中部の街ホイアンといえば、旧市街が世界遺産に登録されていると同時に、オーダーメイドでも有名です。街を歩けばいたるところにテーラーや、革製品のショップが。そんなものに欠かせない高級布、シルク。カイコから生産している工房を訪ねました。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2020/01/17
中部の街ホイアンといえば、旧市街が世界遺産に登録されていると同時に、オーダーメイドでも有名です。街を歩けばいたるところにテーラーや、革製品のショップが。そんなものに欠かせない高級布、シルク。カイコから生産している工房を訪ねました。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2020/01/17
糸っていいですよね!
中島みゆきの「糸」ですが、ベトナム語でも歌われておりヒットソングとして知られています嘘です。
有名なのは「ルージュ」の方です。
目次
中部の世界遺産の街、ホイアン。四世紀前には国際貿易都市として栄え、日本からも朱印船貿易でやってきた商人たちが1,000人近くも住んでいたといいます。って、ホイアンのなにがしかについて書くときはいつもこんな書き出しになってしまうのですが、いたしかたあるまい。だって特色なんだもの。
で!そんなホイアン、訪ねた人がよく口にするのが、「なんであんなにテーラーが多いの?」ということ。はい、その通りですね。
なぜか、
旧市街新市街とわず、
街のあちこちにテーラー&オーダーメイド工房があるんですね~。
でも、なぜというより、そもそもそっち方面でも有名なのです。なのでホイアンのテーラーでスーツやワンピースをスピード仕立てというのは、大きなアクティビティのひとつ。以前、スーツ・革靴・革鞄の一式を3日でオーダーメイドした記事はこちらです。
今パッと調べたらピチカートファイヴの野宮真貴女史もホイアンでオーダーメイドされていたそうで。しかも10着以上(野宮さんとたまたま同じホテルに泊まった方が記事に書かれています)。そうか、だから「サイゴン・クチュール」の上映会&トークショーにゲストとして来られていたワケね…。なるほど。ピチカートファイヴも野宮女史も初耳という方はオシリペンペンズ。ピチカートファイヴとオシリペンペンズは関係ないけど。
脱線した。
そんなテーラーに欠かせない素材のひとつが「布」ですが、今回はホイアンで、高級生地シルクをつくっている工房に行きました!というお話。
ここ~
Thang Loi(タンロイ)~
看板そばにある紫色のブーゲンビリアの花が目印です。嘘です、これは街の至るところにあります。
Thang Loiはシルク工房兼刺繍工房兼お土産屋…まぁ、いろいろあるところです。よっぽど繁忙期でなければ(春休みとか夏休みとか?)、あなたが日本人であることをすぐに察知し、ぴゅーん!と日本語ガイドさんが飛んできます。過去三回ぜんぶぴゅーん!と来るので、いったい日本語話せる人は何人いるのかと聞いたら、「4人です」とのこと。多いね!多くね!?しかも語学力高いんだよな~。
なので、たぶんふだんは団体さんが来ているんだと思いますが(日系旅行会社と提携しているのかも?想像だけど)、そんな背景もあって、シッカリと日本語で案内してくれる、しかも無料で(なぜならここ自体がお土産屋的要素があるから)、ということで、穴場です。
そんなThang Loiさんの見どころはやっぱり、
カイコ~!
シルクはカイコが吐く糸でつくられますからね。ちなみにカイコは太古より人に飼いならされすぎて、自力では生きていけないんですってよ。
人「オレ、餌ヤル」
カイコ「オレ、糸吐ク」
そんな関係が成り立っている、いわばベスト・オブ・益中なワケです。水嶋調べで。
そう思うとなんだかやたら可愛く思えてきます。なんかぷにぷにしてるし。
こんな感じで大きくなって…
最終的に繭になる、なんか反抗期みたいですね。
それを熱湯に浸して…
糸を引っ張り出して…
このように美しいシルク糸が出来上がります。
うん。
餌をやって大きく育てて、繭にこもったら熱湯に浸す。
書いてみたら「ひでぇ!!」と思ったんですが、世の中は理不尽なことだらけなのでこれ以上はノーコメントを貫きたいと思います。シルク製のネクタイくらい俺も持ってるし。
昔の機織り機を一瞬だけ動かしてくれます。ありがとう。
そんなカイコとふれあうシルクづくりコーナーを終えると、刺繍絵画の工房へ。
刺繍絵画とはまんま、さまざまな色の糸を縫ってつくる絵画のこと。ベトナムの工芸品のひとつで、小さくシンプルなものなら1万円以下、金持ちが床の間に飾ってそうな(偏見)巨大で高額なものなら数百万円します。
お手元拝見。
この周辺にはそんな完成品たちがたくさん並べられているのですが、撮影NG。撮っちゃダメですよ。とはいえそれだとこの凄みを伝えられないので、大昔(ほぼ6年前)に書いたホーチミン市内にある、刺繍絵画ショップ「XQ」のレポート記事をご覧ください。
その記事から引っ張ってくると、
こんなのとか!
こんなのとかが…刺繍でできとるワケです!
ベトナム人は勤勉とよく言われます。本当にどうかはともかくとして、一億人近くもいればそれぞれで、あくまで傾向的にですが、ひとつの作業にものすごい集中力を発揮するとは俺も思う。その意味で、この刺繍絵画は国民性の賜物という気はしますね。
そこを抜けるとスーツやアオザイなどの衣服が並べられていたと思うのですが、よほど興味がなかったのか写真の一枚も撮っていませんでした。自分にびっくりした。たぶん、このときはさっきも紹介したオーダーメイド記事の取材中だったので、食傷気味だったのかもしれん。
いずれにしろ、テーラーは至るところにあるので、ここでは先のカイコと刺繍絵画工房が見どころです。
いちおう漆製品なんかの土産も置いてある。
ホイアン旅行のアクティビティのひとつが旧市街めぐりですが、よく晴れていると見晴らしは良いものの酷暑がつらい。なにせ景観を守るために低層の建物ばかりで、日陰がないから!
そんなときのクールダウンついでに、カイコにもふれあえ刺繍絵画も見ることのできるここThắng Lợiは何気に穴場。もっと知られていいと思うんだけどなー。俺の来ているタイミングがいつも悪いのか…。いや、客が少ない分には見やすくていつもありがたいのだけど。
タンロイ(Thắng Lợi)
住所:92 Phan Chu Trinh, Phường Minh An, Hội An, Quảng Nam