ろうちょんさんに書いてもらった記事なのですが、どうひっくり返っても私には書けないテーマなのが気に入っています。ホーチミンのアンダーグラウンドミュージック…いや、ろうちょんさん以外に書けるの?これ。
ライター:ろうちょん 公開日:2013/05/05
ろうちょんさんに書いてもらった記事なのですが、どうひっくり返っても私には書けないテーマなのが気に入っています。ホーチミンのアンダーグラウンドミュージック…いや、ろうちょんさん以外に書けるの?これ。
ライター:ろうちょん 公開日:2013/05/05
アングラっていいですよね!
ちなみにアングラの対義語ってブルースカイって呼ぶそうです嘘です。はい雑ですね。
今回の記事のテーマは、サイゴンのアングラ・シーン。
で、そんなの、誰に書いて貰ったのって?
サイゴンではご存知の方も多いのではないでしょうか。オリジナリティ溢れ返るバンド・パフォーマンスで有名な”ろうちょん”氏。
そのパフォーマンスは、いずれ彼自身の口から語って貰うとして、今回は彼の友人でもある”Time Keeper”のメンバー”To Phan”に、サイゴンのアンダーグラウンド・ミュージック・シーンについてインタビューして頂きました。
宜しくお願い致します!
***
シンチャオヘイメン。
べとまるライターの「ろうちょん」です。
「ロック」っていいですよね!
「ロック」は元々、日本語の「ロクデナシ」から来た言葉だってしってましたか嘘です。
昨今、サイゴンの街は茹だるような暑さ、砂埃の舞う街の外れでは犬も日陰でぶっ倒れており、唯一の涼といえばトラックから運び出される氷の塊といった風情。万事が暑さで砕けてしまいそうな、そんな中を歩いていると、「今、俺、ロックしてるな…」なんて渋い顔をきめてしまいたくなる。そんなロックシティーサイゴン。
と、書き始めてみたものの、実のところ、ロックだったりアンダーグラウンドなカルチャーは一般に普及してない今のベトナム。巷を賑わすメロディーは懐かし(いメロディー)の歌謡曲が主体で(それはそれで異国情緒はあるのですが…)、怪しげなカルチャーの洗礼を受けてきた我々日本人にとって「カルチャー不足」がベトナム生活で切実な問題となっているのです。
ただ、近頃はそんな中でも着実に(主に若い人々から)独自なカルチャーが発信されてきているので、それを断片的ながら紹介します。
実際のところサイゴンのアンダーグラウンドな音楽シーンはどんな若者がどんな気持ちで作ってるの?という疑問をポストロックバンド”Time Keeper”のギタリスト、”To Phan”にぶつけてみました。”Time Keeper”のライブ当日の写真を混ぜながらのインタビューです。
目次
2013/4/6(土曜日)サイゴンの中心地、レストラン”Lucca” 22:00頃、普段はレストランとして営業している店に着くとコロニアル調館内は客もまばら。DJが鳴らす曲はストイックなファンク。
■普段名乗ってる”To Phan”というのはステージ名なの?それとも本名?どういう意味がある?どう感じてる?
To:やあ!本名は“Khoa”なんだ。フルネームは“Phan Duc Khoa”。
“To”というのは家族での呼び名なんだ。オレが生まれたとき兄が付けてくれたんだけど、高校に入るまで誰にもこの呼び名を知られたくなかったんだ。だけど、(親友の)Bushに出会ってから、彼がその”To”という呼び名を使うようになったんだ。で、それから皆、オレのことを”To”って呼ぶようになったよ。”To”っていうのはベトナム語で「丼ぶり」という意味なんだけど、(今は)この名前をつけてもらって、ラッキーで幸せなことだと感じてるよ。
■Toちゃんの故郷はダラットだっけ?ダラットのことをどう思ってる?
To:そう、ダラットで生まれて、それから18年間住んでいた。ダラットについて話すのはちょっと寂しいな。なぜなら、昔のダラットは美しく、自然が有った。だけど、今は随分木が伐採されてしまったんだ。あと、一年中の気候は大体16℃~25℃だから寒くて、夜は霧が立ち込めるんだよ。だから、誰も外に出たがらない。でも、そこに居続ける。ここは、騒がしい生活を止めて、落ち着いて、良いこと行う人々の為の場所なんじゃないかと思ってるよ。
YAMAHAのキーボードをバリバリ言わす青年が登場。名前は失念。22:30頃、またDJタイム、フェラ・クティ-的な曲がフロアを盛り上げる。その後、23:00頃、実験ヒップホップっぽい演奏。
■ダラット出身の”To”ちゃんの友達がサイゴンに多くいるようだけど、どうして皆サイゴンにいるの?
To:ダラットには大学が少ないから、皆サイゴンに行って勉強をするんだよ。ダラットは若者にとっては退屈なんだ。もっと言うなら若者は自由を求めてる。ダラットで君は常にジロジロ見られると思うよ。これが、(ダラットの)若者の(自由に対する)気持ちだと思うよ。まあ、多くのダラットの若者はサイゴンで成功して幸せになってるよ。
■ベトナムでどの都市が一番好き?ダラット?サイゴン?他の都市?
To:実のところ、ベトナムのどの都市が一番好きか分からないよ。6年前は、音楽や仕事や生活のサポートをしてくれるサイゴンが一番好きだった。だけど、今はもう十分サポートをしてもらったから、これ以上のサポートは要らない。今はオレが音楽のサポートをしているし、オレ達は故郷の音楽シーンを作るだろうし。だから、今一番好きな都市はダラットになるね。
23:30頃、西洋人中心に人も増えパーティー的な雰囲気に。アップなDJの曲調に煽られ、踊る人も増える。週末の様相。
■ダラットの音楽シーンはどう?
To:2年前ほんの僅かなバンドがダラットで活動してたよ。彼らはブラックメタル、オルタナティブロックをやってた(…全然新しくない)。でも、今は全然バンドがいなくなってしまったよ。
(今)多くのダラットの人達がサイゴンで音楽での成功をしている。要するに、ダラットの人達は”芸術”的であるけど、自分の街を離れて、ダラットで音楽を作らなくなってしまったということなんだ。
12:00を回ったころTime Keeperが演奏開始。手前がキーボードを演奏するGiang、奥がギターのTo-
■4月6日のライブでの演奏はどうだった?
To:ベトナム人とアジア人の為に演奏したいと感じたよ。もちろん、できる限りのいい演奏をするために努力をしている。だけど、音楽に興味がない幾ばくかの人がいたんだよね。パーティーと酒とxxでハイになることしか考えてないようだし。(ごめんね、インタビューなのに。ちょっとイラッときたんだ)。それでも楽しいショーだったよ。友達とかは演奏を楽しんでくれたしね。オレ達は音楽をもっともっと頑張るよ。
■日本人向けにTime Keeperがどんな音楽か説明してよ。
To:本当のところ、オレ達は日本人から多くを学んでる。だけど、働き方だけを日本人から学んでるんだ。日本の音楽から影響を受けてるのは(Time Keeperを)聞いてくれれば分かるよ。ベトナム人からはあまり多くの新しいことは得てないんだ。日本人にありがとうと言いたいよ。
-Time Keeper。Giang君の笑顔は撮れるものの、Toちゃんは、アンプに向いたままなので、写真が撮りづらい。サウンドは、浮遊感のある曲と、リズム感のある曲の2種類に分類できそう。
■”To”ちゃんと”Giang”君は、Time Keeperのサウンドで何を作ろうとしてるの?
To:今俺たちが持ってるサウンドはバンドが始まったときの影響・論点から成っているよ。そこで一番重要なのはトーンとテンポを見つけること。そしてGiangにとっては“music material”を見つけること。それは、ちょっと説明が難しいんだよ。でも、どうすれば良いかは分かってる。俺たちは今でもいつも、新しいことに挑戦しているよ。
■(“Time Keeper”は)サイゴンの音楽シーンにどんな影響を与えると思う?
To:俺たちのバンドはサイゴンの音楽シーンの中の小さい部分でしかないよ。未来のことについては分からないけど、俺たちは外国に俺たちの音楽を届けたい。そし てそれがベトナムに戻ってくる。それで皆が俺たちに注目することになるし、(ベトナムの)音楽シーンを作ることにもなると思うよ。
■新しいシングル”The Sky is Missing”が好きなんだけど、今回何か新しい試みをした?
To:(今回の曲の為に)俺たちはあまり多くの練習をしなかったよ。だけど、いつもクリエイティブになる為の時間を取ってるよ。何かが起こるようにいつももしてるんだ。
シングル”The Sky is Missing”からの一曲、”Running Down A Step Trail”。浮遊感のあるパートと、ポップなパートのコントラストが絶妙の洗練されたサウンド。
ライブ写真がネタ切れなので、過去写真を掲載。以下でも紹介される“A.K.A.T”時代のToのギタープレイ。Tシャツからも分かる通り(メルヴィンズ)、ストナーサウンドの演奏をしていた。
■Toちゃんは重要なサイゴンのアンダーグラウンドアーティストの一人だと思ってるけど、今までのサイゴンでのアンダーグラウンドミュージックの活動を教えてくれないかな。
To:今までに5年活動してきた。最初、俺と(親友の)”Bush”とで“A.K.A.T”というバンドを作ったんだ。3年間ガレージ/パンクロック/サイケデ リック/ストナーな音楽をやってきたんだ。そして、バンドは終了した。その後1年間、俺は退屈してきた。なぜなら、俺と”Bush”は“A.K.A.T”で沢山の曲をやってきたのだけど、「この道を続ける為にお金が必要」という理由でバンドを終わらせなければならなかったからなんだ。そのあと、1年後に”Time Keeper”を始めた。今こそベトナムの音楽シーンの為に何か立ち上がる時だと思ったんだ。で、今、いろいろやる為に幾つかプロジェクトも考えている。 とは言え、今はそれの為の、より多くのアーティストが必要なんだけどね。俺たちはベトナム人の為に活動し続けてるよ。
ダラット時代からの友人と一緒に、右端がTo。真ん中が前述されている”Bush”。髪の長いギタリストは、演奏写真だと顔が分かりづらい…。
■(今まで見てきて)サイゴンの音楽シーンは今と昔で何が違う?
To:昔のサイゴンはカバーバンドだけで、オリジナルをやるバンドは居なかった。彼らはロック・ブルース・ジャズ…全ての音楽を演奏していたけど長い間音楽シーンとしては強くなかった。基本的に戦後、皆は国を復興させなくてはならなくて、つまり音楽を演奏することは重要なことではなかったからだと思うよ。だけど、今はベトナムの音楽の未来が見えるよ。ベトナム人は音楽を学んでるよ。”we want peace!”
インタビューはここまでです。聞きたかったことは、まだありましたが、(好きなタバコの銘柄とか)、サイゴンの等身大でクリエーティブで有ろうとしている音楽なシーンの一端を「まずは」紹介することができたので、ここまでとします。(インタビューの翻訳が読みづらかったですかね…)
サイゴンはこれから雨季にはいります。夜の雨のなか、合羽を来てバイクに乗りライブに駆けつけると、そこでは”Time Keeper”だけでなく、その他”自分の音”を出すバンド(ベトナム人でも外国人でも)が確実にふえているのだろうな。という実感を、このインタビュー によって改めて確信してるのです!!
サイゴンのアンダーグラウンドシーンから目が離せない!!と、煽って締めとします!!
タンビエット、ではまた。