ケイビング、って聞いたことありませんか?簡単にいえば洞窟探検。奄美群島の沖永良部島(おきのえらぶじま)は、大小200~300の洞窟があり日本屈指の洞窟島としても知られています。テレビでも取り上げられる、4~5時間かかる銀水洞が有名ですが、それ以外でも初心者にもやさしいコースがあるのです。…と思ったけど、なかなかハード&エキサイティング!やっとかないと人生損するレベル。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2020/02/09
ケイビング、って聞いたことありませんか?簡単にいえば洞窟探検。奄美群島の沖永良部島(おきのえらぶじま)は、大小200~300の洞窟があり日本屈指の洞窟島としても知られています。テレビでも取り上げられる、4~5時間かかる銀水洞が有名ですが、それ以外でも初心者にもやさしいコースがあるのです。…と思ったけど、なかなかハード&エキサイティング!やっとかないと人生損するレベル。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2020/02/09
洞窟っていいですよね!
洞窟の「洞(どう)」のつくり(右側の「同」)は、ぽっかりと空いた穴の形状が由来だそうです嘘です。
目次
ベトナムの洞窟といえばソンドン洞窟!ですが、今回は日本の洞窟話。先日記事にも書いた、実習生との交流会を行った奄美群島の沖永良部島(おきのえらぶじま)からお送りします。
ここはサンゴ礁が隆起して生まれた島で、なんとその地底には、大小200から300の洞窟があるといわれております。それ自体は以前から一部では知られた話でしたが、8年ほど前にケイビングツアーがはじまったこともあり、リムストーン(棚田状鍾乳石)を擁する大ホールを持つ「銀水洞」がテレビでも取り上げられ、たちまち全国区に。国内外1000以上の洞窟に入った洞窟探検家の吉田勝次さんも「思い出深い洞窟」として名前を挙げる洞窟です(吉田さんは島のガイド育成も行った)。
そんな銀水洞に俺も行ってみて~と思っていたのですが、なんと往復5時間!けっこうハードルが高い…以前に、まずは初心者向けの洞窟をクリアしないと行けないということで(まるでドラクエだかのRPGみたい)、「リムストーンケイブ」なるコースに参加しました。確かに、洞窟に入って自分がどうなるかなんて実際に入ってみなければわからないもんな。クチトンネルくらいならあるけど(ベトナム戦争で南ベトナム解放民族戦線が掘った地下要塞)、ありゃもう観光向けに拡張された半分人工物だし。
ちなみにこのケイビングツアーは動画でもまとめてあります。サムネイルがネタバレだけども!
決行日は快晴!なのはうれしいっちゃうれしいですが、地底なので関係ありません。ちょっとくらい関係あるんじゃ?と思っていたけど、本当に大雨が一日中つづきでもしない限りは大丈夫らしい。屋外アクティビティなのに天候に左右されない(されづらい)という時点で新鮮だ。
左に見える方が平(たいら)さん、沖永良部島ケイビングガイド連盟に所属するガイドの方です。なにげに私と遠い親戚だったので(私の母が島出身)、世間の狭さに驚きます。とはいっても、1万3千人くらいは住んでいるので、「島」と聞いてイメージするほど人口が少ない訳でもありませんが。ちょうどハノイに住む日本人くらいの数かな?今はもうちょっと多いか。
ちなみにあとから出てくる友人は、松本さんと、ポール。登場頻度は少ないけど名前だけ先に出しときます。で、さっきから歩いてるところ地上やないか!というとおっしゃる通り。車で移動したのちに徒歩で洞窟への入口に向かっているのですが…
平さん「ここです」
全員「えっ?」
全員「ここなの!?」
いやもうこれ、秘密基地。ゲームなら完全に隠しアイテムあるパターンだよ。洞窟がある場所は「地形からある程度は絞れる」とのことでしたが、ふらふら歩いて見かける分にはまさかここから洞窟へつづいているとは思うまい。すでに未知の世界にお邪魔している感じでわくわく。もう楽しい。そ~して!
洞窟さんのお出ましです。
本当にあったよ…。いや、なかったらなかったでびっくりするんですが。というかそれはもはやドッキリと言ってもいいレベルだと思いますが。洞窟があってよかったです。
入る前にパチリ。ちなみにこの手の形は沖永良部島を模したものなんですが、逆でした。左手じゃなくて右手だった…!関係者の方々(というより島民のみなさま)、すみません。
それにしても洞窟って、「存在は知ってるけど見たことがないもの」ランキングでいえば上位な気がする。そんなランキングの方がまず存在しなさそうだけど。
8年くらい前にイギリスの地方都市で、夕暮れに輝く草原と羊の群れを見たときにやたらと感激して。映画かゲームで見たような光景が現実に存在したことに驚いたんですね。洞窟もその類なのかもしれません。あるいは、高校生の頃にライブ会場でフジモン(芸人)が目の前を通って、「実物だ…!」と感激したことがあったのですが、そっちでもいいです。というより、この話自体どうでもいいです。
そんなことよりも!
探検開始!
洞窟に入ってしまえばこの通り、
明かりはキャップライト(ヘルメット前方につける照明)のみ。
それすら消すとこんな感じです。下の方にちょっと後続のライトが見えるけど、このレベル!
途中途中でガイドの平さんに説明してもらいながら進みます。つらら状に伸びるこの石筍(せきじゅん)は、1cmの成長に30~40年かかるとのこと。よく聞く話ではありますが、こうして地底に入って現物を前にして言われると、すごみが伝わります。
沖永良部島には島内各所に暗川(くらごう)と呼ばれるものがあります。文字通り川で、水道が整備される前は島の水源として利用されていました。が、流れる場所は地上ではなく、地底。それはつまり…。
洞窟には暗川が流れているということで、
洞窟探検はずぶ濡れ不可避!!※ウェットスーツ着用してます
松本さん「あー冷たいな!」
ポール「あー冷たいな!」
ネルソン「あー冷たいな!」
※このへんのノリはぜひ動画でご覧ください。
濡れたあとしばらく沈黙する松本さん。10年以上の付き合いだけど、そんな習性あったんですか。
ネルソン「松本さん」
松本さん「…」
松本さん「…」
ネルソン「いやなんか言ってよ」
環境は暗所で閉所。あまり無表情&無反応だと、「もしや松本さんに擬態した別のなにかなのでは…」という疑惑が生まれます。あと5秒くらいそのまま黙られたら、「ええい、こんな危険なヤツといられるか!俺は帰る!」と言ってそのまま姿を消すところでした。
なお、すでにいくつか挟んでいるのでお気づきかもしれませんが、ツアー中はガイドの方が写真を撮ってくださいます(後日データを送ってくれる。と言いつつも当日夜には送ってもらえました)。洞窟内の随所で撮影スポットがあるようで、その際のライティングも定番の位置があるようでおもしろい。「洞窟で映えるライティング」とか、ノウハウもあるんだろうな…。
そんな水に潜るアクティビティもたのしいのですが、一方で洞窟内には見どころもたくさん!
こちらは、カルシウム炭酸塩が同心円状に重なってできるという、
洞窟真珠!
そしてこちらは、この島がかつて海底にあったことを示す、
サンゴの化石!
ほかにもまだまだ!
石柱!
結晶!
カーテン!!
巨大えのきベーコン巻き!!!
そしてそして~、
落書き!!
落書き!?
平さんによると、これはツアーがはじまる以前、今から10~20年前に描かれた落書きだろうとのこと。ここから見る限りだと確かに、うっすらとコーティングされて字も薄くなっている。今でこそツアーで運用されていて定期的に人が入っているものの、その以前はめったに人が入らなかった訳だから、たとえ20年前の痕跡だったとしてもつい最近のように思える。それってすごいことだな…。
ネルソン「それにしても、こんなところまで分け入って落書きってすごいですね…」
平さん「いや、ここ通ってますよ」
全員「へ?」
平さん「みなさん一度通ってます」
全員「通ってんの!?」
洞窟に入ってからすでに1時間弱。てっきり洞窟にひたすら突き進む大冒険を繰り広げていると思っていたら、ずーと入口付近をウロウロしていただけらしい。まっっったく!方向感覚が分からない…。それだけに洞窟では迷子にならないように注意する必要があるのだとか。川の流れている音が聴こえているうちはまだマシで、それこそ場所によっては無音のところもあり、暗闇&無音となったら完全に詰むよね…。と言いつつ、川の流れる方向に行くべきか、逆に行くべきかもさっぱり分からないけど。前者かな…。
そして、あいかわらず洞窟の奥へ行っているのかウロウロしているだけなのか分からないが、徐々に冒険感がマシマシの道に。
こんな隙間にも!
改めて考えるとこれ、初心者向けのコースですからね。とはいえ絶妙にクリアできるくらいなのですが。参加者に60代くらいの女性もいらしたのですが、大丈夫そうだったのでゲームバランスが絶妙に取れているのかもしれない。とはいえ、こうしたアクティビティには手馴れている感じはあったけど。
よくもまぁこれだけちょうどいい水位になっている。
途中には、
こんな隙間も!
後続はどうかと振り返ってみると…
ズルッ…
ベチャッ!
なんか、妖怪人間が生まれる穴って感じだな。なんとなく。
抜けた先は泉、平さんがライトをセッティングしてくれたちまち光り輝くゴールデンプールに!
ここで滑り台をしましょうということに。
せーのっ
パーーーン!!
つづいて飛び込んだあとの友人ポール。15年くらいの付き合いになるけど、こんな楽しそうな表情を見るのははじめてかもしれない。それくらい、洞窟探検の楽しさやばい。好奇心が追い付かない!
そしていよいよメインへ…。
いまさらながら、このコースの名前はリムストーンケイブ。
それこそが棚田状鍾乳石が大きく成長した…
こちらのプール…!!
どえらい幻想的な絶景…!!
なお、この明かりはプールが自然発光している訳ではもちろんなく、ガイドの平さんが持ってきた防水ライトをひとつひとつセッティングしていっています。重量のほどはわからないけど、向こうのプールまでひとつひとつ置いていっていると思えば、それが荷物の大半を占めていそう。うーん!お疲れ様です。
このあとも冒険はつづきましたが、自前のカメラのバッテリーが切れてしまったのでここまで!冒頭の方でも公開していますが、ケイビングの様子は以下の動画にまとめてあります。こちらの方が臨場感もあるので、ぜひご覧いただきたく。
そのほか、いろいろとサプライズ的な演出や仕掛けがあったのですが、あまり書きすぎるとネタバレになってしまうのでそのへんはぜひご自身の五感でお確かめください。もっともリーズナブルな今回のリムストーンケイブで、参加費用はひとり16,000円(ウェットスーツとシューズもレンタルなら+1,500円)。安い!というほどの価格帯ではないのですが、実際に参加してみると、もうほんとぜんぜん!金額以上の価値は大いにあったと思います。というより、「やらないと人生損するレベル」です。滅多にそんなこと思わないんだけど、これに関しては胸張って言える。俺が胸張る立場でもなんでもないのだが。
そんな洞窟島ともいえる沖永良部島(おきのえらぶじま)は、これまで農業を中心に回ってきた島なので、こんな世界レベルの自然がありながらも観光地としてはまだまだマイナー。それもあってか交通の便は良いとは言えず、沖縄、鹿児島、奄美大島(&群島)、いずれかを経由しなければ行けない上に、LCCは飛んでいないので安いとは言えません(事前予約すればいくらか安くはなるけども)。
ただ、そんな「来づらい」という地理的な条件もあって、どこのビーチに行ってもあまり人がおらずほぼ貸し切り状態というのも魅力のひとつ。クジラやウミガメが見られることでも有名で、知る人ぞ知る島。あとなぜか数年前に楽天トラベルで注目の離島No.1になってました。ちょうど銀水洞が取り上げられた時期だったのでそれもあるのかも。
ともかくも、これで洞窟に入ってもおかしくはならないということがハッキリしたので、次回は銀水洞にチャレンジしたいと思います。ただこっちは参加費用が5万円かかるので、今回以上に清水の舞台から飛び降りるつもりで行かねば…。そもそも最小催行人数が2人なので、そのへんも課題ではあるのだけど。
個人的には、前回書いたベトナム人実習生との交流会が行われたように、ベトナム関連でもお手伝いできるかもしれないので今後も足しげく通いたいっていうか拠点にしたいと思います。えらぶ、ベトナム、あと東京と大阪を行ったり来たりできるといーなー。