ベトナムは春巻きの国といってもいいかもしれません。ベトナム料理を代表する生春巻きもあれば、揚げ春巻きも家庭料理の定番です。そして中部の都市ダナンでも、名物の春巻きが存在します。ベトナム語だと長い名前なのですが、直訳すると「ライスペーパー・巻き・豚肉」。味はわりと食材の見た目通り。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2020/01/04
ベトナムは春巻きの国といってもいいかもしれません。ベトナム料理を代表する生春巻きもあれば、揚げ春巻きも家庭料理の定番です。そして中部の都市ダナンでも、名物の春巻きが存在します。ベトナム語だと長い名前なのですが、直訳すると「ライスペーパー・巻き・豚肉」。味はわりと食材の見た目通り。
ライター:ネルソン水嶋 公開日:2020/01/04
春巻きっていいですよね!
春巻きは英語でも”Spring roll”と書きますが、かつて立春の頃に新芽を出すものを具にしていたことからその名前がついたそうです本当です。
目次
日本でも食べられる場所が増えたベトナム料理。その代表格のひとつに…生春巻き!が、ありますよね。
おいしそ~!
エビや豚肉、そしてキュウリやレタスにパクチーなど、野菜は香草をモリモリッとライスペーパーで巻いた料理です。生春巻きとはウォーキングサラダである、ということをベトナム料理に精通したえらい方もおっしゃっておりました。タレは、ヌクマムベースのものもあれば、写真のようなゴマペースト(田楽味噌と似た味)にピーナッツや唐辛子を散らしたものなど。
その見た目から上品な料理というイメージを持たれている方も多いかもしれません。実際にお金に余裕がある人向けのベトナム料理店でもよく見ますが、プラスチック製のテーブルに載ってある通り、そのへんの路上店でも売られている庶民フードでもあります。
ホテルの従業員と思われる兄ちゃんたちも路上店の常連っぽい。ただし常温保存であることが多いので、体調を崩すと取り返しがつかない旅行者には勧められません。
生春巻きに比べると、中華料理の印象が強く存在感は薄まりますが、揚げ春巻きもメジャーです。日本ほど充実しているとは言えないベトナムの冷凍食品ですが(というより日本が異常に多いとも言える)、揚げ春巻きに関しては種類も結構ある。
ご家庭で冷凍の揚げ春巻きを揚げる様子。
また、オバマ元大統領が訪越したときに食べたことで有名になったブンチャーにも、揚げ春巻きが付いていました。下記の写真、テーブルの一番手前にあるやつ。馴染みすぎて仕込み説が根強いです。
この投稿をInstagramで見る
ちなみにこのお店はのちに「ブンチャーオバマ」という店名に改名したのですが、現在は元の名前(Bún Chả Hương Liên)に戻っています。たぶんですが、ブンチャーオバマで検索するとひどい数のヒット数(つまり同名のお店だらけ)なので不毛さを感じてやめたんじゃないかと思う。
ベトナム全土にあるブンチャーオバマ。さすがに、取り急ぎ「アホか!」と言いたくなる。
ちなみにHuong Lien~の方では、オバマさんが食べたメニューが「オバマセット」として提供されています。ブンチャー、揚げ春巻き、ビアハノイの三点セット。値は張る方の店ですが、おいしいです。
いつものごとく前置きが長くなりましたが、今回はダナンで食べられる生春巻きの話です。
その有名店がここ!”Quán ngon”です。
「写真と店名が違うじゃないか」と言われるとおっしゃる通りなんですが、ここってウェブでも調べる場所によって名前がまちまちなんですよね。Quán ngonはGoogle Mapsで調べた結果出てくる名前で、短く分かりやすいので、ここではこれを正とします。
まぁ、直訳すると「おいしいお店(レストラン)」で、ベトナム全土に同名のお店はめちゃくちゃあるんですけど。ベトナムの店名ってなぜかシンプルなことが多い。なおそれについてはデイリーポータルZというサイトで記事にしています。
お店は100人くらい座れそうな広いところで、見た目的にはこげ茶の木造づくりの、昔のお金持ちの家って印象。と言いつつそういうところに頻繁に行ったワケではないが…イメージです。ただ団体客が入ったときに開放されるのか、照明を落としていたので、明るい軒先で食べることになりました。
お目当てのダナン名物生春巻きはこちら!料理名は、「Bánh tráng cuốn thịt heo」となります…そう、長いんですよ名前!直訳すると、ライスペーパー・巻き・豚肉、です。
のちほど出てきますが、自分の手で巻く手巻き生春巻きのセットで、ひとり169,000ドンほど(およそ850円)します。と言いつつ昨今のベトナムの相場の変動は激しいのでもしかしたらもう値上がりしてるかもしれないのですが、いずれにせよこれはなかなかの高級路線ですよ。
日本だと一食に3000~4000円かける感じなので、確実にハレの日のご馳走になるのでしょう。ご馳走、かつその土地のもの、という意味では、神戸で鉄板焼きを食べるような…浅草でちゃんこ鍋を食べるような…うーん、やっぱり比喩は無理があるので忘れておくんなまし!
んで!
豚肉!
野菜に香草!
ライスペーパー×2!
こちらが生春巻きの具材。特徴はやはり二種類のライスペーパーですよね。端的に言えば、濡れてる厚いやつと乾いてる薄いやつです。それぞれの使い方はこのあとすぐ~。
そしてタレ!どうもおいしそうに見えませんが、これは撮影技術によるものです。すみません。
マムネム(mắm nêm)と呼ばれるタレで、魚の発酵調味料。ヌクマム(魚醤)の兄弟と言えるかもしれません。強烈なにおいがするエビの発酵調味料としてマムトム(mắm tôm)が知られますが、こちらは魚。そこにニンニクや唐辛子がふんだんに入れられ、スパイシーとうまみがダイレクトに味わえます。
で、早々にさきほどのライスペーパーの使い方ですが~!
この薄い方のドライなライスペーパーを、
厚い方のウェットなライスペーパーに押し付ける!
小学生の授業で版画やったでしょ?やってなくても、想像で補ってあれをイメージして~!
ペリペリペリ…
と、このように重ねます。
あとは、豚肉、もやし、ミント(たぶん)、えごま、ネギ…などを重ね、巻いて完成!
このとき10人くらいいたんですが、周りから「巻き方がうまい」と絶賛。生春巻きの巻き方がうまいことで大して得はないと思うんですが、そんなことでも、10人から一斉に褒められるとめちゃくちゃうれしかったことをここに報告しておきます。その節はありがとうございました。
ちなみにコツは、巻き終えたときに見えない部分は多少よれても気にしないことです。と偉そうなことをほざいたので、上にはみ出した部分は見なかったことにしてください。
そんでもってディ~~ップ!!
ピチャ…ピチャ…
粘度の低さからどうしてもきれいには見えないことが、この料理の難点ですな。
いただきます!
うぬっ!
ぐぎぎぎぎ…
バツーーーーンッ!!
おいしいです。
もういっこ。
ぐぬっ
ぐぎぎぎぎ…
これは…
両手持ちだな…
バチューーーーーンッ!!
おいしいです。
余談ですが、シルシルミシルのグルメリポーター兼ADの堀くんをリスペクトしています。
と思ったらウィキペディアまであった!すげぇな堀くん。
この通りめちゃくちゃアゴの筋肉が求められる料理なのでご留意ください。
味はなんというか、モチモチとパサパサとしたライスペーパーと、豚肉と生野菜と魚の発酵調味料の味がします。つまり、ものすごく想像通りです。ほかにも炒め物などの一品料理があるのですが、先ほどお見せした食材をすべてキュキュッと巻いて食べるので密度が高くボリュームたっぷり。その心は、映画ブレードランナーでの寿司屋とハリソン・フォードのやりとり、つまりふたつで十分ですよ。
Quán ngon(Quán ngon / Bánh tráng cuốn thịt heo)
住所:04 Lê Duẩn, Hải Châu 1, Hải Châu, Đà Nẵng