もし海原雄山がベトナムに来たら、と妄想して漫画にしたらこうなりました!
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2012/10/16
もし海原雄山がベトナムに来たら、と妄想して漫画にしたらこうなりました!
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2012/10/16
原作:ネルソン / イラスト:ハタメグミ
U原「なんだこの店は!こんなものを食わせるとは!!」
ガシャーーン!
女将「ひいぃぃ!す、すみません!」
この男、U原カイザー。
陶芸・書・絵画・文筆に秀でた天才芸術家にして、会員制料亭「うまかもんサークル」を主宰する稀代の美食家。
こと美食に関しては妥協を許さず、権威であると同時に周囲からは畏怖される存在である。
U原は悩んでいた。
もうここ数年、美食という道において新たな発見をしていない。
このままでは「うまか(略)」を代表する美食家として名折れである。
もしかしたら自分は、日本のおよそ本当に美味しいと言われるものは食べ尽くしてしまったのではないか…。
そんな傲慢とも思われることを考えつつも、実際にこれまで彼の舌で転がった料理は数知れず、たとえ言葉に出したとしても誰も否定する者はいないだろう。
U原「あれは…何だ?屋台か??」
ある夜の帰り道、決して人通りも多くない場所で彼は不思議な屋台を発見した。
日本の屋台と言えば今や軽トラの改造車が一般的で、店主がチャルメラを鳴らしそうな屋台すら今やそうそう見ない。
が、あれはアルミの囲いが置いてあるだけといった簡素なつくり。
何より描かれている字が…英語?に毛の生えた様な、とにかく不思議な文字。
U原「あんな小汚い、衛生観念の欠片も無い屋台に美味しいものがあるとは思わんが。」
気付くと、U原は赤いプラスチック製のイスに腰を下ろしていた。
数年に渡る美食への渇望が、頭より先に彼の身体を動かしたのだろう。
何を注文するまでもなく目の前にスープ麺が置かれた。
U原「…おい店主、これは何という料理だ?」
店主は返事もしないまま黙々と具材を切り刻み続けている。
返事をくれそうにも見えなかったので、ひとまず口にしてみた。
ハフ
ハフ ハフ
スルッ スル スル スル …
U原「!!!!?」
透き通っているがシッカリとした鶏ガラスープ!
何の抵抗なく自ら口の中へ滑り込んでくるモチモチとした平麺!
その優しい味の中に時折爽やかなアクセントを加えてくれるこのパクチー!
全てが、衝撃であった。
うまかもんサークルを設立して30年、数々の美食をその舌の上で堪能してきたU原だったが、それらが絶世の美女であればこれはまるで慈愛に満ちた聖母である。
これ…かも知れない…新しい美食はこの…名も分からぬ料理の中に潜んでいる…!
ダンッ!
U原「店主!これは何という料理だ!?」
U原「…ん?」
U原「…んんん!?」
U原「…んほおおおぉぉぉぉ!!?」
U原「ここ・どこ・ですかーーーーーーーーーーーーーーー!!!?」
*
はい。
そんな訳で何の前置きも無くいきなり始めてみました、「ăn đi!! ~至高のベトナム料理を求めて~」という漫画。
ちなみに「ăn đi」とは、「食べなさい」とか、「食べなはれ」とか、「食べよし」とか、「食べんぶぱぁ」とか、まぁつまりはそういう意味ですね。
最後は聞いたことないけど。
この話自体は以前からこういう話を書きたいなぁーという思い自体はもうかれこれ半年程前からあったのです。
でも俺は絵心無いしなーでも形にしたいよなーと思っているところに、ハタメグミさんというベトナム大好きイラストレーターさんから「何か協力したい」という申し出を受け、「であれば是非!こうこうこういうのがしたいんですよ是非!!」と食い気味で話を持っていったのでした。
いやーいいっすね、感性のキン肉バスター。
は?キン肉バスター??
いずれにせよ、この話は勿論これからも続きます。
U原カイザーという架空のキャラクターを軸にして、色々なベトナム料理をご紹介出来ればと思っています。
もしこのシリーズが途中で終わるとしたら、某大手出版社もしくは大御所の漫画家からクレームをつけられた時なのでお察しください。
あ、U原カイザーは、架空のキャラクターですけどね!
こんな肩が破れた着物を羽織ったキャラクターなんて見たことないしねいやほんと!!