ベトナムにすごいVIPバスがあると知り、乗ってきました。寝台バスは有名だけど、あれが寝袋ならこれはカプセルホテルや!ホーチミン市→ニャチャンまでたった2000円以下でこれ乗れるコスパもすごい。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2019/01/06
ベトナムにすごいVIPバスがあると知り、乗ってきました。寝台バスは有名だけど、あれが寝袋ならこれはカプセルホテルや!ホーチミン市→ニャチャンまでたった2000円以下でこれ乗れるコスパもすごい。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2019/01/06
目次
君は長距離バスに乗ったことはあるか!?ベトナムの、だ!
寝台バス、なんだか日本でも聞き慣れているようで聞いたことがないこの言葉。そりゃもちろん、日本では道交法上、運転中にベッドを使用してはならないから…だそうです。単純に、存在する訳がないよね。
でもベトナムでは、ご覧の通り、横3列縦2列(!)の寝台バスが存在しています。
存在というより、路線バスやちょっとした郊外への観光バスを除いて、この寝台バスが主流なのではないでしょうか。寝れるから楽!という評判も聞きますが、そのたびにいつも私は思います。それはあなたがラッキーだっただけなんじゃ…。
なぜならば!寝台バス被害者の会では、「後ろの乗客の足が顔の横に」「隣の乗客がゲ●を吐いて気分が悪くなった」「頭上にスピーカーがあってうるさくて寝れない」などの報告が毎年の様に挙がってきています。しかし、この会は架空です。すみません。ちょっと嘘。でも、そうしたケースがあるのはほんとだよ。ふたつめとみっつめに関してはそもそも俺の体験談だし。
まぁ、それを抜きにしても、ベトナムに限らず、異国のサービスエリアって得も言えぬ魅力があって大好きです。いやもうこれ、魅力というより魔力かもしれん。「気づいたら置いて行かれないか」とヒヤヒヤハラハラしながら食べるフォーの味は、スリルがあって格別です。思いきりインスタント味だけどな。
富士山の山小屋で食べるバカ高い味噌汁がめちゃくちゃ美味いことと理屈はいっしょですよね。例えに出すには極端すぎたか。脱線しちゃってすみません、ひさしぶりのべとまる更新がうれしくて…。
では、本題だー!!(X JAPANの「紅だー!!」のイントネーションで)
今回はそんな寝台バス…ではあるのですが、前述のものではないんです。すごいバスがあるんです。だれか早く言ってよ、こんなものがあっただなんて…。それが、
こちらー!
って、これじゃよく分かんないですよね。
いくぜー!!
どん!
どん!!
どどーん!!!
ねぇ、すごくない?すごくないですかこれ?
具体的には、広くないですか?バスよ?
伝わります?伝わってます??うざいです?太字。
うざいよね!ごめんね、アタイ!それでもアンタのこと…!諦めきれない…!!
はい、完全個室だよ。
寝台バスを私は心の中で「ドミトリーバス」、いやもっと言えば「寝袋バス」って呼んでるんですけど、だったらこっちは「カプセルホテルバス」と呼ぶに相応しい。なんなら、下手なカプセルホテルよりも広いからね。どうでもいいけど、ちょっとふざけたあとに顔出しすると恥ずかさが3倍増しですね。
英語で「vietnam luxury bus vip」などと調べれば出てくるこのバス、ベトナム全国各地を走り回っているのだとか。その存在を知り、ホーチミン市からニャチャンへ行く用事があったので、どこや~ないか~あるか~と探していたら、ベトナム大ベテラン在住者の方から教えてもらい、こうして乗り込んだ次第です。その節はSWさん、ありがとうございました。SWだからといってスターウォーズさんではありません。そんなニックネームならスターウォーズさんって最初から書くわ。
それでは。この設備をじ~~~っくりと!紹介する前に、チケットの購入方法などについて軽くお話しておきます。いつもだったら「しゃらくせぇ!てめぇで調べなこのスットコドッコイシリーズ!」と言うところなんですが、私は江戸っ子でもないし、なにより自分が教えてもらった手前で共有しないというのも良くない。この世の中、ペイフォワードで回ってるからね…映画見たことないけど…。
ちなみに、「スットコドッコイシリーズ」ってGoogle日本語の検索候補に出てきたからそのまま入力したんですが、これなに?
「ベトナムのバスってどうやってチケット買うの?」はベトナムの生活環境に慣れてきた在住者あるある的な質問だと思います。ベトナム人の友人たちなんかは電話でリンリンと予約しちゃっているようなのですが、このバスを予約するに当たって利用したVeXeReというバス予約サイトが便利でした。このデジタル社会で、予約確認メールに「このメールを印刷して持って来い」と明記しているあたりが手間ですが。予約サイト側の配慮なだけで、なくてもなんとか融通利かせてくれると思うけどね。日本でもよくある「予約の際に『●●で見た』とお伝えいただくとスムーズです」みたいな。あれ、今もそうなの?
トップページから「出発地」「目的地」「日付」を指定して検索すれば、こんな感じで一覧が出てきます。お目当てのVIPバスがあれば、「VP」とか、あと席数が少なかったり、やけに価格が高いのですぐに分かるはず。サイゴンからニャチャン行きのVIPバスに関しては、「Phuc An Express」という会社が運行しています。あとで書きますが、私が利用した二ヶ月前より少し値上がりしたみたいですね。
運用している会社はまばらなので、乗りたい路線にあるかどうかは実際に検索して調べてみてください。ほかに良い方法はありそうだけど、てめぇで調べなこのスットコドッコイシリーズ~!(気に入った)
予約確認メールに添付されるPDFは、こんな感じです。
なお、このサイトは今回の高級バス以外もぜんぜんカヴァーしている、というよりベトナム全国のバスならだいたい網羅しているようなので、覚えておくと便利です。というよりみんな知ってた?黙ってた?俺はじめて使ったから便利っぷりにこら驚いた。言語は英語に切り替えられるし、クレジット決済もできるのでそうそう困ることはないでしょう。使い方は簡単(まともなUI)なので説明しません。これでも分からないというような人が、弊サイトのお問い合わせから「今日のベトナムの天気を教えてください」とか聞いてくるからね。いや、ググれ!この世のすべてをそこに置いてきた!(俺じゃない人が)
ホーチミン市のバスのオフィスはこちら~、
みんな知ってるファングーラオ(Pham Ngu Lao)!に、あります。
ニャチャンへの宅配荷物でしょうか、積まれた段ボールといっしょにバスの到着を待ちます。
主要なバスターミナルといえばミエンドンバスターミナル(Ben Xe Mien Dong)が挙げられますが、外国人にも人気の高い観光都市へはこのファングーラオからもよく出ています。最近ますますバックパッカー街ぶりが増してきて、クラブ・ミュージックがズンドコドコドコメラッサメラッサうるさいですが。氷川きよしか、お前は。楽しんごか、お前は。南国少年パプワ(略)
車体にデカデカと「LUXURY」と書いてあると悪い意味で「いかにも」ですが、このバスはガチ!
なお、ほかの乗客はザ・ティーンズという感じ。いちおう言っておくと、バンド名とかじゃない。10代の若者ばかりでした。ニャチャンくらいの距離感(片道9時間程度)だと友達同士の旅行にちょうど良いのかもしれません。バスでは行けませんが、日本でいうところの沖縄に行く感覚かね。
今思えば意外だったのが、ファングーラオ発の観光バスには決まって外国人の乗客がいるのですが、今回なんと私ひとりだったということ。超さみしい。なにか驚くことがあったら、ひとりだけ「チョイオイ」(※)が出遅れそうだ。※ベトナム人が弾みでよく言うオーマイゴッド的な言葉
なお、あえて引っ張ったんですが、このバス…おいくらだと思います?
なんと…通常の倍!!
なんて聞くと高い!と反射的に感じるかもしれませんが、(この会社に関しては)そもそもニャチャンまでの通常のバスが19万ドン、執筆時現在のレートで900円いかないくらいなんで、38万ドン…1800円いかないくらい!ということです。長時間乗ることをコスパに勘定するかどうかは人次第ですが、9時間乗りっぱで2000円切るって改めて考えてすごいですよね。まぁ、でも、さっきちょろっと触れたけど、これは予約した11/16時点の話で、今見ると20万ドン/40万ドンになってました。それでも安いけどね。
で、す、が~!その価値は結局のところ、「乗り心地がいかなるものか」という点に限ります。
ではいってみましょう~~。
いやー改めて、広いね。
室内…いや、もとい、席を見渡すと、
水とおしぼり、
あと枕と毛布を発見。
まぁ、これは冒頭の寝台バスでも付いて来る。ベトナムのバスなら割りと標準装備。
カーテンもロールスクリーンで、ちょっとリッチ。
それよりさっきから気になっているものは…
お前だよ!!
こうしてスイッチが並んでいるととりあえず押したくなる、なぜなら紳士(男子)でありますからな。
あそ~れ、ポチッと!ポチッと!!ポチポチッとな~!!!
光った!
また光った!!
テレビが点いた!!!
なんか、もう…!感無量です…!!
この一坪に満たない、いや下手したら、一畳もないスペースに経済的繁栄を感じます。電気ってすごい。エジソンはえらい人。テスラのことはよく知らない。
「照明とテレビがあるだけじゃん」と言われたら、まーそうなんですがね!
でも、思わず、人ひとりのために一体何個スイッチ使ってんだよ!お前大丈夫か!?と言いたくなる。そうして戸惑いながらもその優しさにほだされて、「ア…アッシのような下衆に対して…なぜここまでしてくれるんですかぁ~~!?うおぉいうおぉい!!(泣き声)」と、人間にはじめて優しくされた怪物を演じてしまうのです。でも、チカチカうるさいので早々に消しました。必要ないよ。ここまで。
後方角にも。しかも4段階。分かりづらいけどちゃんと4段階です。
なにこの、照明への情熱!?やっぱり照明=経済的繁栄なの!?19世紀の価値観!?
というよりも、まずはですよ。お気づきでしたか?スイッチ盤に、USBポートが二口も付いてんの。これ感動っしょ。だってふつうの寝台バスにはそんなものないんだぜ?知らない場所に行く外国人観光客にとっては、「充電切れの心配がない」というだけで1000円多めに払う理由があるのではないでしょうか。
回し者とかじゃなくて。これマジで。
…あ、「二口(ふたくち)」だからね。「ニロ(にろ)」じゃなくて。
きちんと各部屋にエアコンもついてます、しかも送風口がふたつ。やだ~!USBポートとお揃い~!かわいい~!、とまでは思っていませんが。送風口、これが固まっていたり、あるいは針金で固定されて触れずにめちゃくちゃ寒い/暑いというのもベトナムバスあるあるですが、ご安心ください。動きました。
さらにさらにー!
パカッ!
…?
よく分からないスペースもあって、乗客を飽きさせません。
寝台バスと言いながら、なんだかんだで後ろによく倒れるイスってだけなんじゃないの?という疑問もあるでしょう。が、ご安心ください!(二回目)
このイスの右脇にあるレバーを引っ張ると、
こいつが倒れて、
視界はこんな感じに。はい、完全に寝転がってますね。それにしてもあれだな、我ながら、文体と真顔のギャップがすごい。まー、バスでずっとニヤニヤしてたら気持ち悪いでしょ。そこは分かって。
なお、移動中の車内はどことなく「誘惑/GLAY」のMVを思わせる色になっております。
参考。
トイレもついてますよ!
堂々とした洗剤類から家っぽさ全開ですが、備え付けトイレにしては最上級の清潔度でしょう。
そんなこんなで、終始なにかあるたびに写真を撮ってたので個人的にはあまり寝れなかったのですが、寝台バスとしてはまさにこれ以上のものはないんじゃないかと思います。かつて日本で片道2万円する高級バスに乗ったことがあるのですが(エキサイトで書いた記事)、180度に寝転べる分だけあれより寝れる。高級感はさすがに2万円の方が圧倒的に軍配が上がるけどね。よく考えたら価格差10倍やん…。
という訳で、
予定の7時から1時間半も繰り上げて朝5時半にニャチャンへ到着。いやいや、逆にやめて。困るから。
ニャチャンの様子もそのうち書きます。今、おそろしく記事ネタ(取材してきた写真)が溜まっているのでいつ書けるか分からんけど…3月頃には落ち着いて書けるはず。先だな~ちくしょ~すんません。
到着早々に仰天した、路上で雑に魚を売るおじさん(しかも海の街なのに「川魚」という)。