クアンナム省だから、ミークアン(クアンナム省の麺)とも呼びます。日本語のガイドブックやウェブサイトでは「汁なし麺」と説明されたり。その人気店をご紹介!
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2020/01/03
きしめんっていいですよね!
一般に平たい麺を想像しますが、実は「幅が4.5mm以上かつ厚さを2.0mm未満の帯状に成形したもの」という、JAS(日本農林規格)による基準があるそうです本当です。
いつもの嘘を考えるにあたって調べると本当だった、みたいなパターンですこれは。
目次
ベトナムは麺の国です。
と言いながらさすがに中国よりは種類は少ないんじゃないかと思います(というより実際そうだろう)が、それでもたくさんだと感じる。国民食と言っててもいいフォーにはじまり、ブン、ミー、ミエン、フーティウ、バインカン、バインダー、カオラウ…などなど。
ひとつひとつの説明をしていくとキリがないので、そこは以前私がデイリーポータルZで書いた麺料理を食べ回るという記事を参考にしてください。
で、その大半が実は米粉麺だったりして、さすがは三毛作もしているお米大国ベトナムだなぁという感じ。そしてまた、この麺料理の中にはご当地料理、つまりその地域の名物もあり、その地形に気候、また文化による賜物だという見方もできます。というより、発祥地は必ずあるか。
とくにこのカオラウは、中部の古都ホイアンの井戸から採れるかん水でなければつくれないと言われているので、その中の最たるものですね。ちなみにホイアンは四世紀前、日本人町が形成されるほど日本との交易が盛んだったため、カオラウは伊勢うどんがルーツという説もあります。
私が好きな麺料理はこのカオラウなんですが、それと並ぶものがこの…
ミークアンだーっっ!!
ミークアンはしばしば、「中部で食べられる汁なし麺」と日本人向けガイドブックやウェブサイトで紹介される料理です。それこそ冒頭に書いたきしめんのような幅広の米粉麺に、魚介ダシのオレンジ色の濃いめのスープに浸され、肉(だいたいは豚・鶏・牛のいずれか)に、海の街らしくエビ、ゆで卵、そしてえびせんが乗ってあるところが特徴です。
これがおいしいんですよね~。
すみません、感情が昂って大声になってしまいました。
ミークアン。その名前は「Mi(麺)」と「Quang(クアン)」をくっつけた言葉で、中部地方のQuảng Nam(クアンナム)省に由来します。クアンナム省の麺料理だから、ミークアン、ってことですね。無理くり日本でたとえるなら「博多」の「ラーメン」の博多ラーメンってとこでしょうか。〇〇麺って言えるのが理想だけど、意外と思い浮ばなかったわ。ありそうだけど…。広東麺の方がまだよかったか。
ちなみに、ダナン市は現在は政府直轄都市、日本でいう政令指定都市ですが、1996年以前はクアンナム省に属していた中部の中心地。だから当然、ダナン市内でもたくさんのミークアン料理店があります。
ハノイはフォー屋が多く、
ダナンはミークアン屋が多く、
ホーチミンはコムタム屋(ごはんの上に炙った豚肉のったやつ)が多い。
もしあなたがベトナムに住んでいて、これが分からないとベトナム人100人に入れ代わり立ち代わり朝から晩までヒザカックンされつづけるので頑張って今覚えてください。でも、みんな生活があり、まずヒザカックンを知っているかどうかも不明なので、覚えなくていいです。うへへ~い。
前置きが長くなりましたが、そのミークアンのダナン市屈指の人気店がここ!
“Mi Quang 1A”です。
本当によく来てるんですが、働いている子の感じから勝手に家族経営だと思ってます。耳をすますと「チョイオイ~♪」と歌ってたんですが、これは日本語でいうと「マジでか~♪」みたいな感じです。かわいいですね(感想が適当)。
そしてドン!さっきも出しましたけど、ミークアン先生です。
いやほんと、これ書いてる今日本にいるんですけど、よだれがあふれてまいりました。どうしてくれんの。いや~、最近は日本にもベトナム料理店ってほんと増えたみたいですけど、中部料理はあんまりないんですよね。おいしいのに。ミークアンも見かけたことないんだよな。おいしいのに。
でもそれなんでか?これは完全に想像ですが、ベトナム料理店を開くベトナム人が日本暮らしが長い、つまり昔から日本に来ていると考えると、自由に行き来できる資本を持った裕福な方か、ベトナム戦争を契機にやってきたかつて難民だった方、だと思うんですよね。で、前者は北部で、後者は南部だったりするワケです。だから中部出身者が少ないのかなぁ。なんて思ってます。繰り返しますが、想像ですよ。
でも、今はずいぶん時代も変わって、戦後に事業で成功したり…なんだったら留学生や実習生を経て成功したり…なんて人も増えていて、しかもベトナム旅行先としてダナンの注目度は上り調子なので、これから日本国内にも中部料理店は増えていくだろうと予想しています。
それに逆のケースを考えてみれば、5~6年前まではホーチミン市でも日本料理店は日本料理店だったんですよね。意味わからん、どういうことっていうと、ラーメン屋とか、お好み焼き屋とか、細分化がされていなかったんですよ。それが今は専門店のチェーン店も進出するくらいになっている。外国料理にお金を払えるっていう前提も必要だけど、日本でベトナム料理の潜在的お客さんとも考えられるベトナム人人口が急増している背景を踏まえると、ま~確実に細分化は進むだろうねぇ。
わー!脱線しまくってた!600字も。
そんな中部料理のミークアンですが、食べ方はご勝手にと言いたいところなんですが、しいて言えば、
まずはえびせんをバッキバキに折ります。
そして別皿に盛られて出てくる香草をもりっともりっと。
それをこぼれないように箸とスプーンでひっくり返しかきまぜて~。
仕上がりです!麺の艶がエロい!
これに、卓上にある調味料…左から、チリソース、ヌクマム、ニンニクが漬けられた酢をお好みでかけます。チリソースはけっこうな辛さなので、様子を見ながらまずはひとかけ分からお試しください。ま、辛いかどうかは人によるけどね。
はい!
ゾゾッ!
うまさに思わず、「マジでか~♪」と歌いたくなります。うまいけどそれは嘘です。
すすったように見せましたが、実際はハムゥッス…ハムゥッス…みたいなラクダのごとく食べていたので、音は立てていません。その国にいるならその国の食べ方に習います。あくまでわたくしは。
このままだとほぼミークアンを食べただけの記事なので、ひとつコネタを。見出しで仰々しく「見分け方」と書きましたが、店の前を通りがかっただけではわからない基準なので、参考程度にしてください。
繁盛しているベトナム料理店の条件って、
1.基本は家族経営で、バイト(社員?)が余り倒している。
2.だいたい一杯5万ドン(およそ250円)
3.ランチタイム以外もやっている
という気がします。
1は家族思いのベトナム人、それでやっていけるならやっていく(人員が余ってるのは単に飲食店での人件費の相場が低いから)。3はいつでも客足が途絶えないからやる。から分かるとして、特筆すべきは2。そう、人気店の看板メニューはだいたい5万ドンでおちつきます。
とか言いながら、今回のお店の価格は3.5万ドンからだったので割安なんですが(全部入りは5万ドンだった)、そもそもダナンは物価が低い(主観では、ホーチミン市が1としたら、ハノイが4/3でダナンが2/3)ので、これは二大都市での場合かもしれませんね。とはいえ1と3は適用できる感覚です。
ミークアンは今回紹介したお店でなくても、そうそうハズレは引かない気がします。大阪で食べるタコ焼きならまずくはないみたいな。そしてこれはハノイならフォー、ホーチミン市ならコムタム、にも言える気がします。あくまで「そうそう」で、ハズレもあると思うけど。それもこれも主観だけど。
Mi Quang 1A(Mì Quảng 1A)
住所:1 Hải Phòng, Thạch Thang, Hải Châu, Đà Nẵng