峠っていいですよね!
山と上と下とで、峠。しかし、日本国内には二箇所だけ平坦な峠もあるそうです嘘です。
ベトナム南北の境界線であり交通の難所、ハイヴァン峠。
ハイヴァン峠
という場所を聞いたことはあるでしょうか?
それはフエとダナンの間にある峠、高低差は496メートルとベトナム随一の高さを誇ります。その自然の壁によって北西から吹く風が遮られ、南北の気候に違いが生じるほどであり、2005年にハイヴァントンネルが開通するまではその曲がりくねる道が交通の難所として知られていました。
ベトナムに、特にダナンやフエに住んでいる方はご存知だと思いますが、「水曜どうでしょう」という北海道発の深夜番組の、カブでベトナムを縦断する企画でも登場したので、それで聞き覚えのある方も多いかもしれません。
今回、別のサイト(デイリーポータルZ)の取材で行ったホイアンの帰り、ベトナムにも住んでいたことのある友人と遭遇。「明日峠を越える」と聞き、同行させてもらうことになりました。本来の目的はハイヴァン峠を越えた先にあるのですが、それはまた記事の最後にて。
ほな、行くで~!※当たり前ですが、バイクで越えます。ちなみに二人乗り。
それにしても…。
ヤギが多い…。
これでいて、ハネられないのか気になります。
いや、もしかしたら、そこそこハネられているのかもしれない。
そばにいる子ヤギが異常に可愛らしい声で鳴いて来る。
子ヤギ 「メェ~(愚かな人間どもめ…)」
子ヤギ 「メェ~(ハイヴァン峠の供物となるがいい…)」
牛 「モォ~(悪いことは言わない…)」
牛 「神の聖域から立ち去れ、人間どもよ…(モォ~)」
ネルソン「おっ、応援してくれとるんやな~!」
友人 「さっき喋ってませんでした?」
美しいオーシャンビューを見ながらドライブ、ただし危険はいっぱい。
ハイヴァン峠を語る上で欠かせない点が、この先の見えないカーブです。
連れて行ってくれたベトナム人のフンさんいわく、「絶対真ん中は走らないで」だそう。
理由はもちろん、急に車が飛び出してくるから。こえ~よ。
それだけじゃありません、落石にも注意。左手の岩の高さで私三人分はありそうだ。
ハイヴァン峠は、常に視界の端で海が広がります。
視点が高くなればなるほど、美しい景色が広がっていくのです。
この通り!いいなぁ、ビーチ。
絶景ポイントの岩山、虹の輪を初めて見た。
峠を越えはじめて20分、絶景ポイントだという岩山で一休み。
両手を挙げている人は中国人(台湾人?)観光客、峠越えはアクティビティのひとつなんですね。
ロープを掴んで上ると…。
ヒャ~オ!!(美しすぎて言葉にならない)
でも、
実はめっちゃ危ないですからね、ココ。
三歩ほど歩いたら転げ落ち、確実にこの絶景に取り込まれることでしょう。
絶景と俺、浮かれすぎて普通の記念写真になっています。
右端の小川くん以外は、この昨晩に会ったばかりの友人たち。
みんな、私と10歳ほど違うけど。
本当に良いタイミングで会えました、ありがとうございます。
いい絵だな。
なお、この時に虹の輪が見えたので、見えやすいよういじった画像を掲載。
どうしても全体は収められなかったけど…どうですか、素晴らしき虹の輪!
を、撮る私。
さぁ、行こう!
バイクに乗っ…あちぃ!
バイクのシートがアッツアツだねワハハハハと、盛り上がる私達と中国人(台湾人?)観光客。
HSC(Hot Seat Communication)や)!うむ、二度と使うことはないだろう。
再出発!
ちなみに、ハネられ兼ねないので撮っていないだけで、さっきからトラックがガンガンと走っています。
ただ、思っていたよりも、どの車両も安全運転で走っている印象。
気候の良い日中だし、こちらも二人乗りということでかえって慎重に動けているのかもしれない。
通り抜けていく車両は、ほとんどがガソリンの補給車。ハイヴァン峠は南北をつなぐ唯二の輸送路なので、全ての車両はここを通ります(もうひとつは鉄道ね)。
なお、運ぶものはガソリンばかりでなく、ちょくちょく動物なんかを載せたトラックも通る。
水牛を載せて走る様には驚きましたが、アヒルを載せたトラックは強烈でした。
残る匂いと、何より走ったあとにしばらく宙を飛び交う羽が。
右へ左へと山道に沿う道路。まだまだ…あるなぁ。
踏み外したら死にます。
お、サービスエリアかな?
男性 「ヘイ!ヘイ!」
ネルソン「ん?」
男性店員「ビール飲んでけよ!」
ネルソン「運転真っ最中で言われたの初めてだよ」
フンさんの誘導により、ここでバイクを停める。
ネルソン「ここは…」
フンさん「頂上だよ」
ネルソン「あ、マジですか」
頂上に到着!絶景ポイントであり、ベトナムの戦いの歴史を今に伝える建物たち。
そこにはかなり古めかしい看板…。
そしてさらに高い位置には年季の入った建物が…。
と、思いだした!今の今まで忘れていた!
ハイヴァン峠は最も高い峠であると同時に、南北の境。
つまりは必然的に、ベトナムの歴史上、常に戦略上重要な拠点となっていたのだ。
ベトナム戦中は南ベトナム側(アメリカの支援側)の要塞があり、今でも建物が残されている。
現場では中国語と韓国語が飛び交っていた。
団体観光だから目立つというだけで、欧米人の観光客も見掛けます。
駐車場には観光用らしきバスが多く停まっていたので、バイクで峠を越えるまでもなく見られるだろう。
ダナンは日本において最近になって注目されてきたので、まだここはほとんど認知されていない。
地理的にも歴史的にも非常に価値の高い場所なので、もっと知られてほしいと思います。
とは言いつつ、私もベトナムに4年近く住んで初めて来たんだけど!
ネルソン「建物、コンクリート製とレンガ製があるけどこれは??」
フンさん「コンクリート製は戦中の要塞で、レンガ製は16世紀に王朝が建てた建物」
ネルソン「へぇ~、サラッと言ってるけど16世紀の建物ってすごすぎないですか…」
戦線にあったということは、
もちろん攻撃も受けていて生々しい銃痕も残っている。
見上げると、同行した友人の一人が見下していた。
なんだこの、謎の新キャラ登場感。
小型イナバ物置のCMみたいに観光客が乗っている要塞、あそこが最も景色の良い場所らしい。
ちなみに、小型イナバ物置というものはもちろんない。
ほぉー、なるほどなるほど…峠ですなコレは。
ここから先は下り坂なので、慎重にながらも上りに比べて一気に終了。
写真を撮りつつなので正確ではないけど、上り50分、下り30分、という程度でした。
地上に降り立つと、途中で通り抜けて行ったアヒルが車両ごと水洗いされていました。
走る養鶏場か…。
このあと、いよいよ目的の場所へ!
フンさんの地元にある、天然のプールだそうです!
あまりに魅力的に語るものだから、デスクワークを投げ出して同行したのさ!
想像以上の天然っぷりでした、お楽しみに~。