私の好きなベトナム景勝地BEST3入りを勝手に約束されている街がサパ。ここ、ドラクエにハマったことがあるならぜひ行ってほしい!なぜならリアルドラクエだから。フィールド感、NPCの登場、そして幻術士の攻撃…。ちなみに討つべき魔王はいないので、そこはトゥルードラクエでお願いします。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2019/05/14
私の好きなベトナム景勝地BEST3入りを勝手に約束されている街がサパ。ここ、ドラクエにハマったことがあるならぜひ行ってほしい!なぜならリアルドラクエだから。フィールド感、NPCの登場、そして幻術士の攻撃…。ちなみに討つべき魔王はいないので、そこはトゥルードラクエでお願いします。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2019/05/14
雲っていいですよね!
1997年に猿岩石がリリースした「白い雲のように」、あれはコロンビアの雲について歌った曲だそうです嘘です。コロンビア行ったの?
目次
サパよ、そなたは美しい。前回に引き続き、凝りもせずこんにちは!サパ好きのアシタカ、でなく俗称・ネルソン水嶋ですよ。上の写真は作品用なので左下にクレジットが入ってますが気にしないでください。
ファンシーパン山へのロープウェイを紹介した訳ですが、そもそもその経由地として「サパ」という街があります。秘境だ秘境だとのたまう薄っぺらい適当なサイトが多い中、「秘境なんてほかにいくらでもあるわい!」と私は思うのですが(令和元年のポリシーのひとつは「喧嘩腰」です)、そこへのルートは確かにちょっと秘境なのかもしれません(令和元年のポリシーのひとつは「逃げ道」です)。
サパへ行く道は途中から完全に「山」で、気圧が低くなっていくので途中で何度もポコポコと耳の鼓膜が開きます。いや、実際に鼓膜は開いていないと思うけど、なにが言いたいかくらいは分かるだろ。俺とお前の間柄ならよ…え、なに?気持ち悪い??あ、そう…。
最初に行ったときはビックリしましたね~。山道を走る中で、道の端にカラフルな衣装に身を包んだ少数民族の方々が歩いているんですよ!と思ったら写真撮ってなかったんで想像してね。ジョン・レノンも言ってたでしょ。想像してごらん、って。あれ、「ごらん」って語尾に訳した人天才だろ。俺にとってのジョン・レノンのキャラ付け完全にそれ由来だわ。で、少数民族ね、女の子同士で行ったらきゃあきゃあ言いますよ。男同士で行ったらおうおう言います。ただ延々と山道がつづくので、この先に街なんてあるの~?ほんと~??と、通販番組のお高いんじゃないの~??のごとく、疑いたくもなるのですが…。
あるんです!!って当たり前か。
街中にはデデーンと大きな湖(サパ湖)があり、「水場に人が集まる」という人間、いや生物の習性を感じずにはいられません。なるほど、そうしてこうして街に発展していくんだなって。ましてやここは山岳地域、生活用水の確保は最重要事項のひとつだったのでしょう。ところで「最」と言いながら「ひとつ」って表現モヤモヤしない?そうです、これが世に言う逃げ道です。知らんです。
街中はこんな感じ(昼間あまり撮ってなかった)。
何度も言うように私はサパが好きで、南部在住者でありながらも三度くらいは来ているのですが(それが多いか少ないかは人によって分かれるでしょうが)、その理由のひとつがこの「いきなり街が現れる感じ」かもしれません。だって、さっきまで山だったんだよ!?突然現れてこれなに!?幻術!?イザナミ!?みたいな。なに言ってんだこいつと思った人は「NARUTO イザナミ」で検索してください。
まるでその唐突感に、フィールドを歩きつづけてようやく街に辿り着いたような、ヒットポイントが0になるギリギリで宿屋に泊まれるような、親が帰ってきてゲームの電源コードを抜かれる前に教会でセーブできるような、「ドラクエ」的な印象を私が受け取っているのかもしれません。うちの親はそこまでじゃなかったが。ま、バスで半分寝てたからぜんぜん体力削れてないけどな。工業技術の結晶にセンキュー!
衛星写真を見ると、この「突如感」がよく分かる。確かに秘境だったんだろうな。
それについてはWikipediaから引っ張ってきたこの文章からも感じ取れることでしょう。
『低地に住むベトナム人は、元々は、ベトナムで最も標高の高い谷であるこのエリアを占領していなかった。サパ地域は国内で最も高いファンシーパン山の影に隠れる場所に位置していた。フランスによってようやく1880年代に高地トンキンのベールが剥がされ、ベトナム国内の地図に載るようになった。』
この「ドラクエ」感、これだけではありません。(今更説明ですが)今回はそこを中心にお伝えします。
ちなみに教会もバッチリありますよ!道中「まもの」にやられても復活できます。
バスでサパに到着すると、すでに冒険ははじまっています。なぜなら!
少数民族のみなさんに包囲されているからです。
降りる前からガン見してくる(こちらもそれを撮る)。
バス待ちのみなさん(ただし乗らない)。
え、敵?まもの?では、ありません。そして全共闘の学生運動よろしくバスをひっくり返そうとしている訳でもありません(そんなことをしたのか知らん、イメージで言うておる)。むしろ安心してほしい、彼ら、というより女性ばかりなので彼女たちなんですが、降りるやいなや「サー、ワッチュアネーム?」「サー、ウェアーユーフロム?」のほぼどちらかの質問が飛んできます。このセリフが制限されているあたりもすでにドラクエの村人っぽさがあるのですが、彼女たちの真の目的は…。
旅の仲間になること!
前回の記事で「山間部に住んでいる少数民族のみなさんがサパへ出稼ぎに来る」ということを書きましたが、見る限りだと彼らの仕事は大まかに3つあり、「売る」「踊る」、そしてみっつめが「案内する」。おぉ、ぜんぜん気づいてなかったけどこれもドラクエのコマンドみたいだな。「踊る」はのちほど。
サパは小さな街ですが、ちょっと外側に行けばシームレスに山道へつながっており、健脚であればわりとそのままハイキングを楽しめます(疲れない訳ではないよ、往復しないといけないから)。その先に点在している人里が、少数民族の村、つまり彼女たちのホームなんです。車でないと行けない場所もありますが、黒モン族、ザイ族、赤ザオ族、タイー族、花モン族、などの村がこの山岳地域一帯に点在します。
とくに仲間入り(ついてくること)を拒否しなければ、そのうち「うちの村来る?」という、「今日うち親いないんだけど…来る?」みたいな中高生の女子からの誘い文句みたいなセリフに変わり(これ自体は半分都市伝説だと思ってる)、ふつうに観光案内してくれます。俺は頼んだことがないから要求してくるか分からないけど、終わったらちゃんと対価のチップをあげようね。それが彼女たちのお仕事です。
一時的に仲間入りするという意味で、私は心の中で「NPC(ノンプレイヤーキャラクター)」と呼んでいます。ちなみにサパには酒場(バー)もあるので、もしかしたらルイーダの酒場もあるかもしれませんね。しれませんねっていうか、旅先で旅仲間が増えることはサパに限らずどこでもあるとは思うが。
なお、彼女たち(&彼ら)の民族衣装が、「共通のフォーマットを持ちつつも部分的に色違い」というのも、容量節約のために「同じ服を色違いで使い回す」という伝統が引き継がれたドラクエの村人に通じるものがあります。よく見ると手前の人のレッグカバー、迷彩柄じゃん!(だからなんだ)
ちなみに写真の衣装は、黒モン族、だったかな…。間違えてたら本気で申し訳ありません。
いきなり街が現れる感じがドラクエっぽいと書いたのですが、それまでの交通手段は基本的にバス、つまりは車です。そういうところはドラクエっぽくないのですが(ドラクエに船や気球じゃなくてバスとかあったらむしろ萎えるわ)、安心してください。さきほど書いたようにサパからシームレスに山道へ出られるのですが、そこでは圧倒的フィールド感を味わえます。なんたって…。
景色がワイドすぎんだよね。
街から10分足らずでこれ。
以前トレッキングをガチったことがあるのですが、広すぎて、景色がどこも似すぎてて、迷子になりかけました。地図があっても広すぎて移動時間が長いから、現在位置を見失うの。しかも村から村への移動はただの山道で、人っ子一人いないという状況もままあります。そういう意味でも、NPC…じゃなく、少数民族の彼女たちの案内は貴重かもしれない。うーん、本当にRPGを地でいってるな。そんなこともあってトレッキングは一人では行きづらく、またの機会をうかがっています(写真や動画の撮影も兼ねて)。
ちなみに街から20~30分くらい歩けば、
こーんな、
棚田風景が望めるカフェも点在しているのでオススメです(それまでにもある)。
素朴ながらおいしかったチャーハン。山菜が採れるんだろうね。
ここです。見かけたらどうぞ(今も確実にやってるかは分かりません)。
警戒心ゼロの飼い犬。
サパのベストシーズンは9~10月頃(秋)だと言われるのですが、一度「逗留をしたい」と思って、わざわざホーチミンのコーナン(ホームセンター)で作務衣を買って、サパに一週間ほど籠もって仕事したことがあります。宿泊先のスタッフからすれば、「なんであいつサパに来て部屋に閉じこもってるんだ?」と怪奇に映ったことでしょう。「仕事しに来たんだよ」と簡単に説明はしましたが、「『自殺したらどうしよう』と思ってたらどうしよう」とドキドキハラハラしてました…逗留なのにまるで集中できてねぇ!
なまじ自由に動けると、思ったことを衝動的に行動に移してしまう。
ただし季節は6月、このときのサパは観光地としては最悪中の最悪で…
霧がすごいんです!!
霧度マックス。
24時間中の半分くらいはこんな感じだったかな。ただこれもこんな山間部だからこそ経験できることで、
すごーい幻想的にも見える。
霧に覆われると、3メートル先も見えないですからね。それでバイクや車の音だけはふつうに近づいてきますからね、さすがにそれはおめぇ…と言いたくもなりますよ(見えないから何も言えないし見えても言わないけど)。霧深くなったらやたらと外に出ない方が賢明です。というより出れない。そしてこれもまた、「幻術士から攻撃を受けている」ような感じがあってドラクエっぽい。フィールド感があり、NPCがおり、攻撃も加えてくれる、なにかと冒険心を掻き立てる景色を見せてくれる、それがサパなのです。
でもやっぱり晴れてる方がいいね。
そして次がいよいよ最後のドラクエ感!
サパには私がベトナムで見た中でも最大級の広場があり(ってそれほどたくさん見てはないんですが)、いつもは少年たちが遊んでいたり恋人たちがコーヒーを飲んでいるという憩いの場所になっています。
これが週末の夜になると…
君たち今までどこに!?ってくらいに人があふれかえる。
サイゴンでいうところのグエンフエ通り、ハノイでいうところのホアンキエム湖周辺、みたいな位置づけですね。ここは。伝統音楽みたいなものも流れているので、まさしく「夜のバザール」という感じがしてこれもまたドラクエ的。どっちかっていうとクロノトリガーかな。ベトナムは昼間暑い時期が多いのでむしろ夜に人出が増える印象があるのですが、標高が高いのでそう年中暑くもないサパでも、同じ行動が見られるところは謎です。単に、仕事が上がって夜は暇になるからということかもしれません。
広場とその周辺では、
少数民族の衣装に身を包んだ少年たちが踊っていたり、
少数民族の女の子たちが傘を使ってこれまた踊っていたり、
有名人っぽい女性が歌っていたりしています。
そして「仕事が上がって」と書きましたが、もちろんこれから仕事の人もいて(って踊り子もか)…
街中に行商があふれかえる!
売り子にはまだ年端もいかない女の子も多い。しかもたまに妹だか弟だかを背負っていたりして、「おしん」感が半端ない。この写真の子は完全に客寄せパンダですね。親はどこ行った?と言いたくもなるのですが、通りすがりの外国人が彼らのやり方にあれこれ言うのも野暮でしょう(と、私は思います)。とはいえ。家にお邪魔して経済状況を見た訳じゃないんですけど、こうして夜も働いている小さな子を見ると、ベトナム社会の格差を感じずにはいられないですね。写真を撮ったらなにか買ってあげてください。
この子は朝食を食べてるときに近づいてきて、「なに?」と聞いたら「ジャムくれ」って。いやーもう…拒否するゥ!!(嘘です、あげました)。正直一瞬警戒してしまったので、「汚れっちまった悲しみに…」(by 詩人・中原中也)と心を反省しましたよ。とか言って次はよそで騙されるパターンだね!
と、そんな感じのサパ。
細長くて階段が多く立体的な街並みは、それだけで冒険心を煽られるでしょう。エッシャーのだまし絵の世界に投げ込まれたかのような錯覚を覚える場所もあります(だまし絵だけに)。こうして書くと改めて、「やっぱ俺、サパめちゃくちゃ好きだな」と再確認できました。私と同年代(30~40代)でRPGゲームに没頭した時期があった人ほど、サパという街は楽しめると思います。きちんと光景を重ねれば。
なお、最後に、悪いニュースと良いニュースがあります。一度言ってみたかったんだ。山だとやはり新鮮な食材などの流通網が十分ではないのでしょうか、サパの飲食店で食べる料理でおいしいと思ったことはほとんどありません(し、なにより高いです)。基本的には期待はしない方がいいと思うのですが、山道へつづく、つまり街のはずれに「グッドモーニングベトナム」というお店があり、そこのココナッツカレーは絶品!!!!です。ほかの料理もイケますよ。価格もまとも(ベトナム相場でいえば高いです)。
実をくりぬいてカレーが入ってる。あなたの味覚と合うかどうかは分かりませんが、俺はオススメ。
ここです。
あとサパのCong Caphe(ハノイ発のカフェチェーン、配給時代のベトナムを再現)も良き雰囲気。
ちなみにドラクエ的にラスボスはファンシーパン山にいます。風格がすごいって意味でね。
行き方は旅行会社で申し込むもよし、あるいはバスだけでも往復ともに予約できるので、「sapa bus」あたりで検索すれば英語のサイトも出てきます。オンライン上でクレジットカード決済できるので(JCBはひょっとするとないかもしれない)、困ることはほぼないはず。発着時間についてはもしかしたらバス会社にもよりますが、だいたいは、行きが朝7~8時頃出発11~12時頃到着、戻りは16時頃出発20時頃到着、くらいだったかと記憶しています。行きはホアンキエム周辺なら直接迎えに来てくれますが、二回ともに30分くらい遅れたはずです。ハラハラするかと思いますが、たぶん大丈夫。でも、オフィスに「遅いぞ」とメールや電話をするなりしておいた方が、リスクヘッジにはなります。以上、実体験でした。