ダナングルメといえばさー、バインセオバードゥオンだよねー。えっ、なに!?まだ行ってない!?ちょっとちょっとあなた、めちゃくちゃ損してんじゃないの!「Banh Xeo Ba Duong」はダナンが誇る名店のひとつです。さぁ、今すぐ!あのパリパリッとしたバインセオを、ゴマダレにディップして桃源郷を覗いてきなさい~!!
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2019/09/10
ダナングルメといえばさー、バインセオバードゥオンだよねー。えっ、なに!?まだ行ってない!?ちょっとちょっとあなた、めちゃくちゃ損してんじゃないの!「Banh Xeo Ba Duong」はダナンが誇る名店のひとつです。さぁ、今すぐ!あのパリパリッとしたバインセオを、ゴマダレにディップして桃源郷を覗いてきなさい~!!
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2019/09/10
目次
お好み焼きっていいですよね!
好きなものを焼くからお好み焼き。しかし一方でもんじゃ焼きは、余った食材(邪魔なもの→じゃまもの→ものじゃま→もんじゃ)を焼くのでもんじゃ焼きと呼ばれるようになったそうです嘘です。嘘ですが?
ベトナム在住者、そうでなくとも観光に来られたことがある方ならご存知かと思います。バインセオ。
©freshcrackedpepper
誰が名付けたかは分からぬが、「ベトナム式お好み焼き」と呼ばれがちなこの料理。これまでたくさんのその呼称に異を唱える人と出会ってきましたが、なにを隠そう私もそんな、「バインセオをベトナム式お好み焼きって呼ぶのやめなよ嫌がってるでしょ」レジスタンスメンバーのひとりです。今発足しました。
そして今解散しました。
あれをしいて呼ぶなら「惣菜クレープ」やろ、と。適当なことほざいとったらおんどれケツの穴から腕突っ込んで奥歯ガタガタニャンニャンやぞ、と。うーん、途中でかわいくなるかなと思って猫語にしてみましたが、かえって怖く(というか気色悪く)なりましたね。どうでもいいわ。さぁ、さぁ、本題!
バインセオ!
インド料理店のナンくらいのサイズ感の、ターメリックによって黄色く色付けされた米粉の薄焼きに、炒めた豚肉・エビ・もやしなどがボボン!と入っております(擬音はノリで)。これを切り分けてヌクマムを付けて食べる。まぁ、おいしい。おいしいよ。おいしいが、それ以上に食べづらさが勝ってしまい、「バインセオだ~いすき!」とハズキルーペCMの菊川怜ばりには言い張れず終いだった私がいます。
が、しかし!!
そんな私の人生観…じゃなかった、バインセオ観をひっくり返したものが、中部の街・ダナンの、もっと言えば「バインセオバードゥオン(Banh Xeo Ba Duong)」というお店のバインセオ。出会いは今から5年前の、初ダナン。「結構前だな」と言われたらおっしゃる通り。知られたくなかったから…というのは真っ赤なウソで、単にべとまるを更新してこなかったってだけです。えろうすまへん。で、だ。
ここのバインセオ、ほんとわたくし、大好きなんですよねぇ。じゃなかった、だ~いすき!なんですよねぇ。私がダナンにいるときに友人が遊びに来たら毎回連れて行っています。空路も陸路も友人の到着がランチタイムと重なりがち、かつ空港や駅から行きやすい、ってこともありますけどね。万が一にも断ったら週末のドラゴンブリッジの頭に吊るす勢いです。そんな名店を満を持して紹介しますぞ~。
週末のドラゴンブリッジの頭に吊るす…「燃やすぞコラ」という意味。
「記事だぁ?しゃらくせぇ!」という方は動画でどうぞ。
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今でこそかれこれ10回以上は行っている気がするのですが、最初の4回くらいまではいつも近くまで来ては「どこだったっけ…?」と迷っていました。というのも、立地そのものはドラゴンブリッジにもほど近い、つまりダナン中心地なのですが、路地裏、しかもどん突きにあるのでめちゃくちゃ分かりづらい。
入口はこれ。
目印はバインセオ(Banh Xeo)の看板が。しかしこれ…後述します。
路地裏の入口が分かったところでまだまだ。
こ~んな感じ、で!だいぶ入っていかないといけない。
はじめてのベトナム旅行、ましてや海外旅行だったら、路地裏の入口に立つだけで治安センサーの赤サイレンがウーウー鳴る人も多いかと思います。私にしたって事前情報なしに初めて行った国で路地裏に入れるかっていうと、考えます。ひょっとすると、ここで折り返した人もいたのではないでしょうか。が、安心してください、この先には桃源郷が。少なくともさきほどと同じ入口であれば大丈夫ですから。
が、トラップはそれだけではなく…。
パロディが!
いや、オマージュが!!
いやいや、もっとハッキリ言えば…!
ニセモノが!!
ニセモノ店が周辺に固まっています!!
と、いささか言い過ぎましたね。後発店です。
でも、本物が「Ba Duong」で、「Be Dung」とか、「Ba Tinh」とか、明らかに当てに行ってます。
ちなみに再度入口をよく見ると、左に本物の「Ba Duong」、右にニセモノ店の看板が。いや~、バチバチいってますね~、あからさますぎて怖いですね~。
ベトナム都市部ではしばしば同じような業態のお店が集まって、ひとつの通り(ストリート)が専門店街化しているケースがありますが、その成り立ちの中にはこうして人気店に便乗した末…というのもあるのではないでしょうか。ただここに関しては、「路地裏のどん突きにある」という特殊な立地ゆえに、「たどり着くまでにウチが客を引っ張り込める」という思惑もあったのかもしれません。かと思いきや、彼らはまったく客引きをしてこないので、何を考えているのかいまいち分かりません。漁場のそばで針のない釣り竿を垂らしているようなものです。引けばラッキーみたいな。
ただ皮肉なことに、以前ここに来たときに道路工事だか拡張工事だかで本命の店(Ba Duong)には入れず、とはいってもバインセオ欲も抑えられず、まさかのニセモノ店へ行くことに。なんだったら「バッカでー」くらいに思っていた店で自分が食べるとは思わなかった。実はニセモノ店が一番驚いていたんじゃないだろうか。本来、Ba Duongのおこぼれというか、なんだったら間違えた人しか入ってこないから席数がぜんぜん足りず、めちゃくちゃギュウギュウの中で食べました。こういうのを特需というんだな。
で、なにが皮肉だったかというと、そこそこ美味しかったんですよ…。たまたま友人が同じ時期に同じ体験をしていたらしく、後日「意外とおいしかったよな!」と二人で盛り上がりました。すると工事が明けてからも、それまでは基本的に閑古鳥が鳴いていたニセモノ店にも、ちらほらと客入りが見られるように。ま、それでも、やっぱりBa Duongの方が美味しかったから、もう特需は生まれないと思うけどー。
というか、ダラダラしゃべってばっかでぜんぜん話進んでねぇな!いきま~す!
店の前にある、本物の看板。
こちらが店内。
これは別日の写真ですが、前述の工事明けの週末は客入りがエグいことになっていました。
お店に入って左手にある厨房は常にフルスロットル。
こうして撮影させていただいている訳ですが、周りでチョロチョロしてもあんまりにも無視されるので、葬式コントでありがちな「死んで幽体になっているので他人に見えていない」感覚を味わえることができます。か、どうかは、あなたのイマジネーション次第です。
で、注文はどうするの?というと、これがなかなかクセがあって…。
注文するといちおうは聞いてくれるのですが、毎回何べん頼んでも伝えた数以上のものを持ってきます。ただ、手を付けなければ会計にカウントされないのでどうも「食べた分だけ会計」する方式の様子。まぁ、じゃあ、残ったバインセオはどうしてるんだろうね?という疑問も浮かんでくるのですが、そこは考えないようにしているというか、個人的には気にしていません。そもそも真実も分かりませんし。
で、席に座って待っていたらすぐに聞きに来てくれるの?というと、これまたお店の盛況ぶり(店員の忙しさ)にもよるので、店員さんが通り過ぎる瞬間を狙って「エモイ!」(年下の男女への呼び声)と叫んで捕まえて、「バインセオ!バインセオ!ネムルイ!ネムルイ!」とワァワァ叫んでいればひとまず大丈夫です。でもそれでもオーダーが忘れられていることがあるので(大丈夫じゃなかったな)、5分待っても何もなければもういっぺん言った方がいいですね。くれぐれもオーダーロストしたからって名指しで悪評書くなよ~(そんな日本人の口コミをたまに見るのでちょっと辟易しています)。
で。
はいこちら~!!バインセオ欲張りセット。欲張りって言ってもバインセオを頼めばネムルイ(右下)以外はぜんぶ出てくるけど。
ネムルイ(Nem Lui)は豚肉のつくね棒、刻みニンニクが練り込まれていて、ハッキリ言って悪魔の味です。つまりめちゃウマ。関西人の方にしか伝わりませんが、551の豚まんに近い中毒性がありますね。
バインセオが主役ではあるのですが、このネムルイも脇を固めてる、っていうかもう最高の参謀です。ダイの大冒険で言えばバインセオがバーンでネムルイがミストバーン。はい、いきなりのジャンプ的たとえで困惑させてしまってすみません。あなた方を犠牲にして、伝わる人には伝わりすぎたかと思います。
肝心の食べ方は、
こちらのライスペーパーに、
香草をモリモリのせて、
バインセオをのせて、
キュウリとパパイヤの酢漬けをのせて、
なんだったらネムルイものせて(はさんで引っこ抜く)、
海苔巻きと同じ要領で…
ギュギュッとカタめに丸めたらー!
ゴマダレにディ~~~~ップ!
これでもかというくらい押し付けて、ディップディップ!ディ~~ップ!!
さすればそなたは桃源郷へ旅立てるじゃろう…!!(表情に出ないだけで旅立っています)
味を語れば(語るほどグルメでもないですが)、バインセオの美味しさを構築しているのは、「バインセオのバリバリッとしたクリスピー感」「ネムルイのガッツリと効いたニンニクと滲む肉汁」「それらをキュッと引き締めるパパイヤの酢漬け」「クドさと背徳感を打ち消す大量の香草」、そして「食べる者をジャンキー化させるミンチ入りゴマダレ」。このすべての黄金比とも言える要素が、奇跡のごときバインセオを生み出しているのだと私は思います。5つはちょっと多かった。いや!五芒星的な、ね!
注文にクセがありますが(というか店員に余裕がない)、前述したように「バインセオ!ネムルイ!」と言ってれば大丈夫です。心配でしたら朝晩やっているのでランチタイムを外してみてください。大量に来ても食べなければ会計されないので安心してね。飲み物は、ビールのほか、これはこの店やダナンじゃないと飲めないって訳でもぜんぜんないのですが、「スアハットセン(蓮の実ミルク)」や「スアバップ(とうもろこしミルク)」は、見落とされがちな激ウマベトナムドリンクなので、ぜひお試しあれ~。
住所や時間などは「Banh Xeo Ba Duong」で調べてください。変わっても保証できないんでね。今さらだけど、めちゃくちゃ安いよ。大人ひとりお腹いっぱいになるまで食べて、ビールも二缶くらい飲んで、400~500円くらいかな。
最後に余談ですが、5年前に存在を知ってから現在に至るまで、明らかにダナンの街中で似たバインセオを扱っているお店が増えたんですよね。単に私が気づいていなかった可能性もあるんですけど、それでもこのBa Duongが圧倒的支持を受けていることから、中部式バインセオってそもそもこのお店が発祥なのかな?と思ったりもする訳です。店に話を聞いてみたいけど、いつも忙しそうだからなぁ。
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