自転車でベトナムを縦断するというだけでも大変ですが、競争するって人並みの精神力だと務まらないですよね。ちなみにホーチミンではレース自転車乗りをよく見掛けます、確かにこの街では理に適ったスポーツかも。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2013/05/02
自転車でベトナムを縦断するというだけでも大変ですが、競争するって人並みの精神力だと務まらないですよね。ちなみにホーチミンではレース自転車乗りをよく見掛けます、確かにこの街では理に適ったスポーツかも。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2013/05/02
自転車っていいですよね!
日本人の自転車に乗れる人の数は、実は世界で最も多い割合なんだそうです嘘です。
4月30日はベトナム人の誰もが知っている、南ベトナム解放民族戦線によりサイゴンが解放された記念日です。日本では、「サイゴン陥落」という言葉で習った方が多いかと思われます。
ベトナムでは、1988年から今年に至るまで25年間ずっと、その解放を記念するハノイ~サイゴンの自転車縦断レースが開催されています。
ゴールはサイゴン解放の舞台、統一会堂。
そして、ゴールの時間は解放の瞬間に11時半に設定されているのです。
ベトナム国民にとってもお馴染みのイベントらしく、テレビの生中継も入ってみんなが楽しみにしているんだとか。日本で言うところの箱根駅伝に近いものがあるのかも知れませんね。
今回、ベトナム人の友人から情報を教えて貰い、そのゴールの瞬間をカメラに収めようと取材へ赴きました。
今の季節はベトナムでも一年を通して最も暑い季節。
カンカン照りの太陽の下、汗を拭いながら歩きます。
ちなみに奥に見える教会は観光スポットとしても有名なサイゴン大聖堂。
こちらが、情報提供と通訳を名乗り出てくれたTran(チャン)さんです。
ネルソン「今日はよろしく!」
Tranさん「宜しくお願いします。」
この時は9時半、選手達がゴールするであろう11時半まで2時間もあります。
ここが熱戦の舞台となるゴール・アーチ。
既に場所取りをしている人もちらほら見られます。
この様子はベトナム全土に生中継されるため、
この様に、放送用の機材も完備されています。
他にもセキュリティ対策まで万全で、
公安(警察)!
軍人!
ベトナムに一年半いますけど、軍人を見たのは初めてです。
それだけベトナムという国の威信を掛けたイベントなのでしょう。
そして何故か、
チアガールまで!?います。
今日の俺は一味違うぜ!何たって通訳がいるんだからね!
という訳で質問してみました。
ネルソン「君達は、大学のサークル?」
チア 「はい、国際大学のサークルです。」
ネルソン「今日は自主的にやってるの?」
チア 「いえ、このスポンサーから依頼を受けてやっています。」
ほう…確かに、胸元には「VITAMIN」というそれらしいロゴがある。
それにしても、右から二番目の子には申し訳無いシャッターの切り方をしてしまった。
統一会堂の前は芝生が広がっていて、普段は朝昼夜と特に若い人達の憩いの場となっています。
ゴール・アーチの付近にはこれでもかというくらいの見物客が集まっています。
38年…ベトナム戦争が集結して38年なんですね、自分の親が十分知っている時代なんだと思うとつい最近のことの様に感じられます。
親子連れも見掛けたので声を掛けてみた。
ネルソン「毎年来てるの?」
角刈り 「来てるよー」
お母さん「私の亭主がね、このレースのレフリーやってんのよ。一番上の子が8歳なんだけど、生まれてからずっと来てるんだわ。」
ネルソン「へーー。」
ネルソン「じゃあ君も将来はレフリーやりたい?」
角刈り 「んな訳ねーじゃん、歌手一択っしょ。」
ネルソン「歌、上手いの?」
角刈り 「練習したら上手くなるっしょ。」
そっか。(もういいや)
しかし、まだ時間はあるというのに、みんなしてこぞって同じ方向を向いている。
ん…!
日本語…?
雑踏で分からなかったが、よくよく耳を澄ましてみれば大音量で日本語が流れている。
Tranさん「あれは、日本の番組ですよ。」
ネルソン「ホントだ…ナレーションの声といい明らかに昭和のNHKだ。」
Tranさん「ベトナム戦争の時、ベトナムのテレビ局は停まっていましたから。」
ネルソン「これってもしかして毎年流してるの?」
Tranさん「はい。」
ネルソン「なんと…」
右上には「HTV」とベトナムの大手テレビ局のロゴがあるので番組自体は買われたものでしょうが、まさかここベトナムで毎年、かつて日本で制作されたテレビ番組が放送されていたとは少し驚きです。
それにしても、
人!
人々!
人々ビッ(噛んだ)!
群衆 「ワー!キャー!!」
何だ、騒がしいな。
えーーー!?
スポンサーが提供している、巨大ペットボトルの風船が萎んで倒れてきた!
よく見ると向こうでも…何で同タイミングで倒れんねん!
うーん、いよいよベトナムらしくカオス感が出てきたな。
????「コンニチハ!」
ネルソン「!?」
声に反応して振り向くと、ガタイの良いベトナム人青年が話し掛けて来た。
????「ワタシ、ニッコーホテルデ、ハタライテイタヨー。ニホンジンオンナスキ!」
ネルソン「女じゃなくて女性って言いなさい。」
??? 「ニホンジン!ジョセイ!スキ!」
Tranさんも交えつつ話すと、通りがかった時に日本語が聴こえて来たから僕らに話し掛けてきたらしい。
????「ワタシ、ニホンゴノナマエ、モッテルヨー。」
ネルソン「な、何??」
????「ゴォ、ウゥ、ダァ、タァ、ケェ、シィ。」
ネルソン「剛田武…ジャ、ジャイアン??」
剛田武 「ソウ!HAHA!ドラエモンダヨ!」
このあと、行き掛かりで剛田武も一緒に行動することに。
途中、ビア・サイゴン・ガールが通りがかったので撮影。
剛田武 「カワイイネー、マンナカノオンナカワイイネー。」
ネルソン「女じゃなくて女性って言いなさい。」
剛田武 「マンナカノジョセイカワイイネー。」
ネルソン「こいつエロいな…」
いよいよ選手達がゴールに近付いてきたらしく、生中継も始まりました。
一枚の中にテレビ画面とレポーターさんが収まっていますね。
さて…いよいよゴールの瞬間が近付いてきたというところ。
正直、もうこの周辺はほぼローカルのみなさんしか見当たりません。
私もTranさんから話を聞かされなければ分からなかったし、このイベント自体を知らない外国人も結構多いのではないかしら。
道を通ろうとして初めて何かしらのイベントをやっていることを知る、みたいな。
上のものは腕を掲げて撮っている画像ですが、
もう360度、
人、人、人…って、
これはさっき倒れていたペットボトルです…はよ直せや!
パタパタパタ…
ん!何あれ!?
UFO(未確認飛行物体)!?
いえ、違う、あれは最近、Webで見た覚えが…そうだ!
ちょっと前にSONYが軍艦島を空撮した時に使った、マルチコプターっちゅーラジコンカメラマンやないか!
こんなものまで導入するとは…ベトナムのテレビ局も侮り難し。
と、そうこうしている内に、
群衆 「キャーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
ネルソン「おっ、おっ…おっ……!?」
Tranさん「来ました!」
来た!
遂に来た!
でも……遠!!
一着が決まり、そしてそのあと…。
大群だー!!
シャー!!
シャーー!!!
ネルソン「…」
Tranさん「…」
ネルソン「……」
Tranさん「……」
ネルソン「………」
Tranさん「………」
ネルソン「あ、そういえば、選手って何人いるの?」
Tranさん「60人くらいだと思います。」
ネルソン「あ、じゃあ、もしかしてもう終わった?」
Tranさん「はい、多分。」
後ろを振り返ると颯爽と帰ろうとする見物客達。
以前のサッカーでもそうだったけど、相変わらず、彼らの余韻という概念の無さがすごい!
こりゃ、映画とか見たらエンドロール入った辺りで即立って即帰ってるだろう。
その後は何か歌が上手い人が歌ってました。(遠い)
SMAPっぽい人達も歌ってました。(遠い)
そしてまたお前か。
こっち見んなよ。
イベント事の終わりがよく見えないのがベトナム!?…なのかどうかは定かでは分かりませんが、これで以上です。この日は夜にも花火があったり、またその翌日(これ書いている今ですが)も街に人気は無かったりします。
日本に比べて数少ないベトナムの休日、みんな、実家に帰ったり、基本的に家族で過ごすんですね。
個人的にはそろそろレトルト食品から間を空けたいので、今日こそは常連の近所の飯屋が開いていることを願っております。
あ、そういえば、剛田武は知らない内に消えてました。