カブトガニ、食べたことありますか?日本の地域によっては天然記念物にも指定されている彼、実はなんとベトナムで食べられるんですね~。果たしてその味は!?なお、種類によっては毒を持っているので気をつけましょう。食べたら本当に死んじゃいます。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2019/12/11
カブトガニ、食べたことありますか?日本の地域によっては天然記念物にも指定されている彼、実はなんとベトナムで食べられるんですね~。果たしてその味は!?なお、種類によっては毒を持っているので気をつけましょう。食べたら本当に死んじゃいます。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2019/12/11
本記事は、2015年11月3日に「ネタりか」(運営元:ヤフー株式会社)で公開された記事を転載したものです。 サービス終了に伴い、許可を得た上で、べとまるにて公開いたします。
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スマートフォンを使って、さまざまな実験を行うこの企画。第167回は、天然記念物・カブトガニのグルメレポートをお伝えします。
さかなクンのさかなレシピ: 日本一の魚通が教えるギョギョうまっ!なおかずたち
株式会社 主婦と生活社
486円
天然記念物、カブトガニは食べられる……!
いきなり人生に不要な情報をぶち込んでごめんなさい。
ベトナム在住ライターのネルソン水嶋です。
察しが付いていると思いますが、今持っているコレ、カブトガニです。
生で見たことはないけど、その姿は知っているという方も多いでしょう。
カブトガニといえば、あのさかなクンさんが中学時代に孵化(ふか)を成功させたことがあるそうです。人生で役に立つ情報か分かりませんが、彼のレシピ集は、もしかしたら役に立つかもしれません。
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さて、どう考えてもエイリアンの幼体にしか見えないカブトガニ。しかし結構スゴイヤツなんです。
実は2億年前から姿形を変えず、「生きた化石」とも呼ばれており、日本国内の特定の地域においては天然記念物として指定されています(佐賀県伊万里市、岡山県笠岡市、愛媛県西条市)。
つまり、日本国内では食べてはいけないんですよね、基本的には。
でも、外国(の一部地域)では普通に食べられているんです。
そこで今回は、そんな一部地域の、ベトナムのブンタウという港町にやって来ました。
目次
ここがカブトガニを扱っているレストラン。
シャコとか、
イセエビがいる中で、
異様な存在感を放つカブトガニがー!
むむ、何やら違和感が……。
曲がるんだ! カブトガニってこういうふうに曲がるんだ!?
可動域が安物のオモチャくらいだけど。
私「じゃ、調理してください」
店員「分かった」
バシャッ!
ビターン!
おぉ、そんな雑に扱わんでも……。
所変われば品変わる。日本では天然記念物でもここでは遠慮なしだ。
しかしたたきつけられても、なおかたくなに曲がろうとするカブトガニ。
なんだかけなげに見えてきた。情が移る前にもう考えない方がいいだろう。食べるし。
大きさはこんな感じ、カブトから尾の先までざっと40センチくらい。
想像していたよりは小ぶりです。
そして、裏側は……、
うわぁー怖い! 想像していたけど怖すぎる!!
顔面にベタッと張り付けて「エイリアンごっこ~」とかやってやろうと思っていましたが、実物を見た瞬間にそんなおふざけ心は消滅。
これは、張り付いたら最後、意思と体を乗っ取るタイプの敵だ。
いや、むしろエイリアンがカブトガニを参考にしてるよね? してるよねコレは。
ちなみに、無数のテナガエビもインパクトがありました。
調理方法は、火あぶりです。豪快なのね。
目線の高さに近づいたことで、カブトガニをよく観察できる。
とげとげしい尾。逆に指をなぞると血が噴きそうだ。
驚いたのが、ハッキリとした目があったということ。
カブトというものだから完全に覆われていると思っていたら、カブトの上に目があったのです。
なんだか、ドラクエの裏ボスのエスタークっぽい。
焼き場から逃げようとするカブトガニ。
それをつかまえて……ファイア!(ジュワアアアァァァ!!!!)
あぶられるカブトガニに複雑な表情を浮かべる友人たち。
しかし皮肉にも、辺り一帯には甲殻類のおいしそうな匂いが漂います。
10分後、こんがりと焼き上がりましたとさ。
シュールな食卓風景だ……。
私「で、これどうやって食べるの?」
店員「あ、ちょっと待ってね~」
へぇ、ハサミで……、
そうやって開くの!?
分かりますか? これ。
カブトの縁(フチ)を切り落としているんですよ。
つまり、袋とじと同じ構造。
カブトガニのカブトは縁を切り落とすと、表と裏の2枚の板に分かれる形になっているのです。
そうして開かれたカブトガニ(切ったカブトを裏返しています)。
すみません、全く食欲が湧かないです……。
とはいえ、食べないわけにもいかないし、何よりモノは試しだ。
絶滅危惧種に指定されたクロマグロもニホンウナギもおいしかったではないか……。
パクッ!
モグモグモグ……。
私「あれ……」
私「これはまさか……!」
私「ぜんっぜん、おいしくない……!!」
いや、むしろ、まずい! まずいというか、海の味しかしない! 海の幸とかそんなんじゃなくて、海水の味しかしない!
もうひとつ言えば、食べられる部分がほとんどありません。カブトの裏に張り付いた膜っぽい部分をこそいで食べるしかない。命を頂いておいて言いたくなかったけど、食べ物のうちに入るかどうかも微妙だぞ! コレ。
言っちゃわるいが、ブンタウに住む地元のみなさんは、どうしてこんなものを食べているのだろう。
これは聞いてみなければ分かりません。
トランプ遊びに夢中の店員さんをつかまえて、カブトガニについて聞いてみました。
・店員さんたちは週一で食べている。
・特別好きってわけでもない、漁でとれたときに食べているだけ。
・常にお店に置いているわけではない。注文があったら取り置きしておく。
・小さいもので500円くらい。大きいものだと1,700~2,200円くらい。
実はカブトガニを好んで食べているというよりは、ほかの漁でついでにとれるから食べているだけ、という超消極的な事情があったのです。
ただし、産卵期のメスだと卵を抱えており、食べ方としてはその卵を蒸したり炒めたりする方法が主流なので、その時期は例外なのかもしれません。
案内してくれた友人がたまたま笠岡市出身(冒頭で説明したカブトガニの繁殖地)だったのですが、彼の話では、天然記念物に指定される前、祖父の代にとってカブトガニは「漁の邪魔をするゴミのような存在」でしかなかったそうです。
それが、この街では、そんなにおいしくはないけど食べる。歴史が少し違っていれば、今の日本でも食卓に並んでいたかもしれませんね。
最後に、「おいしくないとは言うけれどそれでも一度食べてみたいな~」と思ったあなた。重要なことを書いておきます。
カブトガニは毒があり、最悪の場合は死にます。
良い子も良い大人もまねしないでください。
それでも食べたい場合は、安心安全なレストランで調理をしてもらいましょう。
生きてこの記事が書けて、本当に良かったと思います……。
撮影日:2015/10/3
※この記事はYahoo! スマホガイド内「スマホの川流れ」コーナーにて配信された記事を再掲したものです
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編集:ノオト