ドリアン食べたことありますか?臭い臭いと言われていますが、実際独特な匂いはします。だけど王様と呼ばれるだけあって美味しいんですよ!そこで今回はあえていろんな調理法を試して、その匂いを抑えつつさらに美味しく食べられる可能性を探りました。いざドリアンクッキング~!
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2019/12/13
ドリアン食べたことありますか?臭い臭いと言われていますが、実際独特な匂いはします。だけど王様と呼ばれるだけあって美味しいんですよ!そこで今回はあえていろんな調理法を試して、その匂いを抑えつつさらに美味しく食べられる可能性を探りました。いざドリアンクッキング~!
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2019/12/13
本記事は、2016年11月3日に「ネタりか」(運営元:ヤフー株式会社)で公開された記事を転載したものです。 サービス終了に伴い、許可を得た上で、べとまるにて公開いたします。
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ドリアンを食べたことはありますか?
「果物の王様」とも称されるドリアンは、トゲトゲの付いた皮に、デロッとした黄色い果実が特徴的。日本ではなかなかお目にかかれませんが、東南アジアをはじめとした暑い国では定番の高級フルーツです。
そんなドリアンは、みなさんご存じのとおり「臭い」というイメージがありますよね。
でも、実際に匂いを嗅いだことがある人ってどのくらいいるの!? 人から聞いた情報だけで「臭い」って決めつけてない? 私? もちろん食べましたよ! あーもう……臭かった!!
臭かったんです。
写真はある撮影でドリアンの皮をバスタブにため込んだときのものですが、このあと2週間は匂いが取れませんでした。例えるなら、腐ったバナナとシンナーを混ぜた匂い(実際に混ぜたことはありません)。あと、地縛霊のごとく匂いがとどまります。
しかし、よくいわれる「生ゴミみたいな匂い」はちょっと言い過ぎだと思っているし、王様といわれるだけあって、おいしいといえば、おいしいんですよ。
そこで今日は、そんなドリアンのマイナスイメージの払拭を目指し、5つの調理方法によってドリアンの新たな魅力を探し出したいと思います! 「そもそもドリアンが手に入らねーよ」という意見は、あえて、聞かない!
【ドリアンの5つの調理方法】
1. ミルク煮
2. フリッター(揚げる)
3. フローズン(凍らせる)
4. フランベ(焼きながら洋酒で香りづけ)
5. レンチン(電子レンジで温める)
というわけで、ドリアンを買ってきました。冷蔵庫に半日置いただけで、なぜか水滴がビタビタです。
あまり知られていない中身はこんな感じ。ぶっちゃけ見た目はオシャレな排泄物です。
記念に、ドリアンの凶々しい皮ももらってきました(このあと、特に出番はありません)。
目次
5つの調理方法といっても、比較基準がなければ始まりません。
まずは何も手を加えない状態のドリアンを食べてみましょう。一緒に試食してくれる友人を呼びました。
文字通り、ドリアンを囲む会。
写真からネチョッという音が聞こえてきそうです。
友人「匂いますね……」
メンバーで唯一、ドリアン初挑戦の友人。露骨な表情を浮かべています。
友人「あーでも……味は思ってたほど悪くない!」
友人「くさっ」
友人「うん、味はいいよ、味は」
左の私(ネルソン水嶋)と、残る2人も全然問題なし。
調理なしのドリアンでOKとなると、企画的には非常に困るんですが、それならそれで、ドリアンのポテンシャルを今以上に引き出すメニューを目指しましょう!
最初はミルク煮、多少砂糖は入れますが、ほぼそのまま煮るだけです。
10分後、ミルク全体にとろみが出てきました。
友人「ん! かぼちゃスープの香りがする!」
固い繊維質だけ残して、ほとんどミルクに溶け込みました。
食べてみましょう!
友人「うん?」
友人「うん……」
友人「うん?」
友人「うん……」
私「味覚が迷子になってる」
友人「おいしいです! なんか、病院食にありそう」
私「それってポジティブな感想なの?(笑)」
友人「ポジティブです!」
その他のメンバーは「なんだか知ってる味」との意見で一致。
思い返すと、ベトナムの伝統的なスイーツの「チェー」にも、ココナッツミルクにドリアンが入ったものがあるので、これにクラッシュアイスを入れるとほぼそのままになるのかもしれません。スイーツとして確立されているなら、そりゃ美味しいわけだ!
ちなみに、「ドリアン入りチェー」の見た目はこんな感じ。
では、「ドリアンのミルク煮」を5段階で評価しましょう。味、食感、香り、そしてコストパフォーマンス(調理に手間や時間をかける価値があるか)の4つの指標で判断します。
味:★★★★★
食感:★★☆☆☆
香り:★★★★★
コストパフォーマンス:★★★☆☆
総評:ドリアンをミルクで煮たら、病院食のかぼちゃスープになる。
お次は、衣をつけて油で揚げます。
ドリアンの食感は完熟したアボカドに似ていますが、アボガドにはフリッターという調理方法があるので、ドリアンでもイケる可能性が高いと予想。外はカリカリ! 中はホクホク……これが実現できる時点で美味しくならないわけがないでしょ~!
おぉ! こんがりきつね色。
食欲をそそる見た目です。
私「すごい良い香り! 香ばしい! これでまずけりゃ、もはや詐欺!」
すんすん……
私「めっちゃええ匂い!」
すんすんすん……
私「絶対うまいわコレ!!」
友人「分かったから早く食べろ」
サクゥ!
私「はふっ、ほっほっ……」
私「……」
友人「いや何か言えよ!」
私「……分からん!!」
友人「えぇ!?」
私「なんというか、サクッとした感じで一瞬『おいしい!』って錯覚するけど、中身はいつものドリアンやねん。いや、むしろ、熱で凝縮されたのか、味も粘り気も3倍増しになって、苦手な人は徹底的に苦手だわコレ」
友人「それはキツそう」
私「小学校のときにグリーンピースが嫌いやったんやけど、給食でそいつらがたくさん入った豆ご飯なるものが出てさ、担任が何を思ったか、しゃもじでペースト状に潰しよってみるみるうちに緑色に染まってな。いつもやってた牛乳で飲み込む作戦ができなくって。食材の喜ばしくないところをより伸ばす……昔のトラウマがよみがえったわ」
友人「知らんがな」
全員を神妙な面持ちにさせるドリアン・フリッター、恐るべし。
味:★★☆☆☆
食感:★★★★★
香り:★★★★★
コストパフォーマンス:★☆☆☆☆
総評:ドリアンをフリッターにしたら、サクッとするだけで独特の味も粘り気も3倍増し。
事前に凍らせておいたドリアンを、すりおろし器で削ります。
ベトナムでは、実はドリアン味のスムージーが売られています。凍らせることにより独特のクセも目立たなくなるので、これだっていけるはず……!
見た目は食べ物として最悪ですが、お味は……!?
友人「ただのドリアンですね……」
ただのドリアンでした。すりおろし器で細かくしたことが敗因だったのか、すぐに溶けてしまい、シャリシャリとした食感もへったくれもなくなった。というか、もともとそんなにシャリシャリしてなかったかもしれない。スムージーと同じくクラッシュアイスを入れたりしないとどうしようもないなコレは……。
むしろ、削らない方がまだ食えるとのこと。
味:★★☆☆☆
食感:★★☆☆☆
香り:★★☆☆☆
コストパフォーマンス:★★☆☆☆
総評:ドリアンを凍らせても、すりおろし器で削っても、何も変わらない。
お次の調理方法は、今回の目玉である「フランベ」です。
フライパンに洋酒を注ぎ、火でボウッと燃やす、フレンチでもしばしば使われる調理法。美味しくならないわけがないでしょう! ちなみに初挑戦です。正直怖い。
全員「砂糖って溶けるんだ~!(きゃっきゃっ)」
ものの見事に、素人ばかりのお料理教室と化しています。
砂糖がカラメル色になったら、バター、主役のドリアン、そしてウィスキーを入れて……、
点火!!
危ないので素人はマネしないでください。なお、私は二度とやりません(怖かった)。
というわけで、ドリアンのフランベがこちら。過程を知っているとおいしそうに見えるのですが、何も知らないと生ゴミに見えなくもない。
私「あぁ、でも、匂いはいいよ! 匂いは」
友人「フランベって基本、香り付けだからね」
私「いただきます!」
私「……」
友人「なに遠い目してんの」
私「いや……あんな危ないことまでして、結局ただのドリアンなんだなって思って」
友人「そうなの!?」
周りのカラメルは確かにおいしいのですが、ドリアンにはまったく染み込んでいない。結局、カラメルとドリアンをいっしょに食べているだけでした。これはこれで美味しくないとは言わないが、圧倒的にドリアンが強すぎた。
味:★★★☆☆
食感:★★☆☆☆
香り:★★★★★
コストパフォーマンス:★☆☆☆☆
総評:ドリアンをフランベにしても、ドリアンはドリアン。
これまで4つの調理方法を試してきましたが、唯一生まれ変わったのは「ミルク煮」だけでした。
もうどうにでもなれ、ということで、最後の悪あがきをしてみましょう。
レンチン!
はい、電子レンジに投入するだけです。
私「こんなの料理とは言えないけどな」
私「えっ……うわ!」
友人「どうしたんですか?」
私「すっごいふくらんでる! 怖い!!」
ドリアンには、酒を飲みながら食べると腹が爆発して死ぬという都市伝説が存在します。これはさすがに嘘っぽいですが(食べ合わせは悪いらしい)、それだけに反応が予想できない食材です。すぐさまスイッチを切って取り出します。
なんだかちょっと黄色が濃くなったような……。
友人「匂いは……あっ、マイルドになってる!」
私「ほんとだ! ドリアン独特の臭みが抑えられてる」
実食!
友人「これ……」
友人「栗きんとんだ! おいしい!!」
私「栗きんとんだぁ~?? そーんなわけが……」
私「栗きんとんじゃねーか!!」
友人「でしょでしょ!」
レンチンでまさかの大成功。ちょっとフルーティな栗きんとんとして生まれ変わりました。焼き芋の味にも近いかも。まさかこんな手近な方法で、ガラリと味も匂いも変わるとは……。あまりに予想外の結果でした。
5段階評価はこちら。
味:★★★★☆
食感:★★★★★
香り:★★★★★
コストパフォーマンス:★★★★★
総評:ドリアンをレンチンしたら、フルーティな栗きんとんになる。
といっても、ドリアンを食べる機会なんて滅多にない上に、電子レンジで味を変えようなんて状況はそうそうないとは思うのですが。
それでも何かの間違いで、大量にドリアンが手元に余ったときはぜひお試しください。プリンにしょうゆをかけたらウニになる、みたいなちょっとした感動があるかもしれません。
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編集:ノオト