バドミントンのシャトルのような重し付き羽根を宙で落とさず蹴り合うスポーツ、ダーカウ。これ、ベトナムでは小学生の体育にも導入されるほど、国民に親しまれるものです。朝の公園に行けば老若男女が楽しんでおり…。そんなダーカウにさわやかな汗を流すおじさんたちに話を聞きました。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2019/12/07
バドミントンのシャトルのような重し付き羽根を宙で落とさず蹴り合うスポーツ、ダーカウ。これ、ベトナムでは小学生の体育にも導入されるほど、国民に親しまれるものです。朝の公園に行けば老若男女が楽しんでおり…。そんなダーカウにさわやかな汗を流すおじさんたちに話を聞きました。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2019/12/07
本記事は、2017年6月22日に「ネタりか」(運営元:ヤフー株式会社)で公開された記事を転載したものです。 サービス終了に伴い、許可を得た上で、べとまるにて公開いたします。
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こんにちは! ベトナム在住ライターのネルソン水嶋です!
この羽根は「ダーカウ」と呼ばれるベトナムのスポーツで使用される道具なのですが、どうやって使うか分かりますか? ぜひ考えながら読み進めてみてください!
というわけで、朝の公園にやって来ました!
時間は朝7時前。ベトナム人の朝は早く、この時間でもふつうにフォーなどのヌードル店やカフェが営業しています。地域によっては朝4時でも営業しているほどです。
また、ベトナムは健康を大事にする国でもあり、公園に行くと、
フォークダンスを踊っていたり、
バドミントンをしていたり、
謎の動きをしていたり、
公園にあるユニークな健康遊具で爽やかな汗をかいています。
「全逓信(ぜんていしん)労働組合」と彫られた石碑があった。どうやらこの公園は、かつて日本にあった官庁の労働組合のサポート(寄付なのかも)により造られたらしい。この組合はベトナム戦争時に反戦デモに関わりがあったのだとか! 時代を感じます。
で、そう、今回は公園のレポートに来たのではなく……「ダーカウ」だ!
この……!
ダーカウ……!!
と言っても、写真じゃ全然分かりませんね! 動画をお見せします~!
お分かりでしょうか……!? ダーカウは、冒頭で紹介したカウと呼ばれる羽根を蹴り合う遊び。ベトナムでは国民的スポーツとされ、日が暮れて涼しくなってきた頃合いに、街の至るところで(それこそ歩道でもお構いなしに!)ダーカウに興じる人たちを見かけます。ほんと、器用に足を使って、小さな羽根を打ち返しています。
どれくらい国民的なのかというと、以前ベトナムの小学校を訪問したときには、生徒一人一人がマイ(ダー)カウを持っていたほど。日本の学校でいうところの縄跳びみたいなものかもしれません。縄跳び、別に国民的スポーツじゃないけど。
ただ、このダーカウ、何度か挑戦したことはあるのですが、まるで上手く蹴れません。バネになっている部分を蹴り上げればきれいに飛ぶんでしょうけど……。
ほんと器用な人たちだなー。
なんと後ろ蹴りまで!
目次
ちょうどキリのいいところだったので、話を聞かせてもらいました。
私「毎朝、ここでダーカウをやられているんですか?」
おじさん「あっはっは! そうさ! 俺たちの日課だよ!」
私「元気だな~!」
最年長のおじさん「ん、あんたもしかして日本人か?」
私「はい」
最年長「日本と言えばヒロシマだな! 先日小説を読んでなぁ」
私「あ、やばい」
最年長「最近日本でベトナム人の窃盗が多いらしいじゃない」
私「やばいやばい!」
最年長「一部のバカがベトナム人全体に影響するから、俺は悲しくてなぁ!」
私「これ、一方的に喋られて終わるパターンだ! 何時からやってるんですか!?」
最年長「えっ? 日本の話はしないの?」
私「日本の話はまた今度に……今はダーカウの話を聞かせてくださいな!」
最年長「お、それな! ダーカウね! 朝6時半から7時半までやってるよ」
私「へー、みなさんはもともとお友達で?」
イチローみたいなおじさん「いや、最初はおじさんひとりでダーカウしてたんだよ」
最年長「俺はもう朝のダー活をはじめて10年でな」
私「ダー活……(※造語です。誰も言ってません)」
最年長「以前は北部のハイフォンという街でやっていて、1年前にこっちに引っ越してきたんだが、日課のダー活はやめられなくて、ここでひとり続けていたんだ」
私「そんなおじさんを中心に、ダーカウ仲間が続々と集まってきたってこと?」
日本語を話すお兄さん「そういうこと!」
私「わっ、日本語話せるんですか!?」
日本語「はい、東京で8年働いていたので」
何か、ダーカウをやる人は見た目も年齢や経歴もバラエティに富んでるなぁ。それだけ競技人口が多いってことなのかもしれない。
私「ダーカウって、やっぱり国民的スポーツだと思いますか?」
イチロー「あはは! スポーツというか、昔から当たり前のようにやってるからな! ダーカウをやったことのないベトナム人はいないって言っていいんじゃない?」
私「そんなに!?」
最年長「足をよく使うからな、健康維持のためには最高のスポーツだよ!
私「なるほどね~」
最年長「じゃあ、俺たちはこれからモーニング(朝ごはん)に行くから!」
私「な、仲いいな~!」
終始向こうのペースだった……。それにしても、めちゃくちゃ元気な人たちだ。なお、右端の人は、急にフレームインしてきた通行人です。
そんなダーカウですが、こうした健康のための遊びにとどまらず、なんと世界大会まであるそうです。ネットを挟んだコートで打ち合う、形式はバレーボールに似ています。やはりベトナムが強国の王者として君臨しているそうで、小学校の体育の授業で才能を見出されダーカウ選手として養成される人も珍しくないとのこと。
こちらは世界大会の試合、なんと3対3……!
ちなみに、どの動画を見てもベトナム対中国でした。ダーカウの起源は紀元前の古代中国にあるとのことで、ベトナムと中国の試合が多いのは当然の流れのようです。
ベトナムにお越しの際には、朝や夕暮れなど涼しくなる時間帯に公園を歩いてみてください。そこにはきっとダーカウプレイヤーがいるはずです。もしかしたら、ダーカマ(ダーカウ仲間)になれるかもしれませんよ!? ダーカウは簡単そうに見えて、めちゃくちゃ難しいけど!
余談ですが、バドミントンも3対3でやっていました。これ、そのまま人数増やしたらおもしろそうだなー。
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編集:ノオト