中華街っていいですよね!
日本国内の有名な中華街といえば、横浜・神戸・長崎などが思い浮かびますが、ほかにも戦前は大阪・仙台・札幌にもあったそうです完全に嘘です。
チョロンのビンタイ市場が閉鎖します!
ベトナム・ホーチミン市にある中華街といえば、チョロン。直訳すると「Cho(市場)」と「Lon(大きい)」で「大きな市場」という意味ですが、現在の5区と6区にまたがる中華街周辺を表すエリアの呼び名を指します。ホーチミン市の旧名はサイゴンとして知られていますが、厳密にはチョロン地区とサイゴン地区の統合により現在のホーチミン市になったとのこと。そんなチョロンを代表する場所が…
ビンタイ市場!
1928年に建設された市内最大の卸売市場で、観光スポットとしても有名。
市場内を忙しなく荷物や台車が行き交う様子は、一端ながらもこの街の経済都市ぶりを感じさせます。
以前にも、市内の代表的な市場を取り上げた際にもちょこっと登場しました。
さて、そんなビンタイ市場が…なんと…なんと!
閉鎖してしまうことになりました…!!
というと語弊がありますが、全面改修のため今月15日から一年間閉鎖するとのことです。
詳しくはこちらのベトジョーの記事をご覧ください。
悲しみに暮れるのは記事の最後にでもするとして、今回はその最後の見納めにやって来た訳ですね。
改めまして、ビンタイ市場~。
の、一部!
裏手(南側)から回り込んでいます。というのも、正面に当たる広い道路にはすでに工事中の仮設の市場と思われるプレハブが建てられており、一方通行になっていて回り込まざるを得なかったのです。
こいつがもう、先端が見えないほど一直線に延々と続いておりまして、ベンタイン市場に入っている商店の多さ、ひいてはその巨大さがうかがえます。
危ないのでサイドミラー越しで撮りましたが、こちらの方が延々感が伝わるかも。
市場の周辺(というよりここも市場ですが)は、ゴミが散乱していたりお世辞にもキレイとは言えません。
タオルを売っているそばで干物を干していたりなど…。
ただ、それらの景観こそが、「チョロンに来た~!」と感じるんですよね。
その一方で、市場の後方には建設中の高層ビルが。オフィスかコンドミニアムか分かりませんが、トタン屋根の商店と高層ビルが同居する絵が見られる時代も、今だけなのかもしれません。少なくともこの場所に関しては、新しいビンタイ市場の誕生とともに見られなくなるのではないでしょうか。
ぐるりと周ってやっとこさ正面玄関に。
入ってすぐの階段とエスカレーター、かつては威風堂々たる景観だったんだろうな~と思うのですが…
エスカレーター、止まっているどころか、めっちゃホコリ被ってます。
そもそも消化器の置き場になってしまっている。一体いつ頃からこのままなんだろう、とはいえこの随所随所に「止まった時間」を感じるところこそが、ビンタイ市場をビンタイ市場たらしめている魅力なのだと私は思います。さっきから落として上げてる感じですが、最初から上げてるつもりです。
業者「どいたどいた!」
私 「おーすません!」
こうしてひっきりなしに台車が行き交う。
あまり気は遣ってくれないので上手に避けましょう。
さて、そんな市場の内観は、
内観はー、
内観…
とても紹介しきれません。
前述した通り、あまりにも広すぎる。ネットのどこかで「ベンタイン市場と同じくらい」という記述を見かけたのですが、2階建てとその入り組みっぷりから、感覚では3倍程度に感じます。見事にダンジョンなのでぜひ直接見に来てください…とはもはや言えなくなってしまったことが辛いのですが、リニューアル後には一体どうなるのか気になるところですね。
そんな訳で、せめてその雰囲気だけでも伝えたいと思いパノラマ写真を撮ってみました。
マウス(スマホならタッチ)でグリグリ動かすやつです、ここに来た当初の最大の目的はこれだったのだ。
真下の私は気にしないでください、しょうがないのです。
動画で。雑踏や金槌で何かを叩く音が入っているのですが、場の雰囲気を伝える上で重要ですね。
うむ…
やっぱりあれだな、写真映えする場所だ…。
この商店が横並びになっている様なんて、ほんとー。
ん?
待って!?
フォントかっこよすぎね!!?
ビンタイ市場のイカス看板フォント・勝手にランキング~!
経緯を説明したかったので前置きがかなり長くなってしまいましたが、ここからが本題。
ビンタイ市場をパノラマカメラで撮ろう!と思って来た訳ですが、フレームに入った看板に使われているフォントがカッコイイ(主観ですけども)。そうか、何しろここは建設から90年近くも経つ市場。看板そのものも同じくらいとまでは思わないが、相当な年代物だと考えると珍しくも見える訳だ。
思えば私、こういった昔の看板フォントには以前から興味がありました。ホーチミン市在住者の方なら必ず一度は通っているであろうお土産屋やブランドショップの集うドンコイ通り、そこにある看板を以前からすごいカッコイイと思っていたんですね。
特撮っぽいスピード感が素敵!世代的に仮面ライダーRXを思い出す。
ビンタイ市場がそんな素敵看板の宝庫だったとは…。これまで何度か来ていたけど、圧倒的な品数の商品に気圧されて、頭上の看板には目が行っていなかったのか。それをカメラを向けてやっと気付いた、と。
単にビンタイ市場を撮るだけというのもなんだかな~と思っていたので、ここで看板フォントのカッコよさを独断と偏見でランキングにしたいと思います。そもそも、リニューアルとともに、高い確率でこの看板フォントも無くなってしまいますからね…。案外、今私が思っている以上に意義はあるのかもしれません。
ではでは、ビンタイ市場のイカス看板フォント・勝手にランキング~!
10位・オーソドックスな3Dタイプ
市場内の看板フォントの特徴として、ちょっと浮き出した3D型が多いようです。今街中で見かけるフォントはベタ描きがほとんどなんですよね、装飾としてはこちらの方が贅沢な気がする。
それでいて年季を感じ、新しいような、古いような、そんなミスマッチ感が私は好きです。
9位・声調や線に遊びを感じるタイプ
ベトナム語はアルファベットを基本として、そこに声調が加わる訳ですが、それすらもデザインのアクセントに変えているタイプです。声調ではないものの、Aの横軸の遊び方がおもしろいですよね。これもまた3Dタイプであり、陰をあえてのピンクと目立ちやすい色味にしているところもグッド。
8位・二重3D×単語の間に星を挟んだタイプ
これもまた3Dタイプなのですが、よく見てください、陰にまた陰を入れているのです。
それでいて単語の間に星(風車?)を挟み、高級感を演出しています。
7位・声調を王冠にしちゃったタイプ
基本的にはこれといった特徴がないのですが、ただ一点…声調を王冠にしちゃった!この遊び心だけでかなりいい。下の手書き風フォント(というか手書きなのですが)も味が出ていてポイントが高いです。
6位・ジャングルタイプ
たぶんこれを見て「ジャングルっぽい」と思う人もいないと思うのですが、名付けに困ってそう命名。
数少ないタイプでした、何気にさきほどの王冠よりもこちらの方がゴージャスですね。
5位・経年劣化がかえって味になったタイプ
これはペンキが所々剥がれて101匹ワンちゃん(ダルメシアン)っぽくなっています。それがなければ普通にカッコイイねという感じなのですが、偶然も重なって独特なデザインに。痺れます。
4位・トメハネのある書道風タイプ
色味は至って普通なのですが、先端の払い方がおもしろい。
尖っているようで丸っこい、ちょっと不思議なデザインです。
3位・両脇に漢字を配置した筆記体風タイプ
これまでは「ブロック!」という印象が多かったのですが、ここに来ていきなり筆記体風。
字と陰の色味が赤と緑とまるで違うものの、不思議と馴染んでいます。
中華街なのにここではじめて漢字が出てきたということも意外です、「炎」ってそれだけでカッコイイな。
2位・グラデーションを入れたスピード感溢れるタイプ
これはランキング前に紹介したドンコイ通りの看板にちょっぴり似てますね、スピード感があります。それだけでなく、3Dの陰の部分が幅広に取られており、その中でもまたグラデーションで陰影を付けている。
左の番地にもさり気なく縁取りしている気配りがニクイ。
1位・漢字を目立たせつつ、ハッキリと縁取りしたタイプ
一位は、やはり中華街らしく大きく漢字を使ったものに惹かれました。
おまけとしてではなく、ベトナム語と漢字の組み合わせでまとまったひとつという印象です。
淡いピンクと青という色味の良さもさることながら(元々はもっと濃いのかもしれませんが)、ハッキリと黒く縁取りしているというところも好みです。三年ほど前からウェブデザインにおいて流行&定着した、フラットデザインのような現代らしさも感じます。まぁ、この看板はそのはるか前から存在するのですが。
以上!独断と偏見で決める、イカス看板フォント・勝手にランキング!でした~。
趣味丸出しなので、感性に対する反論は受け入れます(でも傷つくのでご自宅のトイレで言ってください)。
リニューアル後はこれらの看板はどうなるんでしょうか。取り外して保存する手間を考えると大半が捨てられるのかなと思いますが、こういった過去のデザインは貴重な歴史的資料になると思うんですよねぇ…。
取り壊しといえば、ベンタイン市場の南にあるラウンドアバウトも、地下鉄工事のため無くなるとのこと。
中央にある銅像もすでに撤去されていました、というより二年前には撤去されていたようです。
全然気づかんかった。
ベンタイン市場の真正面にあったこともあり、多くの観光客に道路横断を強いる試練だったでしょう。
もしかしたら便利になるのかもしれませんが、アクティビティとして独特だったので複雑な思いです。
街の景色は次々と変わっていきますね。
この10年は街並みの過渡期なのかもしれません。
いつかは無くなるこの景色、記念に置いておきます。