ハノイのノイバイ空港、市街地からそこそこ遠く、高速道路ができてもまだまだ近いとは言い切れません。しかし、ご存じですか?空港内にホテルがあることを。近くではなく、屋内です。それが近未来SF感があっておもしろかったので紹介します。ただしシャワーはない。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2020/01/13
ハノイのノイバイ空港、市街地からそこそこ遠く、高速道路ができてもまだまだ近いとは言い切れません。しかし、ご存じですか?空港内にホテルがあることを。近くではなく、屋内です。それが近未来SF感があっておもしろかったので紹介します。ただしシャワーはない。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2020/01/13
ホテルっていいですよね!
1990年にTBSで放映されたドラマ「HOTEL」では、高嶋政伸扮する赤川一平の、「姉さん、事件です」というセリフがナレーションの決まり文句としてたびたび出てきます。が、姉さんは最初から最後まで一度も登場しません嘘です。
知りません。すみません。
目次
ハノイの空港といえば、ノイバイ空港。2015年に高速道路ができたことで市街地までの移動時間が短縮されたとはいえ、時間帯も絡んできますが、交通状況がよくて40分くらいと決して近くはありません。
ノイバーイ!
もうひとつの大都市ホーチミン市のタンソンニャット空港は、渋滞が悪化する一方とはいえ、やはりそこは街中にあるため近いという印象。もしかしたら感覚的にそう思うだけかもしれませんが、それでもノイバイ空港が国内トップクラスに遠い位置にあることは違いないでしょう。
最近は日本領事館が開設されたダナンが、空港がほぼ市街地という状況もあって、よりその遠さが際立つようになってきました。きましたというか、私がそう感じるようになってきました。個人的な話ですみません。でもこれ、俺のブログだからね~!そんなことはどうでもいい!で、だ。
そういうワケで、ノイバイ空港での搭乗時間が朝早めとなるとちょっと面倒なのであります。そんな折に「空港内にホテルがあるよ」という話を耳に。え~!そりゃ空港そばにホテルくらいあるっしょ~!?と思いきや、違うんです。中なんです、空港の中!そう書いたけど!ベンチ泊とかじゃないよ!
そ・れ・が…!(CM入り)
そ・れ・が…!(CM明け)
こいつだーっ!!
なんだこりゃーっ!?
なんなんだこいつはーーっっ!!?
本当に何なんでしょうか。
ちょっと薄目で見たら「大きくて見やすいiPadの類似品かな?」と思っちゃいます。思っちゃいません。デカすぎて見づらいわ。でもどことなく感じるひと昔前の近未来SF感、「ひと昔前の近未来SF感」って表現がもうめちゃくちゃ矛盾しとるなぁと思うけど、具体的には以前利用したカプセルホテルバス(勝手に命名)と似たものを感じます。
これね。反響のあったから読んでみそ。みそってなんなの。
で、このホテル、“Sleep Pod Terminal”といいます。正確には、1と2があって、国内線にある1の方。
まるでタブレットが壁に貼りついたようなデザイン。初見では宿泊施設と分からないかも。が、勘違いしないでください。わたくし決してディスりたいワケじゃなく、むしろとっても興奮してます!こういう近未来的かつ合理的デザインって見るだけでわくわくしてきません?いっとき、黒川紀章が設計した中銀カプセルタワービルに本気で引っ越そうかと思っていたくらいです。思いのほか高くてやめたけど。
参考その1。中銀カプセルタワービルの外観。/©Jordy Meow
参考その2。その内観。森美術館の展示らしい。/©Dick Johnson
中銀カプセルタワービルはどうでもいい。いやどうでもよくないけど、今は関係ない。二枚も写真をぶっこんだのはやりすぎだった。はい、”Sleeping Pod Terminal”です。長いな、以降はSPTと呼びますけど、実際の泊まり心地のほどはわかりません。さきほど勢い余ってつい合理的と書いてしまいましたが、その点の満足度が高くなければホテルのホの字も名乗らせられない、そうなったらおめーにやれる字はせいぜい「ぉ」だ。なに言ってんだおれぁ。なんにしろ、身をもって確かめてみようではないか。
レポートスタート!
向かって右端に受付があります。
私「泊まりたいでーす」
スタッフ「いいでーす」
という心温まる会話はしておりませんが、Booking.comで予約は済ませていたのでスムーズに進行。チェックイン後は、スタッフさんが簡単な部屋案内と鍵の受け渡しを2分程度で終わらせ、あとは自由に。という感じ。
鍵は…
カードキーからの!
未来へのドアをオープン!!
すぐベッド!!はい、狭いんです。
今思えばこのとき広角レンズを持っていたはずなのになぜそっちで撮らなかったのかものすごく謎なのですが、通常のカメラ(というよりOsmo Pocketというビデオカメラ)で写真を撮ったので、部屋の全体像が分かりづらくなっております。なので、期待してるぜ!みなさまの想像力を。恐れ入ります。
こちらが枕元。狭さゆえにベッドの横幅は狭めです、1メートルはないくらい?かな。しかし見てわかるかもしれませんが、ベッドも枕はシーツはきれいで目立つようなシワひとつなし。なお、部屋の広さはそのベッドのほぼ2倍程度となります。
この通り、コンセントはちょいと手を伸ばせば届く超良い位置に。なにげにベトナム国内のホテルで、スマートに枕元にコンセントがあるところって少ない気がします。さすがは国際空港内、かつ新しいホテル(ホテルと言い切るとちょっと引っかかるけど)なだけはある。
水とちょっとしたお菓子はフリー。そして見るからに「目覚まし時計と申します」と言わんばかりの見た目な目覚まし時計が。今のご時世スマホを持っていない人の方が珍しい、つまりアラート機能があって当たり前なので、これはなにやら謎采配。
そばのバインダーにはハノイの観光情報も。
クーラーです。
扇風機です。
狭い部屋ながらダブル空調。そもそも空港内にあるのでなにもせずとも寒すぎず暑すぎずという感じですが、これでパーソナルカスタマイズは完全無欠です。
空調と同じく照明も空港内にありますが、部屋を閉めたら暗いもんで…
この通りスポットライトに加えて間接照明まで。
さらに卓上にもライトがあり、合計でみっつ。
そういえばカプセルホテルバスも照明が充実していたけど、このへんはなにかこだわりがあったりするのかな。以前中国の在住ライターさんから「中国(都市部)のネオンがけばけばしいのは、明かりが豊かさの象徴なのかもしれない」と聞いたことがあるのですが、ベトナムも似た部分があるのかもしれない。
んで、窓。
ベトナムって窓のないホテルも多いんです。これは日本が採光にこだわる、言ってみればお日様信仰があることに対して、逆に強い日差しを避けるベトナムならではという気がするのですが、”Sleep Pod”は…
なんと窓つき~!
しかもブラインドつき~!!
と書いたところで、屋内の屋内なのでそもそも日光は入らないのですが。空港の中でも人通りの少ないエリアにあるとはいえ、外から見ると丸見えなので基本的に開けることはなさそうです。まぁ、改めて宿の外観を見ると、通りすがりの人からすれば…。
“見る”っていうより”見られる”って感じだけども。
部屋側から見た景色はこんな感じ。
同じ位置からこのふたつの景色が見られるので、どこでもドア感がすごくあります。
あとは~、
ゴミ箱にスリッパ!
鏡!と、ひと通りの設備は揃っている印象。鏡に映った私。ものすごい無表情ですが、いちおう笑顔で撮ってみたものの引くほど気色悪かったので割愛した結果です。まぁ。
ここまで書いたら載せるけど。能でこんな仮面あったよね、神様か、老人のやつ。
そしてお察しかもしれませんが、食事は出ません。素泊まりオンリー。が、ご心配無用!
ひとつ上のフロアには、
この通りいくつかレストランが集まっております。
めっちゃ高いけど(フォー一杯400円以上)。味はふつうでした。
さすがはベトナムいち物価の高いハノイ(体感的に)。時間帯や状況次第ですが、市街地で食事してから来れるならそうした方がよさそうです。CAらしき人などがいて、職員食堂な感じもあったけど、関係者なら安くなるのかな?価格そのままなら身内に厳しい空港だ…。
そんな”Sleep Pod Terminal”でありますが、で、なんぼなん?と言いますと、履歴を見返すと昨年9月時点、日本円で2,580円でした。が、今見ると3,600円くらいだったので値上がりしたのかもしれませんし、たまたま私が泊まったタイミングでキャンペーンを張っていたのかもしれません。お調べください。
あと、お気づきかと思いますが、シャワー設備はございません。これはGoogle Maps上で第三者の口コミにホテル側からの返信があったのですが、空港施設内の規則なんちゃらでむずかしいそうです。とはいってもラウンジ会員用にそういった施設はあるらしいので、単にコスト面の問題かもしれない。まぁ、部屋自体が、文字通り「ポッドを置いた」って感じだもんな。シャワー設備は現実的ではなさそう。
ただ、その真価を思い知るのは朝。
「起きたら空港」という利便性の高さは、もはやカタルシスを覚えるレベルです。空港へ行く面倒臭さはどこであってもいつであっても変わらないものですが、だからこそ「起きたときからすでに着いている」という状況は確かな満足。コストパフォーマンスをどう考えるかはあなた次第。
なお空港内にカウンターがあったので、直接チェックイン手続きもできる模様。
多言語対応でした。主要な利用客の言語がわかっておもしろいね。
と、あれこれ書きましたが、個人的に感じる最大の魅力は…
この人も!
その人も!
あの人も!
みんなみ~んな、
まさか俺が空港に泊まっているとは思うまい…!!
という、くだらない秘め事を持つ背徳感かもしれません。
Sleep Pod Terminal 1
住所:3rd Floor Terminal 1; Noi Bai International Airport, Phu Cuong, Sóc Sơn, Hà Nội
※Terminal1とTerminal2があり、今回私が泊まった方は”1″で、こちらが国内線。”2″は国際線です。二段ベッドのツインタイプもありますよ。