寿司はベトナムでスッカリとお馴染みなのですが、どうやら次に根付く日本食はたこ焼きになりそうです。手食や持ち帰りの習慣がある国なのでなるほどという感じ。でもこのご夫婦、レシピをインターネットで覚えたって!?
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2015/03/18
寿司はベトナムでスッカリとお馴染みなのですが、どうやら次に根付く日本食はたこ焼きになりそうです。手食や持ち帰りの習慣がある国なのでなるほどという感じ。でもこのご夫婦、レシピをインターネットで覚えたって!?
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2015/03/18
たこ焼きっていいですよね!
たこ焼きの元祖はラジオ焼きと呼ばれ、醤油で煮込んだ牛すじ肉を入れていたそうです本当です。
目次
突然ですが、私は大阪生まれ大阪育ちの大阪人です。
毎週土曜に小学校から帰ると、テレビのチャンネルは吉本新喜劇にセットされ、お約束のボケに笑いながら焼き飯を食べる。そんな少年時代を過ごしてきました。
ちなみに「焼き飯」が大阪弁だと知ったのはつい数年前です(チャーハンのことです)。
そんな自分には、ベトナムに住んでいると猛烈に駆られるある感情がある。
たこ焼きがっ…食べたいっ…!!
この場合、東京に展開している銀だこの、たっぷりの油でカリカリに焼いた、もはやたこ揚げになっているものではないんです。
あれはあれでよしとして、私にとっての思い出の味は商店街にある、外フワッフワ中フワッフワのたこ焼きなんですよ。
小麦粉とダシの味をきちんと感じる、プスッと刺すとふにゅ~んと中身がとろけ出るたこ焼きなんですよ。
これ、大阪人であれば分かってもらえると思います。
そんな時、ベトナム生まれ大阪人の友人からある情報が届く。
友人「ネルソンさん、ローカルのたこ焼き屋があったんですよ。これが美味しいんですよ!」
っせやん!(嘘じゃないですかそれ!)
行くしかないやん!(行くしかないじゃないですかそれ!)
そのたこ焼き屋は、師範大学の近くにあるという。
ちなみにここの中央あたりで毎週、井浦あすかさんが居合道の道場を開いています。
居合道をベトナムで教えている女性がいると聞いたので行ってみた
時間は17時すぎ、帰りがけの学生も多く、
周辺にはストリートフードの屋台で溢れていました。
そこから、ずっと西へ…バイクで3分ほど走ると…。
ぬぬーっ!
たこ焼き屋や…!
確かにたこ焼きって書いとるで…!
ノンラーをかぶったおばちゃんが焼いてるのは、
紛れも無くたこ焼きや…めっちゃ美味しそうやん!
ネルソン 「6個ちょうだいや」
おばちゃん「中身はタコとチーズのどっちがええ?」
ネルソン 「洒落たもん入れとんな、ほな3個ずつちょうだい」
おばちゃん「おおきに」
おばちゃん「食べ食べ」
ネルソン 「ありがとー」
近くで見ても確かにたこ焼きや!
ソースが少し赤みがかっている気もするなぁ!
ネルソン「ほな…」
ネルソン「あー…」
ネルソン「はふっ」
…
………
……………
ネルソン「痛快エブリデイや…!」
はふっ
ネルソン「ちちんぷいぷい…!」
はふっ
ネルソン「大阪ほんわかテレビ…!」
はふっ
ネルソン「たかじん胸いっぱい…!!」
はふっ
ネルソン「怪傑えみちゃんねる…!!」
はふっ
ネルソン「あぁ、もう!のりノリ天国ぅーー!!」
などと大阪のローカル番組を並べ立ててみましたが、美味いです。
ソースが甘いけど、それはそれでクセになる美味しさになっている。
それに大切なダシの味もきちんと出ていて、かつちょっとクリーミー。
スイート、スパイシー、クリーミー、スイート、スパイシー、クリーミー!味の三重奏や!
ここ、日本のそこいらのたこ焼き屋よりレベルが高いぞ…。
それにしても、さっきから気になることは、このご夫婦(?)がたこ焼き屋を開くようになった経緯だ。
ネルソン「日本人に紹介してもいい?」
おじさん「いいよいいよ」
と断った上で、インタビューに快く応じていただきました。
ネルソン「僕、日本の大阪生まれなんですけど、このたこ焼きすごく美味しかったです」
おじさん「そうなんだ?嬉しいねぇ」
ネルソン「そもそもですが、何処でたこ焼きをつくる技術を覚えたんですか?」
おじさん「インターネット」
天才か…!!
この返事は想定していなかった!
てっきり日本に住んでいる親戚がいると…この周回遅れのサイバーチャイルドめ!
ネルソン「や、や、でも、だからって現物を食べなきゃ味は分からないじゃないですか」
おじさん「あぁ、10区にね、たこ焼き屋があったんだよ。そこが美味しくて自分もやろうと思った」
たこ焼き屋じゃなくても成功しそうな人だな。
ネルソン「それは日本人が経営?でも10区なら…」
おじさん「ベトナム人だったよ」
ネルソン「へぇ…」
近所の高校生もおやつ代わりに買いに来る、近所に愛されているようだ。
ネルソン「ソースとか、日本の製品もあるけど、どうやって調達してるの?」
おじさん「マヨネーズはベトナム製で、ソースだけは日本のスーパーで買ってる」
ネルソン「ソースはちょっと変えてる?」
おじさん「うん、ベトナム人の舌に合うようにいろいろと調整してる」
ネルソン「たこ焼き用の鉄板は何処で?」
おじさん「日本の製品を輸入している、ベトナムのお店で買ったよ」
ネルソン「いつからこの店を続けているの?」
おじさん「三年」
ネルソン「三年!?」
知らなかった…全然知らなかった…!!
そんなに長いことあって、今の今までこれほどまで日本人に知られていなかったとは…!!
確かに、大通りとは言え、いや大通りゆえに脇見することなんてまず無い。
あると分かっていなければ気付かないし、よっぽどたこ焼き好きでなければひと目見ても忘れそうだ。
このあとでお客さんが続々と。
私も、この味であれば、たこ焼きが評価されていることを純粋に喜びたい。
ネルソン「最後に、これで多くの日本人が知ると思うし、もしかしたら食べに来るかもしれません」
おじさん「嬉しいね!」
ネルソン「何かメッセージはありますか?」
おじさん「そうだねぇ…味の感想を、感情表現でも何でもいいので是非聞かせてほしい。何処か良くて何処が悪いか、積極的に聞いて改善したいと思います」
ネルソン「ありがとうございました!」
ニコニコしてとても感じのいいご夫婦(?)でした。
一個6,000ドン(35円弱)なので、実は値段が大阪の下町とそんなに変わりません。
その上でほぼベトナム人向けの商売で3年続いているのだから、味は保証付きということです。
常に作り置きしているので、焼きたてが食べたい人は開店する17時頃に行ってください。
といっても、フワフワなので、作り置きでも十分に美味しかったです。
たこ焼きらしく持ち帰りも出来ますよ。
住所: 465 An Duong Vuong, P.3, Q.5, HCMC
路上の寿司屋が大流行りしているように、たこ焼きもそうなってほしいなぁ。
それが難しいのであれば、このご夫婦にはマジでウチの近所に出店してほしい。
週一で食べたい。マジで。