中国のアート集団FM3が生み出した「ブッダマシーン」、元は唱佛機というただただお経が流れるだけのお経専門プレイヤー(何それ!?)。なんとこれをベトナムでも発見!何処に?値段は?そして内容は?
ライター:ヘム太郎 公開日:2015/05/23
中国のアート集団FM3が生み出した「ブッダマシーン」、元は唱佛機というただただお経が流れるだけのお経専門プレイヤー(何それ!?)。なんとこれをベトナムでも発見!何処に?値段は?そして内容は?
ライター:ヘム太郎 公開日:2015/05/23
はじめまして。
べとまるに記事を書かせてもらうことになりました、モッチャム★ヘム太郎と申します。
突然ですが、皆さんは「ブッダマシーン」ってご存知でしょうか。
目次
こちら、絢爛豪華なブッダマシーンの画像検索結果。
ブッダマシーンは、中国のアーティスト集団「FM3」が、念仏を再生し続ける機械の仏具「唱佛機」に着想を得て作ったアンビエント・ミュージックの再生機械です。
アンビエント・ミュージックとは何か、と説明すると長くなりますので、気になった人は上記サイトの写真をクリックし、再び「SOUND」をクリックして音楽を再生させてみてください。「ああ、うん、こういうやつね」、と雰囲気は分かっていただけるかと思います。
このブッダマシーンが有名になったため、元ネタである唱佛機もブッダマシーン、あるいは「buddha machine juke box」などの名称で知られるようになったそうです。主に中国製や台湾製ですが、ベトナムも人口の9割近くが仏教徒の国ですので、もちろん売っています。
少し前、メコンツ川ツアーの道中に立ち寄ったお寺で売ってたものを試しに買っ(てしまっ)たものがこちら。
いつも手のひらに念仏を。確か3万ドン(約165円)でした。
セットリスト(?)は箱側面の通り、漢字で書くとこうなるそうです。
Nam Mô A Di Đà Phật (Niệm) ※南無阿弥陀仏(念仏)
Nam Mô A Di Đà Phật (Nhạc) ※南無阿弥陀仏(音楽)
Nam Mô Bồ Tát Quan Thế Âm (Nhạc) ※南無菩薩観世音(音楽)
曲目は、側面の黒いボタンでポチッと切り替えが出来ます。では再生。
特に何のひねりも無く、同じ歌詞の念仏or曲が流れ続けます。
端子があるので、何とヘッドフォンでも聴くことが出来ます。
日本人の感覚からすると「機械で念仏を唱えさせ続ける」という発想はちょっと不思議というか、それでいいのかという感じがするのですが、仏壇のBGMとして流すという感覚で使われているのかもしれません。
ちなみに、僕はホーチミンで「念仏を延々唱え続けながら運転するタクシードライバー」のタクシーに乗ったことがあります。念仏はともかく、運転が適当だったので実に不安でした。頼むから、信心より先に、集中して運転してくれと。
それにしても、たまにいじったり聴いたりしているうちに、他のものも欲しくなってきました。
冒頭のGoogleの検索結果を見る限り、いろいろと種類もあるようだし、僕の知らない「超ブッダマシーン」があるのではないだろうか。
そこで、ことある度にブッダマシーンが売っていないか探してみるのですが、なかなか簡単には見つからない…。ホーチミンの台所、ベンタイン市場もくまなく見てみたのですが、基本的にはお土産物市場なので、どうにも売っていない模様。チョロン(中華街)には葬祭用品店ばかり集まっている通りがあるのですが、市の中心部からはちょっとばかり遠いので、少し不便。
自分の周囲のベトナム人に聞いてみると、
僕 「(実物を見せながら)ブッダマシーンが色々売ってるとこ知らない?」
知人A「何でそんなもの持ってるの(笑)」
知人B「誰か死んだの?」
知人C「何、家にオバケでも出るの?」
僕 「いや、単に興味があるだけで…。どこか、街の中で売ってそうなところ知らない?」
知人A「ヴィンギエム寺」
知人B「ヴィンギエム寺」
知人C「ヴィンギエム寺」
誰に聞いても返って来た、「ヴィンギエム寺の売店に行けば絶対あるんじゃない?」との答え。
ヴィンギエム寺(永厳寺)は有名ガイドブックにも載っている程には有名な、ホーチミン市内では非常に大きい部類に入るお寺です。タンソンニャット国際空港から市内中心部に車で来る際、大通り・ナムキーコイギア通り沿いにあるので、旅行者の方でも結構目にする場所でもあります。
そうか、その手があったか。ということで早速行ってきました。ヴィンギエム寺。
ドンコイ通り周辺からだとタクシーで10分程、5~6万ドン程度です。
写真右側の、七重の塔が目印です。
ベトナムに来て最初に、「おっ、こういう東アジア風な建物もあるんだな」と思わせる佇まい。
入り口ではお供えの線香やハスの花を売っています。
しっかりセールスに来ますが、買わなくても問題はありません。信心次第です。
日本から鐘が寄贈されたことで有名なお寺でもあります。
中はこんな感じで、なかなか荘厳。本堂内に入る時は靴を脱ぎましょう。
そして、ちょうど大通りから見える、七重の塔の真下に仏具の売店があります。
静かで落ち着いた雰囲気の店。
買うならこれだ!あれはどうだ!みたいな商売っ気は全然ありません。
ま、お土産屋じゃなくて仏具屋ですしね。とにかく、店内へ突入。
店内では無数のCDが売ってます。これも気になる。
なんとなく修学旅行感の漂う、無数の数珠。
カラーバリエーション豊富な仏具の数々…。
さて、仏具関連は大体何でも売っている様ですが、お目当てのブッダマシーンが見当たらない…どういうことだ。時代の荒波には勝てず、取り扱いを中止したんでしょうか、と思ってガッカリしていた矢先。統一感のないお店正面のケースの裏側にふと目をやったところ…。
あっ…!
ありました!床に直置き!扱いが、雑!
僕がブッダマシーン会社の営業だったら、「こんな扱いするくらいだったらいっそ置かないでくれ」とか言い出すかも知れないレベルです。というか、いるのか、ブッダマシーン会社の営業。
そもそも売り物なのか、返品予定の不良品の山とかなんじゃなかろうか。
Máy Niệm Phật…間違いなく念仏機です。
かと思っていたら、紛らわしいサイズの他の箱も混ざって置かれていました。
これはブッダマシーンでは無いな…。
結果、3~4種類ほどあるみたいです。
しょうがないので、店員のおばちゃんに事前に用意していたセリフをぶつけてみます。
僕 「この店で一番良いブッダマシーンをくれ!」
おばちゃん「これよ(即答)」
そして出てきたものが、こちら。
溢れ出す高級感。何故なのか、ジャッキー・チェンの外箱。
ジャッキーが、ヒョイッて投げてよこしてる様に見えなくもない。
ちなみに漢字名が「成龍」のジャッキー・チェンは、ベトナム語ではThành Long(タイン・ロン)という呼ばれ、映画などではその表記がされることもあるそうです。なので、「日本語だとジャッキー・チェンは何て言うの?」ってベトナム人に聞かれたことがあるのですが、「ジャッキー・チェンはジャッキー・チェンだよ…」と、つまらない回答をして相手をガッカリさせてしまった記憶があります。僕は悪くない。
僕 「これいくら?」
おばちゃん「25万ドン(約1,375円)」
僕 「(前買ったのに比べると高っ!)」
と一瞬思ってしまった僕の顔を察したのか、
おばちゃん「だってあんた、これ147曲も入ってるのよ!凄いのよ」
それは果たして凄いのだろうか…全く基準が分からない……。
※ちなみに他の(まともに陳列されている)商品の多くは、ちゃんと値札が貼ってありました。
以前買った3曲入り3万ドンの方は1曲あたり55円なので、1曲あたり9.35円ということになります。
そう考えると、お得なのでしょうか。と、そんな計算方法がそもそも正しいのかどうかも分かりません。
まぁ、この辺りで、薄々感じていたのですけどね。
これ、ブッダマシーンじゃなくて、ただの「据置型mp3プレーヤー&念仏曲データ」じゃんって。
何であれ、自分の想像を超える、隠れ超機能があるかも知れない。
とりあえず購入してみることにしました、FMラジオも聞けるみたいだし…。
聴き比べをしたかったので、以前購入済みのものと同じ曲目の物も1つ購入してみます。
こちらは3万5千ドン(約193円)でした。
おばちゃんが電池を入れて動作確認をしてくれます、使用前の動作確認はベトナムでは普通です。
ちなみに、顔は撮らないでね恥ずかしいのよとのこと。
その割には人相の本(机の上)を読んでいたみたいですが…。
そんなこんなで、ヴィンギエム寺を後にします。大通り沿いなのでタクシーはすぐ捕まります。
週末でしたが、観光客は自分の他に欧米人が数名いる程度でした。
仏教関連の行事の日には混雑するらしいです。
まぁ、今後来ることはそうそうあるまい。
さて、店ですでに中身は見てしまっている訳ですが、帰宅後開封の儀を執り行います
ついでなので、冒頭に紹介した、過去に買った念仏機も並べてみる。
改めて脳裏をよぎる、「またしょうもないものを買ってしまった」感。
まずは高級品、「CRAVEN CR-82」から。
仕様の横にも同じ決めポーズでジャッキー・チェンが。
「Size:」が空欄なのはどういうことだ。
英語の説明書、USBケーブルと充電器、そして前述の曲目が入っています。多すぎ。
説明書の一番下部分は保証書になっていましたが、誰がどう保証してくれるというのかね。
それにしても、ストレージ規格のT-flashカードって何だ…。
と思ったのですが、ほぼイコールmicro SDのことなんですね。
2200mAhの太いリチウムイオン電池が一本入っています。
しかし、これを「built-in battery」と呼んでいいものか。
突然発火とかしないよう、仏陀に祈りたくなります。
うん、そうだね、高音質だね。
番号表示のところがゆらゆらして見えていますが、カメラとの相性なのかこれは動画のみの現象です。
肉眼だと普通に見えています。
さて、このままだと面白くもなんともないので、実はカード内の曲データをいじくったり公開したりして遊んでみよう!…と思っていたのですが、何かしらのプロテクトが掛かっているらしく、諸々と試してみたのですが、他の機器からでは読み取りが出来ませんでした。
知的財産の保護に対する、なかなかの意識。
CR-82、ただの据置プレーヤー&曲データなどではなかった。
ついでなので、開封から更に一歩すすんでみました。
子供の頃に言われた、「お守りの中を見てはいけない」というのがふと脳裏をよぎります。
中には仏様はいらっしゃいませんでした、それにしてもシンプルだな。
ヴィンギエム寺 Vinh Nghiem Pagoda
339 Nam Kỳ Khởi Nghĩa phường 7 Quận 3
ジャッキー・チェン公式Facebook
https://www.facebook.com/jackie
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一般のベトナム家庭ではどんな活躍をしているのか(そもそも一般的なのか)、良く分からないブッダマシーン。同じ大乗仏教信仰なのに、この日本との違いはなんなのか。
いや待てよ、中国や台湾にもあるということは、もしかすると東アジアの中ではブッダマシーンを使わない日本の方が変わっている方なのか…?夜更けにブッダマシーンのボリュームを小さくして聴いていると、そんな疑問が浮かんでは消え、浮かんでは消えていきます。
皆様も、ベトナムで見つけたらお土産に是非おひとつどうぞ。受け取った人の困惑する顔が楽しめます。
余談ですが、CR-82はラジオを聴くのに使っています。
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ところでパッケージのジャッキー・チェンの写真の知的財産は保護されているのか問いたい。
問い合わせ先すら、どこにも書いてないけれど。